雨の日といえば、子どもならみんな大好きな「かたつむり」のお出ましです。 実はかたつむりには知られざる生態がたくさんあるんです。 雨の日は家にこもりがちですが、たまには雨の公園で子どもと一緒にかたつむりを探してみませんか?
「かたつむり」は虫?昆虫?動物?
でんでん虫の歌って誰もが歌えるくらい有名な童謡ですよね。でも子どもからこんな質問をされたらどう答えますか?
「でんでん虫」っていうけど、かたつむりは「虫」なの?
昆虫には必ず足がありますが、かたつむりにはありませんので昆虫でないことはたしかです。でも日本では、古くから大きな動物や鳥以外の動物を(昆虫も、かたつむりのような軟体動物もひっくるめて)「虫」と呼んでいました。かたつむりは生物学的には「虫」ではありませんが、「でんでん虫」という歌詞にはちゃんと訳があったんですね。
かたつむりの「つの」と「やり」はどれ?
かたつむりの「つの(角)」は上向きにのびる長い2本の触角です。
これは大触角と呼ばれており、先端に小さな目がついてます。
では「やり(槍)」はどこでしょう?
大触角の下から生える短い2本の触角でしょうか?
これは小触角と呼ばれる匂いと味を感知するための器官です。
「やり」の正体は、小触角ではなく、「恋矢(れんし)」と呼ばれる別の器官なのです。
恋矢はかたつむりが交尾をするときにだけ姿を現します。触角よりも色が白く、先端が鋭利になっているので本当に槍のように見えます。恋矢を相手の胴体に差し込むと、自分の精子が相手の体内で分解されなくなり、受精率が高まるそうです。不思議ですよね。
東北大学大学院生命科学研究科 | 「恋の矢」は寿命を縮める:カタツムリの愛と暴力
ママはパパ、パパはママ。雌雄同体のかたつむり!
精子と卵が同じ個体のなかにあるので、一度の交尾で繁殖率は倍になります。
かたつむりは動きが遅く、行動範囲も狭いので、自分以外の個体とめぐりあうチャンスが多くありません。数少ない交尾の成功率を高めるために雌雄同体になったと考えられています。
「かたつむりは雨が好き」はただの思い込み!
外からは口が見えないので肺呼吸のイメージがわきませんが、呼吸口という器官がちゃんとあります。
頭の下にある口が食事専用の器官であるのに対し、呼吸口はお尻のそばに別にあるんです。
肺呼吸なので、水のなかにいるとおぼれてしまいます。
雨がたくさん降ると地面に水たまりができますよね。もしそこにかたつむりがいたら溺死してしまいます。そこでかたつむりは雨が降ると高い場所へ移動するわけです。
雨の日に葉っぱの上にいるかたつむりは、「わーい雨だ!」と水浴びをしているのではなくて、「間一髪、溺れるところだった……」と地面から必死に逃げてきたんですね。
好物はコンクリート?グルメなかたつむりの不思議
子どもにかたつむりを飼育させるときは、葉っぱと一緒に卵の殻を置いておくといいですよ。
かたつむりの飼育で子どもの観察力を高めよう
かたつむりを飼育することで、好奇心と観察眼をはぐくむことができます。
ぜひ、お子さまにかたつむりを飼育する機会をあたえてあげてください。
ちなみに梅雨になると必ずあじさいの上で見かけるかたつむりですが、あじさいの葉には毒があり、かたつむりは食べられませんのでご注意ください。
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著者名:監修/黒住耐二 写真/武田晋一
出版社名:ひさかたチャイルド