公立の小中高から東大に現役合格した娘。高校受験にせよ、大学受験にせよ、願書の提出がはじまる頃には親子で焦りや緊張を感じていました。試験当日にしっかりと実力を発揮するためにも、無駄なストレスは避けたいもの。受験直前から親ができる対策を紹介します。連載7回目です。
一番大切なのは、子どもの頑張りを信じること
中には「受験生なのに、うちの子は全然勉強していない!」とカリカリしているパパママもいるかもしれませんが、たとえ家ではあまり勉強していなくても、塾で頑張っていたり、学校の授業で先生や周りからのプレッシャーを感じたりと、お子さまなりに受験への意識は高まっていると思います。
まずは、その頑張りを認め、信じてあげましょう。たとえテストや模試の結果がイマイチだったとしても、本番直前に「勉強が足りないからこんな結果になるんでしょ!」と責めたところで、お子さまはますます委縮するばかり。これまで勉強してきたことを100パーセント出し切れるよう、お子さまの気持ちをうまく引き立ててあげてください。
娘は高校受験のとき、入試前日に解いた数学の過去問で、なんとこれまでの最低点をたたき出してしまいました。もともと数学は大の苦手科目。「どうしよう……」と焦る娘に、筆者は平静を装って「今日はたまたまだよ。この年の問題が難しかったのかもしれないし。○○ちゃんはこの1年間、数学を一生懸命頑張ってきたんだから、本番で焦ったらもったいないよ。とにかく落ちついて、できる問題だけ確実に解けばいいから」と励ましました。
「もし全然できなかったら……」「落ちたらどうしよう」という雑念は、お子さまの集中力を妨げるだけ。「大丈夫!」というポジティブな言葉がけで、お子さまのマイナス思考をシャットアウトしましょう。
受験会場までの行き方をシミュレーション
最近は乗換アプリで行き方を検索する人も多いと思いますが、これに慣れすぎると、いざというときにとっさの判断ができなくなってしまいます。できれば路線図や、主要な駅の時刻表なども準備しておくと安心です。
大学受験ともなると、もちろん子ども一人で会場まで行くことが多いと思いますが、筆者は娘の受験日には自宅で待機して、いざというときの連絡に備えていました。電車の遅延や忘れ物など、ちょっとしたトラブルでも、本人はパニックになりかねません。そんなとき、LINEのやりとりで励ましたり、アドバイスができればと思ったからです。
また、受験会場の開門時間もチェックしておきましょう。早めに着きすぎると、寒空の下、外で待たされることになってしまいます。
忘れ物チェックは入念に
高校や大学受験では、基本的にはお子さま自身が準備をすると思いますが、受験票や筆記用具など「これを忘れたら受けられない!」というものは、親も声かけしてあげると安心です。会場に時計がない場合もあるので、腕時計も忘れずに。
また、カイロやマフラー、カーディガンなどの防寒グッズも用意しましょう。会場によってはかなり暖房が効いている場合もあるので、着脱しやすいものがオススメです。
生活リズムを整えておく
少なくとも1週間ぐらい前からは、受験当日と同じ起床&就寝時間を心がけましょう。
朝食やお弁当は食べやすく、消化のいいものを
また、お弁当はおにぎりやサンドウィッチなど、食べやすいものがオススメです。「片手で持って食べられると、単語帳のチェックとかできて便利」と娘は言っていました。
受験会場が遠く、朝早く家を出なければならない場合は、会場の最寄り駅近くのお店で朝食をとるという手もあります。「ちゃんと家で食べさせたい」という親心もわかりますが、会場の近くまで来ていれば気持ちにも余裕がもてますし、時間の調整もききます。筆者も娘の高校受験のとき、会場近くのファストフード店を利用したのですが、周りに似たような親子が何組もいて安心しました。
また、試験中にお腹がすくと集中力が切れてしまうので、休み時間に食べられるようなお菓子も準備しておくといいでしょう。娘曰く「休み時間にチョコレートを食べると、疲れた脳が活性化する」んだそう。実際、ダークチョコレートに含まれるフラボノイド抗酸化物質は、脳の認知機能や記憶力を活性化させるという研究結果もあるようです。
試験当日、もしもお子さまが失敗してしまったら
「何ができなかったの!?」と詰問したところで、終わってしまった試験はどうにもなりません。ここは、親が焦ってもしょうがないと腹をくくって、とにかくお子さまの気持ちを落ちつかせてください。翌日以降に別の試験が控えているという場合も多いでしょう。気持ちを切り替え、次の試験に平常心で臨めるようにしてあげることが、親ができる唯一のサポートなのです。
娘がある私立大学を受験したとき、休み時間に筆者のLINEにメッセージが入りました。「どうしよう、すごい失敗した。日本史の大問、丸々解き忘れた」というのです。一体なんで!?と筆者も焦りましたが、まだ他教科の試験は残っている時間。なので、こんなLINEを返しました。
「終わっちゃったものはどうしようもないんだから、もう忘れなさい。とにかく次の科目に集中して。日本史の分を取り返そうとか思って焦っちゃダメだよ。いつも通り、過去問を解くときと同じようにやればいいから。大丈夫、慌てないで深呼吸してごらん」
娘からは「そんなのムリ!」「もう最悪……」などの愚痴LINEが次々と届きましたが、とにかく「大丈夫だから」と返し続けました。
帰ってきてからも、その話題には一切触れませんでした(さすがに怖くて、何も聞けなかったというのもあります……)。どうしてそんな信じられないミスをやらかしたのか、事情を聞いたのは、無事東大合格がわかってからです。どうやら、日本史の問題は表裏あったのに、表を解き終わったところで見直しに入ってしまい、終了間際になって裏の問題に気づいたという、なんとも間抜けな凡ミスだったようです。本当に、受験は何が起こるかわかりませんね……。
人生に失敗はなし!受かった学校がベストな学校
第一志望の学校に行けなかったとしても、「あの学校に受かっていればなあ」とネガティブな気持ちで別の学校に通ってほしくはなかったからです。人生にはいろいろな選択肢があるもの。たとえ不本意でも、選んだ選択肢をちゃんと生かすことができれば、失敗にはならないと思うのです。
そうやって、お子さまがポジティブな気持ちをもてるようサポートするのも、親の大切な役目ではないでしょうか。