ゴミをあさっている姿や「カァーカァー」と耳障りな鳴き声、全身真っ黒で気味が悪い!という理由でカラスが嫌い、ちょっと苦手という方も多いのではないでしょうか。カラスのことをちょっと知るだけで、その見方が少し変わる絵本をご紹介。親子で楽しんでみてください。
そもそも「カラス」ってどんな鳥?
カラスは元々、森林性の鳥でしたが、家庭から出される生ゴミを食料源としたことで、生息する場所が移り、都市部での個体数が増えたとのこと。
またハシブトガラスは、高い樹木に巣作りをする習性があるため、都会のビルや高架下などが絶好の場所となります。威嚇、攻撃するのは、自分たちの縄張りや巣に人間が近づいてくるのを防ぐためだといわれています。
都会にカラスが多い理由とは!?「カラス」
著者:とだこうしろう(作・絵)
出版社:戸田デザイン研究室
人間の都合で棲みかを失い、人間の残した大量の生ゴミに群がることで生きるカラスたち。作者・とだこうしろうさんは、「都会に住みついているカラスは、哀れなもの」だとあとがきでつづっています。
「カラスも住みたくて都会にいるわけじゃないんだね」といった視点が生まれ、カラスに対して、どこか同情的な気持ちを芽生えさせてくれる絵本です。
読み聞かせ【3歳~】
カラスの美しさに気付かされる「カラスのスッカラ」
著者:石津ちひろ(作)猫野ぺすか(絵)
出版社:佼成出版社
なぞなぞや言葉遊びなど、軽やかな文体が楽しい絵本作家、石津ちひろさんの作品です。本作品はページをめくるたびに、擬音語や擬態語( オノマトペ)が登場。猫の鳴き声「ニャーン、ニャーン」や空き缶の転がる音「カラン、カラン」など、その箇所を子どもと一緒に読んでみるのも楽しい絵本です。
版画作家の猫野ぺすかさんが描くカラスの美しさにも注目。カラスの羽の色を表す「烏羽色(からすばいろ)」は、しっとりと艶がある黒で、少しだけ青や緑がかっているものを表現した色です。
その言葉通り、猫野さんのカラスは、とても美しい色彩で表現され、カラスが愛らしく描かれています。カラスが本来、美しい鳥であることに気付かされる絵本です。
読み聞かせ【2歳~】
天才詩人・谷川俊太郎が贈る「6わのカラス」
著者:レオ・レオーニ(作) 谷川俊太郎(訳)
出版社:あすなろ書房
「スイミー」でおなじみのイラストレーター、レオ・レオーニが描くカラスの絵本です。日本語訳は、天才詩人・谷川俊太郎さんが手がけています。
人間VSカラスの知恵比べを子どもにも分かりやすい言葉で表現。両者のやりとりがユーモアで、人間同様、カラスも賢い生き物なんだなーと思える作品です。
また仲違いしている両者を仲介するフクロウの言葉に、大人もハッとさせられます。話せば分かり合えるという大切なことも教えてくれます。
読み聞かせ【5歳~】
カラスも結構大変!?「からすのカーさんへびたいじ」
著者:オールダス・ハクスリー(文)バーバラ・クーニー(画) じんぐう てるお(訳)
出版社: 冨山房
SF小説の金字塔「素晴らしい新世界」で知られるイギリスの作家、オルダス・ハクスリーが書いた、唯一の子ども向けの物語です。
夫カラスのデリカシーのない言葉やカラス夫婦の会話のやり取りに、子どもも思わず「クスッ」と笑ってしまいます。
しかも、大人でもちょっと鳥肌が立つほど、ヘビの描写が妙にリアル。その描写がより子どもを夢中にさせる要素かもしれません。
1年に297個も卵を産んでは、それをすべてヘビに食べられてしまう奥さんカラスが気の毒になる作品です。
読み聞かせ【6歳~】