2019年01月09日 公開

「指定国立大学」とは?世界最高水準を目指す日本の6大学

指定国立大学とは、将来、世界最高水準の教育研究活動が見込まれることを文部科学省から認定された6校をいいます。その使命は日本の枠組みから飛び出し、海外の大学と対等な競争力を持つこと。では指定国立大学の6校とはどこなのでしょうか?指定理由とともにご紹介します。

指定国立大学とは、将来、世界最高水準の教育研究活動が見込まれることを文部科学省から認定された6校をいいます。その使命は日本の枠組みから飛び出し、海外の大学と対等な競争力を持つこと。では指定国立大学の6校とはどこなのでしょうか?指定理由とともにご紹介します。

指定国立大学とは?

Universidad De Yale Paisaje · Foto gratis en Pixabay (122510)

世界最高水準の教育研究活動の展開が見込まれるとして、文部科学省が選定する「指定国立大学」。言い換えるなら、海外のトップクラスの大学と互角に勝負できる、将来性のある大学といえるでしょう。文部科学大臣より指定を受けた大学は全部で6校。どれも世界大学ランキングに名前を連ねる優秀な大学ばかりです。

2017年6月30日付けで3校、2018年3月20日付けで2校。そして2018年10月23日付けに1校の、計6校が指定されました。現在指定されている国立大学は、登録順で以下の通りです。
・東京大学
・京都大学
・東北大学
・東京工業大学
・名古屋大学
・大阪大学

どういう大学が選ばれるの?

指定国立大学は、世界的と互角に渡り合える教育水準を持つことを認められた大学です。選ばれるためには、いくつかの選定基準が設けられています。ポイントとなるのは、「研究力」「社会との連携」「国際協働」の3つ。注目すべきは、教育水準だけが指標になるのではなく、社会とのつながりも求められるという点です。

指定国立大学に期待される役割とは?

日本を代表する有力大学として、高い教育水準や成果はもちろん、他の大学をけん引するイノベーション大学としての役割が求められます。日本全体の教育研究水準だけでなく、経営面や組織面など、あらゆる側面から日本の大学改革を引っ張っていく存在であることが期待されているのです。

国立大学法人東北大学

File:Kawauchicampus.jpg - Wikimedia Commons (122513)

Clauxz/CC-Zero
学都仙台を支える、仙台市青葉区の東北大学。指定理由として挙げられているのは、その卓越した教育研究レベルです。学部や研究科、分野の垣根を超えた融合研究や、世界に通じる先進的な教育プログラムが特徴的です。

なかでも世界的注目を浴びている「災害科学」のほか、「材料科学」「スピントロニクス」「未来型医療」が特に伸びている研究分野とされています。

学内の組織改革にも積極的に取り組み、産学連携研究による研究費の戦略的な創出、公正かつ迅速なアカデミックガバナンス体制を基にした機能の強化など、大学経営面でも高い評価を得ています。

国立大学法人東京大学

File:Yasuda Auditorium - Tokyo University.jpg - Wikimedia Commons (122517)

Kakidai / CC BY-SA 4.0
東京都文京区に位置する国立大学法人東京大学。東京大学の強みは、優れた教育研究活動だけではありません。

東京大学は単なる勉学の場を超えて、「地球と人類社会の未来に貢献する場」にすべく大学改革を推進しています。2017年には構想を具体的に推進していくための「未来社会協創推進本部」を設置。日本のシンクタンクとしての役割にとどまらず、世界の課題へ取り組もうとする社会貢献度の高い姿勢が評価されました。

「健康・医療」「エネルギー、気候変動、資源循環」「経済格差、ジェンダー平等」分野において研究力の強化を図っており、日本のみならず世界の大学改革の推進役として期待を背負っています。

また大学経営へ対する自己調査・分析の仕組み、財政基盤強化の計画も注目されました。

国立大学法人京都大学

File:Kyoto University Clock Tower.jpg - Wikimedia Commons (122521)

Soraie8288 / CC BY-SA 4.0
東大とともに日本の大学の双璧とされる京都大学。京都市左京区にあり、「自由の学風」で知られています。教育研究の充実はもちろん、大学の長所と短所を客観的に分析し、改善点が明確になっている点が評価されました。学問の面では、特に「人文社会科学」のさらなる伸びが期待されています。

学術的研究成果を活用し、社会貢献につなげる産学連携体制の構築にも積極的。米国大学のような総括副学長(プロボスト)制を取り入れ、ガバナンス体制の強化を図っています。若手教職員を含む大学内のさまざまな意見を取り入れる仕組みなど、学内全体で大学の未来を作り上げていく姿勢を持つ大学です。

国立大学法人東京工業大学

File:Main Building - Tokyo Institute of Technology.jpg - Wikimedia Commons (122525)

Kakidai / CC BY-SA 4.0
理系大学のリーダー、東京都目黒区の東京工業大学。「新・元素戦略」「統合エネルギー科学」「ディジタル社会デバイス・システム」の3つの重点分野で、世界的拠点の構築を目指している点が評価されました。

大学全体の取り組みとして、世界と渡り合えるグローバル人材を育成するとともに、大学教育のグローバル展開力の強化を目指しています。留学生の受入体制を整えた、英語による学位プログラムの制定も特徴的です。

経営面では、田町キャンパスを再開発し複合ビルを建設するほか、子会社設立によって共同研究に関わる教員を対象としたクロスアポイントメント制度を採用するなど、財務基盤の強化を目指しています。

国立大学法人名古屋大学

File:Nagoya University 00.jpg - Wikimedia Commons (122530)

いどれいざん / CC BY-SA 4.0
ノーベル賞受賞者などすぐれた研究者を多く輩出している中部の名門、名古屋市千種区に位置する名古屋大学。「化学・生物学融合分野」「未来エレクトロニクス研究」「素粒子・宇宙物理学」「医学・生命科学研究」、特にこの4分野で世界的研究拠点を目指す姿勢が認められました。

名古屋大学の掲げる「マルチ・キャンパス」構想はとてもユニークな取り組みです。マルチ・キャンパスとは、地域の国立大学間の壁を取り払い、1つの法人として運営していくという新たなシステム。これにより、各大学の強みに応じた教育研究機能の強化や、安定した資金の調達、国際競争力の強化を目指しています。

国立大学法人大阪大学

File:Osaka university toyonaka main entrance.jpg - Wikimedia Commons (122535)

Soraie8288 / CC BY-SA 4.0
大阪府吹田市に、地域の熱意によって作られた大阪大学。その創立の精神にのっとった校風が、教育研究面や学内の精度にいかんなく発揮されています。2018年には、機構長(総長)を中心に大学と社会の共創活動をサポートする共創機構を設置。企業や自治体等、社会との「共創」の姿勢が高く評価されました。

教育研究では「免疫学」「生命医科学融合」「共生知能システム」「光と物質の科学」が重点分野となっています。教員の論文被引用数、外国人教員の比率に具体的な目標を挙げていることも特徴です。

具体的な将来へのビジョンを持つ6校

国から国内最高レベルのお墨付きをもらった、指定国立大学6校をご紹介しました。地域も校風も違う6校ですが、具体的な将来へのビジョンを持つという点は同じ。今後、ますます発展が期待できる6校です。

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