2018年04月23日 公開
2018年4月から小学校の道徳が「特別の教科」となりました。これまでは、行事の準備時間にあてられることもあった道徳。特別の教科となることでどのように変わるのでしょうか?道徳が教科になった背景、授業や教科書の内容、評価の方法などについて紹介します。
2018年4月から小学校の道徳が「特別の教科」となりました。これまでは、行事の準備時間にあてられることもあった道徳。特別の教科となることでどのように変わるのでしょうか?道徳が教科になった背景、授業や教科書の内容、評価の方法などについて紹介します。
小学校の道徳が教科になった背景
道徳が教科になった背景のひとつに、いじめの問題があります。近年、人と人とのつながりが少なくなっているといわれています。子どもたちも例外ではありません。外で友達と遊ぶよりも、1人でパソコンやスマホで遊ぶ時間が増えています。そのため、他人の気持ちを考える力が育ちにくくなっている、といわれています。また、自分に対する批判への抵抗力も低下しています。
このような状況でのいじめは深刻です。いじめている側はいじめを軽く考えがちです。そして、いじめられた側は相談ができない、相談しても理解してもらえない厳しい現実があります。過去十年間で日本人の自殺数は減少していますが、児童・生徒の自殺数は横ばいです。そのため、学校教育の中で、自分と他人の命の大切さを子どもたちにしっかり理解させる時間が必要だと考えられました。
2017年度までも小学校で週に1時間の「道徳の時間」が設けられていました。けれども、道徳の授業には、いくつかの問題点があったのです。
これまでの道徳の授業の問題点
これまでの道徳の授業は、他の科目に比べ軽視される傾向にありました。道徳の時間が運動会の練習など、別の内容に振り替えられた経験があるパパママもいるのではないでしょうか?この他にも、道徳の授業には、以下のような問題が指摘されていました。
・テレビを見せたり、読み物を読んだりするだけの授業内容だった。
・登場人物の気持ちを読み取るなど、ひとつの正解に誘導する傾向があった。
・学年が上がるにつれて、道徳の授業がつまらないと感じる子どもが多くなっていた。
教科になった道徳の授業時間や授業内容
道徳の授業時間は、教科ではなかったときと同じ週1時間です。授業では、考えて、議論することに重点を置きます。近年、自分と違う考え方を排除する動きが問題になっています。現実社会でぶつかる問題の答えはひとつではないことが多いですよね。子どもたちは道徳の授業で、自分で考える力を養うと同時に、違う考え方を理解する方法を学びます。
道徳の教科書の内容
教科になったことで、2018年4月から道徳の授業では教科書検定に合格した教科書を使用。教科書には、各学年の道徳教育の目標に沿った読み物と読後に考えるべきポイントが書かれています。また、読み物を自分のことや実生活と照らし合わせて考えるようにも促されています。
特別の教科「道徳」の評価の方法
道徳が教科になることで気になるのは評価の方法ではないでしょうか?
道徳が「教科」ではなく、「特別の教科」なのは、他の教科と評価の方法が違うからです。道徳を数値で評価をすることは、個人の考え方をコントロールすることにつながります。そのため、道徳の評価は、記述による積極的評価が採用されています。教師は、児童のよさを引き出すための評価をすることになっています。また、受験の合否にも影響は与えないと文部科学省が通達しています。
親も一緒に道徳について考える
子どもたちは道徳の授業だけではなく、学校生活を通して、さまざまな問題について考え、自分なりの答えを見つけなくていけません。子どもたちの生き方に大きな影響を与えるのは親や家族です。でも、小学校の道徳で学ぶような正しい行動や判断ができないことは、親にもありますよね。
そこで、家でも親子で道徳の教科書を読んでみてはいかがでしょうか?子どもと学校や社会の問題、家族の在り方について、リラックスしながら話し合う時間はとても大切です。道徳の教科化をきっかけに、ぜひ親子で話し合うきっかけを持ってみてください。
<参考>