子どもの自己肯定感がUPすると言われている絵本の読み聞かせ。なぜ自己肯定感につながるのか、親子のつながりが深まる読み聞かせ方法、2〜4歳におすすめの絵本についてご紹介します。
絵本の読み聞かせが、子どもの自己肯定感を高めることをご存知ですか?日本の子育てに浸透しつつある、「子どもの自己肯定感を高めよう」という考え方。最近は、さまざまな媒体で、高めるためのノウハウが紹介されています。一方で、いざ自分の子どもに実践しようと思うと、なかなか理想通りにはいかないもの。
今回は、読み聞かせで自己肯定感がなぜ高まるのか、おすすめの読み聞かせ方法、筆者が実際に読んで子どもに良い変化がみられた絵本をご紹介します。最後までお読みいただければ、さっそく今日から、絵本の読み聞かせをスタートしたくなるでしょう。
そもそも「自己肯定感」とは?
2017年に武庫川女子大学大学院が発表した論文によると、自己肯定感の定義はいまだはっきりとしておらず、人によって見解が異なるようです。しかし、多くの教育者や研究者は
・周りに必要とされているかどうか
・自分の良いところも悪いところも含めて、受け入れられているかどうか
・「よいもダメも含めて自分は自分であって大丈夫」という安心感
といった定義を示しています。自己肯定感が低い子どもは、将来的にものごとをネガティブな面から捉えるようになったり、挑戦する意欲をなくしてしまう可能性があります。
子どもの自己肯定感は将来の学力にも影響
2014年の国際調査によると、「自分には人並みの能力がある」と考える高校生が、アメリカで88.5%だったのに対し、日本では55.7%だったそうです。
日本の子どもの自己肯定感は、世界的にみても低いと言われています。近年は小学校で、自己肯定感を高めるための授業が取り入れられているほどです。
また、文部科学省の調べでは、「自分には良いところがあると思う」というアンケートに対し、成績優秀な子どもほど肯定的な回答をしています。これらのデータから、子どもの自己肯定感の高低は、将来の学力にも影響するとわかります。
では、子どもの自己肯定感は、どうしたら高まるのでしょうか?
参考URL:産経ニュース-自己肯定感高い子は成績優秀 文科省分析
子どもの自己肯定感を高めるポイント
子どもの自己肯定感は、日常生活での親とのかかわりで、少しずつ育まれていきます。いろいろな方法がありますが、我が家で実践した具体的な方法としては
・愛にあふれた言葉がけをする
・「絵本の読み聞かせ」を習慣にする
の2つです。
愛にあふれた言葉がけをする
親からの言葉がけは、子どもの自己肯定感を大きく左右します。大切なのは、子どもにわかりやすい言葉で愛情を伝えること。
例1:「だいすきだよ」
例2:「あなたはママのたからもの」
筆者は、おやすみの前に「〇〇くんがいてくれるだけで、ママは幸せだよ。ありがとう」と伝えています。最初は照れくさいですが、伝え続けると、子どもからママへ同じことを伝えてくれるようになりますよ。
とはいえ、子どもに怒ってしまった後など、親の心に余裕がないときは、こういった言葉がけが難しいと思います。そんなときには、絵本の読み聞かせがおすすめです。
「絵本の読み聞かせ」を習慣にする
絵本の読み聞かせは、子どもの自己肯定感を高めることが、多くの学術記事で示されています。1日10分程度でできるので、忙しいママでも大丈夫。ちなみに筆者は、子どもに上手な言葉がけができずに悩んでいましたが、読み聞かせは毎日続けることができています。
では、絵本の読み聞かせが、なぜ自己肯定感を育むのでしょうか?
なぜ読み聞かせで自己肯定感が高まるの?
母の読み聞かせは、子守歌に代わるものであり、母と共にいる安心感と心地良い響きが子どもと母親を密接に結びつける重要な要素である
幼児は絵とことばによって表現された世界に出会うことで、実在を超えたイメージの世界を楽しめるようになる
幼稚園年長児に、1年間、特に計画的に読み聞かせを行った結果、読み聞かせを普通に行った子どもたちと比較して、「作話テスト」において、優れた成績が得られた
子どもの自己肯定感を育む、おすすめの読み聞かせ法
「自己肯定感を育む」という観点で大切なのは、聞いている子どもへの気配りです。読み聞かせでは、次の4つを意識してみてください。ママの声や優しさがより伝わり、上記で述べた子守歌効果が増します。
1.歌う場面では、実際に歌ってあげる
2.ジェスチャーを交える
3.時々、子どもにまなざしを向ける
4.子どもの表情の動きに気を配る
筆者は上記を取り入れてから、子どもの反応が良くなったと感じます。「ぶくぶく」「がさがさ」などの擬音を面白く読むことや、激しい場面ではくすぐるなどのジェスチャーを取り入れることを心がけるようになりました。歌う場面では、その場で思いついたメロディーにのせて歌うようにしています。
子どもたちは楽しいのか、毎日「これ読んで」と絵本を持ってくるようになりました。今では、一日につき1人2冊、合計4冊読むこともあります。
【2歳~4歳におすすめ】子どもの自己肯定感を育む絵本
絵本にはかならず、何らかのメッセージが込められています。「自己肯定感を高めたい」という目的で絵本を選ぶなら、特別なメッセージが込められていたり、自己肯定感アップに繋がる言葉が出てくるものをチョイスしましょう。
筆者には、4歳と2歳の男の子がいます。お兄ちゃんは繊細で傷つきやすい上、自分の気持ちを伝える術をまだまだ知りません。弟は、超ママっ子の淋しがりやです。ここでは、そんな我が家の子どもたちに、プラスの影響を与えてくれたと感じる絵本をご紹介します。
いちばんしあわせなおくりもの
著者:宮野聡子
出版社:教育画劇
第7回リブロ絵本大賞を受賞した絵本。宮野聡子さんのイラストは親も思わず見入ってしまうほどきれいです。「こりす」と「くまくん」がとっても愛らしく、4歳、2歳ともに楽しめています。
こりすは、くまくんのことが大好き。くまくんに喜んでもらうため、色々なプレゼントを渡しますが、なかなか受け取ってもらえません。くまくんは、「きみがいてくれるだけで幸せだから、物はいらない」という意味合いのセリフを言います。こりすは驚きますが、くまくんことがさらに大好きに。
この絵本には、親が子どもに伝えたいメッセージが込められていると感じます。4歳のお兄ちゃんは、この絵本を読んでから「〇〇がいてくれてうれしい」と言うようになりましたよ。
たからもののあなた
著者:まつお りかこ
出版社:岩崎書店
共働き家庭で育った作家、まつおりかこさんによる絵本。働くママなら誰もが感じたことがあるであろう切なさや、子どもを大切に思う気持ちが込められています。
子うさぎフウのママは、いつも仕事で大忙し。フウはあるとき、淋しさを抑えきれず、大泣きしてしまいます。素敵なのは、泣いているフウに、お母さんがかけてあげる言葉です。筆者はこの絵本を読み、朝子どもを見送るとき、ハグして「大好きだよ」と伝えるようになりました。子どもも嬉しいようで、笑顔が増えたように感じます。
イラストがとっても可愛らしく、小さな子どもでも楽しめる絵本です。
うたえほん
著者:つちだ よしはる
出版社:グランまま社
わらべうたや童謡が、つちだよしはるさんの可愛いイラストや、楽譜とともに紹介されています。4歳のお兄ちゃんは2~3歳の頃、2歳の弟は今まさにどハマリしている絵本です。
「一緒にお歌を歌う」というだけなのですが、子供をひざに乗せて歌う機会は、ありそうでありません。ママの歌声は、子どもに安心感を与えます。読み聞かせが子どもの自己肯定感を高めるのも、「子守歌効果があるから」と言われるほど。読み終えると、親子ともに温かい気持ちになりますよ。
こぐまちゃんありがとう
著者:森 比左志、わだ よしおみ、わかやま けん
出版社:こぐま社
「ありがとう」と言われる機会を増やすことである。これらの言葉が溢れる空間では、子どもは安心したり、元気が出たり、意欲がわいたりするだろう。その気持ちが、友だちとの絆を強くして、人と関わることが自分自身の喜びへとつながり、自己肯定感の向上をもたらす
ティモシーとサラのパーティー
著者:芭蕉 みどり
出版社:ポプラ社
芭蕉みどりさん作「ティモシーとサラ」シリーズの一冊です。こちらのタイトルはストーリーがわかりやすく、我が家では4歳と2歳どちらも楽しめています。
ふたごの野ねずみのティモシーとサラ。引っ越してきたばかりのお友だちと仲良くなろうと頑張るものの、なかなか心を開いてもらえず、自分たちのお母さんに相談します。このときのお母さんの返答が、思いやりにあふれています。イラストのかわいらしさに魅了されるだけでなく、子どもの自己肯定感を高めてあげられるような、やさしい言葉がけを学べる絵本です。
どんぐりむらのどんぐりえん
著者:なかや みわ
出版社:学研プラス
なかやみわさん作、大人気の「どんぐりむら」シリーズ。こちらのタイトルは、どんぐりむらの保育園を舞台にしたお話です。子どもたちと先生の園でのやり取りが、ほほえましく描かれています。
この絵本には、「子どもが大切にされる場所は、家庭だけではない」というメッセージが込められているように感じます。先生たちの、やさしさにあふれた言葉がけは、子どもの自己肯定感を育むうえで大切なもの。親が真似したくなるような言葉がけが、たくさん出てきますよ。
ぐるんぱのようちえん
著者:西内 ミナミ、堀内 誠一
出版社:福音館書店
群れで仲間外れにされてきたゾウのぐるんぱが、ひとり街に出て、だれかの役に立とうと頑張るお話です。2歳の弟も最後まで楽しめるほど、やさしい内容でした。
この絵本には、「誰もが必要とされる存在」というメッセージが込められていると感じます。我が家の子どもたちは、序盤は「ぐるんぱかわいそうだね」「みんないじわる」と言っていたものの、終盤は「ぐるんぱよかったね~!」と嬉しそうにしていました。
メッセージ性は、すぐには伝わらなくても、繰り返し読むことで子どもの心に刻まれていきます。積み重なれば、大きな心の土台となるのではないでしょうか。
ノンタンのたんじょうび
親世代にも馴染み深い「ノンタン」シリーズ。4歳のお兄ちゃんは、お誕生日のことを「プレゼントをもらう日」と認識していましたが、この絵本を読んで「たくさんの人にお祝いしてもらえる日」だと理解したようです。
絵本の最後には、お誕生日の歌が出てきます。歌やジェスチャーとともに、子どもに「生まれてきてくれてありがとう」とうメッセージを伝えられますよ。
親の笑顔は子どもの自己肯定感を育む
絵本の読み聞かせは、子どもの想像力や言語能力を育みながら、自己肯定感を高められる素晴らしい知育です。読み終えると、子どもはもちろん、親も安心感と満足感でいっぱいになります。親の笑顔は、子どもが前を向いて歩く原動力です。
これから読み聞かせを始める方はもちろん、すでに習慣化している方も本記事でご紹介した読み聞かせ方法や絵本をぜひ取り入れてみてくださいね。