TOEFLやTOEIC、英検などの試験を受けたり、語学学校に通ったりしたことがある方は、「CEFR(セファール)」という単語を見たことがあるかもしれません。外国語の熟達度を表す「CEFR」は、留学だけでなく、2020年度に実施が始まる新学習指導要領にもかかわる指標の1つです。その内容や使われる場面などについて解説します。
CEFR(セファール)とは?その特徴は?
言語の枠や国境をこえて、外国語の運用能力を同一の基準で測れる国際的な指標です。
CEFRができた歴史的背景
1993年にEU(欧州連合)が発足されてからは、EU域内での人材の行き来を活発化するためにも、「欧州共通の外国語の能力を測る指標」を作ることが重要な課題とされていたのです。
そこで欧州評議会(Council of Europe)が20年以上の研究を経て2001年に公開したのが、この「CEFR」です。
たとえば、「私の英語はC1レベルで、フランス語はB1レベル」と言えば、ヨーロッパの多くの国で「どの程度のことができる語学力か」を伝えられます。
CEFRは、欧州域内では、初等学校や中等学校における語学教育の目標として使われたり、語学資格を認める根拠として用いられたりと、広く活用されています。
CEFRのレベル一覧
それぞれのレベルが示す「外国語でできること」の内容をみてみましょう。
熟練した 言語使用者 |
C2 |
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---|---|---|
C1 |
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自立した 言語使用者 |
B2 |
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B1 |
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基礎段階の 言語使用者 |
A2 |
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A1 |
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新学習指導要領でも活用されるCEFR
この目標の基準となっているのがCEFRです。
現在は中学校でA1、高校でA2程度の到達度となっているところを、今後は小学校でA1、中学校でA2、高校ではB1~B2に達することを目標としています。
実用英語技能検定、IELTS、ケンブリッジ英検、TOEFLと対照表
・ ケンブリッジ英語検定
・ 実用英語技能検定
・ GTEC
・ ITELTS
・ TEAP
・ TEAP CBT
・ TOEFL iBT
といった代表的な英語検定の成績との対応関係を調べ、CEFRの等級に当てはめて比較ができるように対照表(上表参考)が作られています。
たとえば、現在、実用英語技能検定(英検)では成績表に「英検CSEスコア」というものが表記されます。
これはCEFRにも対応していて、英検2級の合格点は2,600満点中1,980点、1,950~2,299点がCEFRの「B1」に対応するとされています。
なお、日本でTOEICを運営するIIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)も、TOEICのスコアとCEFRレベルの対応表を公開しています。
大学入試英語成績提供システムとCEFR
導入が見送られる前は、東京大学や名古屋大学などが、一般入試の受験者の出願要件として、「CEFR対照表のA2レベル以上」に相当する英語力を基本方針にする、と説明していました。
今後大学の入試方法がどうなるかは未定ですが、国内への大学進学を希望している場合は、CFER対照表のA2レベル以上の成績を目指しておくとよいかもしれません。
CEFRの日本版、CEFR-Jとは?
日本人のおよそ8割の英語レベルはA1、もしくはA2にとどまっており、Bがおよそ2割、Cはごく少数ともいわれています。
そのため、CEFRの6つのレベルだけでは学習段階を正確に把握しにくいという問題がありました。
そこで作られたのがCEFR-Jです。
CEFR-Jでは、A1を三段階、A2、B1、B2をそれぞれ二段階に分け、さらにPre AというA1レベルの前段階のレベルを付け加えました。
これにより、より英語の習熟度を測りやすくなりました。
留学を検討しているならCEFRで英語力を把握しよう!
そのため、子どもに英語を学ばせるのであれば、使用するテキストやレベルの評価方法が、CEFRの基準に則っている方がよいでしょう。
なお、留学先で英語を主に使用する場合は、B2レベル以上の力があることが望ましいとされています。
将来海外留学を希望しているという場合は、「B2レベルに到達する」ことをまずは目標にしましょう。