イギリスの小学校で人気なのが、学校訪問型の体験学習。移動式のファームや専用の特別バスが学校に出向いてくれるのです。普段通り学校に行くだけで、本物に直に触れられ、ちょっと変わったテーマの非日常体験ができる学習方法は、好奇心も学習意欲も上がるようですよ。
学校にファーム(農場)がやってくる訪問型の体験学習
移動式ファームは「Mobile Farm」と呼ばれ、トラックに乗った農場の動物が、子どもたちがいる学校に会いに来てくれます。
学校に着くと、移動式ファームのスタッフがフェンスをいくつも設置。各動物を中に入れて、子どもたちが近くで見たり、フェンスの外から触ったり。動物によっては、フェンスの中に一緒に入って触れ合うこともできます。
犬や猫と違って、普段は農場にいる動物たちなので、子どもたちは珍しくて大はしゃぎです。
ちなみに今年、学校へやってきた動物は、ブタ、ヒツジ、ヤギ、アヒル、ニワトリ、七面鳥、モルモット、ウサギなどでした。
ヒツジを撫でたり、子ブタにブラッシングしてみたり。珍しい七面鳥を近くで観察するなど、特別な体験ができて、子どもたちはとても喜んでいました。
わが家の次女も、ヒツジへミルクを飲ませる体験ができたようで、家に帰ってきたとき、満足気に話してくれたのが印象的でした!
それぞれの子どもたちと動物が触れ合っているところを、担任の先生がしっかり写真を撮ってくださっていて、オンライン連絡帳にアップロードくれました。
わが子の学校での様子を、写真付きで見ることができて、親としてもとてもうれしいオンラインサービスです(オンライン連絡帳「Tapestry(タペストリー)」については、こちらの記事でもご紹介しています↓↓↓)
学校・家庭の連絡はアプリ・SNSを大活用!【イギリス学校便り】
訪問の体験学習が来るまでの一週間、子どもたちは移動式ファームで会える予定の動物たちについて学んでいました。ちなみに動物や植物など、生命全般が今期のテーマでした。
「この移動式ファームで動物と一日触れ合って終わり」ではなくて、その日に向けて、動物のお世話の仕方(食べもの・飼育環境など)を学んだり、動物に関する絵本の音読を頑張ったりと、テーマを活用した授業内容だったことも、大変良い取り組みだと感じました。
LIFE BUS(ライフ・バス)で、生命の不思議を学ぼう
こちらは、全校・学年別に参加するプログラム。希望すれば、保護者も参加可能でした。
イギリス各地で、似たような取り組みがあるようですが、筆者の住む地域ではロータリークラブが所有・運営しているLIFE BUSが、リクエストがあった学校へ訪問してくれる仕組みのようです。
BUS(バス)という名前がついていますが、実際使用されている乗り物はさまざま。普通のバスを改造したものから、古いダブルデッカー(2階建バス、イギリスらしいですね!)を改造したもの、大きいトラックを改造したものなど、いろいろあります。
内部は部屋になっていて、スタッフの方から人体の不思議や健康の話、当たり前のように吸っているけれど、無くては生きていけない空気の話など、子どもたちの年齢等に合わせて、興味深い授業をしてくれます。
また、バスの中では……
なぜ、普通に学校の教室を使わないのでしょうか?
「非日常的な空間なので、子どもたちの好奇心を惹きつけてよく話を聞いてくれて、しかも特別感があるので記憶に残りやすいこと」が理由のひとつだとのこと。
授業が終わっても、そのバスが走っているのを見かけるたびに「あのバスに乗ったね!」「こんな話をしていたよ!」と子どもたちが思い出して、そのテーマに再び興味を持ってくれることも理由だとか。
各地で利用する学校が増えている!
移動式ファームやLIFE BUS以外にも、各学校が取り入れている訪問型の体験学習クラスはいろいろとあります。机に座っての勉強よりも、直に触れて発見する、体験型の学習方法は子どもの経験値も上げてくれますね。
さらに、学校へ訪問してくれることで、子どもたちの移動時間の短縮にもなり、他の授業(時間割)に影響が出ないというメリットもあります。社会科見学だと一日がかりですが、訪問型だと、授業1コマの中に組み込むことも可能に。
これから先は、イギリスでは、こういった体験型の学習カリキュラムがさらに増えていくのかもしれませんね。
在英13年目の2時の母、ライター兼イラストレーター。武蔵野美大卒。現在は英国で日本語教育・日本語子ども会活動にも従事。海外生活・育児経験を活かした記事を執筆中。