多くの課題を抱える日本の幼児教育ですが、他国の状況はどうなっているのでしょうか?こちらではイギリスの幼児教育カリキュラムを支える「EYFS」をご紹介。理念、指導内容などからEYFSの全体像を読み解くとともに、日本の幼児教育のガイドラインとの違いも解説します。
EYFSとは?
幼児教育・保育分野における政策が、1990年前後から少しずつ立てられてきたイギリス。それが1997年の政権交代がきっかけで大きく前進し、2008年にEYFSの法定枠組みがはじめて発行されました。その後2012年と2014年の2回の改訂を経ています。
EYFSの適応範囲
この評価結果は、イギリスのパパママたちに幼児教育機関選びの際、参考としてよく使われています。
EYFSの理念
1.子どもたちは各々唯一の存在で、継続的に学び、忍耐強く、能力と自信を持っている。
2.子どもたちはポジティブな関係を通して強さと独立心を学ぶ。
3.個人的なニーズが満たされるという経験と、保育者や保護者との強固な関係がある環境で子どもたちは学び、成長する。
4.子どもたちは異なる過程・リズムで学び、成長していく。
そしてすべての保育者、保育機関はこの理念に沿うべきだと述べられています。
EYFSの教育の内容は?
1-コミュニケーションと言語
2-身体的発達
3-人間的・社会的・情緒的発達
4-リテラシー(読み・書き)
5-算数
6-事物の理解
7-表現芸術とデザイン
このうち1~3は基礎領域。学習への興味・意欲をかきたてるとともに、子どもの成長に欠かせない領域です。4から7は特定領域で、就学準備が強調されています。
日本の幼児教育ガイドラインとの違い
またEYFSでは「就学準備」という点がクローズアップされている点も特徴。しかし日本の「幼稚園教育要領」や「保育所保育指針」では、小学校の準備を第一目標としては挙げていません。さらにEYFSでは目標で到達すべきレベルが掲げられているのに対し、日本の場合は目標はあくまでも方向性で、到達は求めていないという違いがあります。