2017年05月15日 公開

国が違えば食育も違う!オーストラリアの「健康的な食事」とは?

日本では以前から食育が盛んですが、オーストラリアでは最近やっと、年々増える子どもの肥満や虫歯が問題視され、健康的な食習慣を身につけさせる「食育」の重要性が増しています。その背景にあるオーストラリアの子どもの食事情と、オーストラリアの食習慣、日本との違いを紹介します。

日本では以前から食育が盛んですが、オーストラリアでは最近やっと、年々増える子どもの肥満や虫歯が問題視され、健康的な食習慣を身につけさせる「食育」の重要性が増しています。その背景にあるオーストラリアの子どもの食事情と、オーストラリアの食習慣、日本との違いを紹介します。

オーストラリアの「学校の食事情」にビックリ!

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「お弁当にピッタリ」と書かれたチョコ味のビスケット。
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海外で生活すると、日本との生活習慣の違いにびっくりすることも多いですが、特に食文化・食習慣の違いには驚かされます。

筆者はオーストラリア・パースに住んでいますが、まず子どもたちの「学校での食事」が、日本とずいぶん違うと思いました。オーストラリアの学校は、給食がありません。基本的に子どもたちは自分のランチと、午前中の休み時間に食べる「おやつ」を持参します。

こちらに来たばかりの頃、わが子から「お友だちは、ポテトチップスやチョコレートを学校に持って来ている」と聞いて驚きました。スーパーなどでは、「ランチボックスにピッタリ!」と書かれた、学校に持って行きやすいサイズのスナック菓子や、小分けのジュースが売られています。

子どもたちの健康が危ない?

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子どもの肥満や虫歯などが年々増えているオーストラリアでは、そうした食習慣が子どもの健康を害している、と問題になっています。

そこで2~3年ほど前から「おやつにはお菓子の代わりに果物や野菜を食べよう」「バランスの取れた健康的なランチを用意しよう」「水分補給にはジュースではなく水を飲もう」といった注意事項が、学校でも伝えられるようになってきています。

また、「健康的な食事とは?」ということを学ぶ【食育】が、学校でも行なわれるようになりました。

健康的な食事のガイドライン

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オーストラリアの健康的な食のガイドラインを示したパンフレット。
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オーストラリアで提唱されている健康的な食事とは、どんなものでしょうか?

たとえば小学校低学年では、以下のような食品が【健康的な食べ物】である、と教えられています。

・野菜
・果物
・米・パンなど
・肉・魚・卵など
・牛乳やチーズ

これらの食べ物は、「ヘルシーフード」「エブリデイフード」と教えられ、毎日、各品目をバランスよく食べるように教えられます。特に、野菜や果物を多く摂ることが大切とされます。

逆にチョコレート・アメ・アイスクリームなどのお菓子や、ファストフードなどは「サムタイムスフード」、つまり、時々お楽しみで食べるものだ、と教えられるようになりました。

日本の食育との違いは?

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クラッカーなども、野菜や肉と組み合わせれば「健康的な食事」に。
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栄養面での考え方は、日本の食育と共通点も多いといえるでしょう。しかし、食事への取り入れ方は、日本と違いがあります。

日本では炭水化物は「主食」といわれるほど重要な食品ですが、こちらではむしろ摂り過ぎに注意すべき食品という感覚です。また、米ならば玄米、パンなどの小麦粉なら全粒タイプを選ぶことが推奨されています。

炭水化物については、パンやパスタだけでなく、クラッカー、シリアル、ライスケークまたはコーンケーク(米やとうもろこしをパフ状にして固めたもの)なども、糖分・油脂分が使われていなければヘルシーな「食事の一部」とみなされています。

野菜を積極的に摂ることが推奨されていますが、食べ方は生物をそのままというのが主流です。例えばレタスやベビーホウレン草などの葉物はそのまま、キュウリ・ニンジン・セロリはスティックに。ピーマン、ブロッコリーも生食することが珍しくありません。果物も、リンゴ・モモ・洋ナシなどを皮ごと丸かじりさせます。

こうしたメニューが、「ヘルシーな食事」として紹介されています。

最後に

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日本では「主食・主菜・副菜・汁物」という考え方があり、「ちゃんと調理されたものを食べるのが食事」というイメージがあります。それに比べると、オーストラリアの食育はずいぶん簡素に感じます。

今のオーストラリアでは、あれこれと味つけや加工をされていない食材を食べることが「健康的」という考え方が主流。調理の手間を省くだけでなく、塩分や糖分、油脂分の摂り過ぎを防ぐためにもよいとされているようです。

オーストラリアに暮らしてみると、日本の家庭は伝統的にも「食」と食文化を重視してきたんだな、と改めて感じます。筆者は日本の細やかな食のスタイルがやはり好きですが、肩の力を抜いたオーストラリア流の食育も、時には取り入れてみるのもよいかもしれませんね。

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この記事のライター