2019年12月27日 公開

語学の国際基準、CEFR(セファール)とは?留学に役立つの?

TOEFLやTOEIC、英検などの試験を受けたり、語学学校に通ったりしたことがある方は、「CEFR(セファール)」という単語を見たことがあるかもしれません。外国語の熟達度を表す「CEFR」は、留学だけでなく、2020年度に実施が始まる新学習指導要領にもかかわる指標の1つです。その内容や使われる場面などについて解説します。

TOEFLやTOEIC、英検などの試験を受けたり、語学学校に通ったりしたことがある方は、「CEFR(セファール)」という単語を見たことがあるかもしれません。外国語の熟達度を表す「CEFR」は、留学だけでなく、2020年度に実施が始まる新学習指導要領にもかかわる指標の1つです。その内容や使われる場面などについて解説します。

CEFR(セファール)とは?その特徴は?

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Oleksandr Berezko / Shutterstock.com
CEFR(セファール)とは、Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessmentの略で、「外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠」と訳されます。

言語の枠や国境をこえて、外国語の運用能力を同一の基準で測れる国際的な指標です。

CEFRができた歴史的背景

陸続きということもあり、多言語が一般的なヨーロッパでは、母語とは異なる言語の能力を必要なレベルまで上げることが求められてきました。

1993年にEU(欧州連合)が発足されてからは、EU域内での人材の行き来を活発化するためにも、「欧州共通の外国語の能力を測る指標」を作ることが重要な課題とされていたのです。

そこで欧州評議会(Council of Europe)が20年以上の研究を経て2001年に公開したのが、この「CEFR」です。

たとえば、「私の英語はC1レベルで、フランス語はB1レベル」と言えば、ヨーロッパの多くの国で「どの程度のことができる語学力か」を伝えられます。

CEFRは、欧州域内では、初等学校や中等学校における語学教育の目標として使われたり、語学資格を認める根拠として用いられたりと、広く活用されています。

CEFRのレベル一覧

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Yuliya Evstratenko / Shutterstock.com
CEFRはC(熟練した言語使用者)、B(自立した言語使用者)、A(基礎段階の言語使用者)三段階があり、C2からA1までの6つのレベルに分かれています。

それぞれのレベルが示す「外国語でできること」の内容をみてみましょう。

熟練した
言語使用者
C2
  • 聞いたり読んだりした、ほぼ全てのものを容易に理解することができる
  • いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠も論点も一貫した方法で再構築できる
  • 自然に、流暢かつ正確に自己表現ができる
C1
  • いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる
  • 言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる
  • 社会生活を営むため、また学問上や職業上の目的で、言葉を柔軟かつ効果的に用いられる
  • 複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の、詳細な文章が作れる
自立した
言語使用者
B2
  • 自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる
  • 母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である
  • 幅広い話題について、明確で詳細な文章を作れる
B1
  • 仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる
  • その言葉が話されている地域にいるときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる
  • 身近な話題や個人的に関心のある話題について、筋の通った簡単な文章を作ることができる
基礎段階の
言語使用者
A2
  • ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる
  • 簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄について、単純で直接的な情報交換に応じられる
A1
  • 具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いられる
  • 自分や他人を紹介することができ、住んでいるところや、誰と知り合いであるか、持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりすることができる
  • もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助けが得られるならば、簡単なやり取りができる

新学習指導要領でも活用されるCEFR

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wizdata / Shutterstock.com
2020年度に実施が始まる新学習指導要領では、英語4技能(リスニング、スピーキング、リーディング、ライティング)について、「~することができる」という到達目標が設定されています。

この目標の基準となっているのがCEFRです。

現在は中学校でA1、高校でA2程度の到達度となっているところを、今後は小学校でA1、中学校でA2、高校ではB1~B2に達することを目標としています。

実用英語技能検定、IELTS、ケンブリッジ英検、TOEFLと対照表

出典:「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」(文部科学省[平成30年3月]) (https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/03/__icsFiles/afieldfile/2019/01/15/1402610_1.pdf)  (152207)

語学力の検定にはさまざまなものがあり、試験によって出題傾向や採点方法などが異なるため、

・ ケンブリッジ英語検定
・ 実用英語技能検定
・ GTEC
・ ITELTS
・ TEAP
・ TEAP CBT
・ TOEFL iBT

といった代表的な英語検定の成績との対応関係を調べ、CEFRの等級に当てはめて比較ができるように対照表(上表参考)が作られています。

たとえば、現在、実用英語技能検定(英検)では成績表に「英検CSEスコア」というものが表記されます。

これはCEFRにも対応していて、英検2級の合格点は2,600満点中1,980点、1,950~2,299点がCEFRの「B1」に対応するとされています。

なお、日本でTOEICを運営するIIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)も、TOEICのスコアとCEFRレベルの対応表を公開しています。

大学入試英語成績提供システムとCEFR

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sakkarin sapu / Shutterstock.com
令和2年度からの導入は見送りとなりましたが、大学入学共通テストの英語については、能力の測定や合否判定について、民間の資格・検定試験を活用できるとしていました。

導入が見送られる前は、東京大学や名古屋大学などが、一般入試の受験者の出願要件として、「CEFR対照表のA2レベル以上」に相当する英語力を基本方針にする、と説明していました。

今後大学の入試方法がどうなるかは未定ですが、国内への大学進学を希望している場合は、CFER対照表のA2レベル以上の成績を目指しておくとよいかもしれません。

CEFRの日本版、CEFR-Jとは?

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Tom Wang / Shutterstock.com
CEFRには日本版の「CEFR-J」という指標があります。

日本人のおよそ8割の英語レベルはA1、もしくはA2にとどまっており、Bがおよそ2割、Cはごく少数ともいわれています。

そのため、CEFRの6つのレベルだけでは学習段階を正確に把握しにくいという問題がありました。

そこで作られたのがCEFR-Jです。

CEFR-Jでは、A1を三段階、A2、B1、B2をそれぞれ二段階に分け、さらにPre AというA1レベルの前段階のレベルを付け加えました。

これにより、より英語の習熟度を測りやすくなりました。

留学を検討しているならCEFRで英語力を把握しよう!

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spaxiax / Shutterstock.com
日本も含め、現在グローバルで通用する語学能力を測る指標はCEFRに統一する方向で進んでいます。

そのため、子どもに英語を学ばせるのであれば、使用するテキストやレベルの評価方法が、CEFRの基準に則っている方がよいでしょう。

なお、留学先で英語を主に使用する場合は、B2レベル以上の力があることが望ましいとされています。

将来海外留学を希望しているという場合は、「B2レベルに到達する」ことをまずは目標にしましょう。

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この記事のライター