時計の読み方というと「長い針が○○のときに……」などと、まず数字で時刻を教えがち。しかし子どもは数字認識の前に、針の角度や動きで時刻を把握しはじめるそうです。今回は、ストーリーの中に時刻が出てくる絵本を選びました。お話を楽しみながら、時計の読み方にも親しんでしまいましょう!
ねないこ だれだ(9時)
著者:せな けいこ(作・絵)
出版社:福音館書店
こちらの絵本は「とけいが なります ボン ボン ボン……」と最初から時計のイラストではじまります。時刻は9時。
何度も読み聞かせをしているので、時々「あら、もう9時だね~」と言っていたところ、すっかり子どもも覚えてしまい、このページを見ると「9時だ~!」と言うようになりました。
たった一瞬のやり取りなのですが、時刻に名前がついている、この角度は9時ということを学んだようです。今思えば、これが息子にとっての時刻との出合いだったのかもしれません。
ぐりとぐらのえんそく(12時)
著者:中川 李枝子(作) / 山脇 百合子(絵)
出版社:福音館書店
こちらの絵本で出てくる時計のイラストは12時。そして、それを合図に楽しいお昼ご飯がスタートします。
絵本にたっぷり親しんだら、普段の生活でも再現してみてください。「お腹すいたね、お昼はまだかな?まだかな~?」と時計を指差して、「お、12時だ。ご飯にしよう」など気楽にコツコツ時計を見せてみてください。
いつの間にかマスターして、長い針と短い針が上の方でぴったりしているのを見つけると「あー12時だ!」と教えてくれるようになりますよ。
また!ねずみくんとホットケーキ(3時)
著者:なかえ よしを(作) 上野 紀子(絵)
出版社:ポプラ社
ユーモアたっぷりのこちらの1冊は、3時という時刻のパターンを示してくれるだけでなく、時刻が進んでいく、時間が進むと針が動く……といった時計の基本的な構造を学ぶ機会にもなります。
大好きなおやつをめぐっての動物たちの表情の変化も愛くるしく、息子たちもお気に入りのストーリー。ただし、わが家では勝手に時計の針をぐるぐる動かすのがしばらくブームになりました……。皆さまご注意を!
ごきげんななめのてんとうむし(朝5時~夕方6時)
著者:エリック・カール(作) もりひさし(訳)
出版社:偕成社
ご機嫌ななめのてんとう虫が朝5時から1時間ごとにいろいろな虫や動物に出合ってはけんかをふっかけるというストーリー。
毎ページ「〇時」というナレーションが入るため、耳に時刻が残ります。また、ページ上にはその時刻の時計のイラストが。さらに、黄色い太陽が時間ごとに位置を変えて描かれ、時刻と太陽の位置を一緒に見られるという仕掛け絵本となっているのです!
お子さまに興味があれば「あ、明るくなってきたね」「陽が沈んできたね」「〇時だね」などと話しながら読み進めると、時間の概念を体感できるでしょう。純粋にストーリーも面白く、てんとう虫と動物たちのやりとりや迫力あるイラストなど見どころ満載のこちらの絵本は、長く楽しめる1冊です。
ストーリーを楽しんで、副産物としての時計効果を!
子どもは自分で学ぶ力、応用力が高いもの。こんな風に少しヒントを投げかけておくだけで、あとになって時間についてのノウハウをどんどん身に着けていきます。特に、自分が楽しみにしているおやつの時間などは、マスターが早いかも⁉
気楽な気持ちで時計デビューをはじめてみてくださいね。