日本の昔話を知らない子どもが増えているようです。古くさい、残酷などの理由から読み聞かせを避けていませんか?筆者は、昔話のことを知れば知るほど、子どもに伝えたいという気持ちが強くなりました。魅力や読み聞かせのコツを知って、子どもに日本の昔話を語ってみましょう。
リズムとストーリーがおもしろい!日本の昔話の魅力
けれども、息子が生まれてから約9年間、絵本や児童書の読み聞かせをしているうちに、日本の昔話の奥深さに気がつきました。言葉のリズムや物語のおもしろさなど、日本の昔話の魅力を3つ紹介します。
1.言葉の響きやリズムの心地よさ
「おんちょろちょろ、まいられそうろう。カーン」
「おんちょろちょろの穴のぞき。カーン」
2.素直に笑ってしまう今も昔も変わらない「こっけいさ」
また、「いわいめでたや、おもしろや」のような現代社会とつながるブラックユーモアの話もたくさん。「いわいめでたや」と「おもしろや」という変わった名前の兄弟の話は、「キラキラネーム」の問題とリンクします。大人はブラックユーモアを、子どもは言葉の面白さを楽しむことができるのです。
こっけい話は、親子で一緒に笑うことができます。同じ場所で親が笑うと、子どもはとても嬉しいのです。
3.人生の教訓になるストーリー
反対に、ひきょうものや欲張りには、とても厳しい結末が待ち受けているものが多いです。有名な話では「さるかに合戦」。最近では、さるとかにが仲直りする結末になっているものもあります。けれども、元の話では、さるは、かに(または、かにの子どもと仲間たち)の復讐によって殺されてしまうのです。
なぜ幸せが訪れたのが、不幸な結果となってしまったのか、考えさせられるのが昔話の特徴でもあります。
読み聞かせにオススメ「日本の昔話」シリーズ
著者:おざわとしお(再話)、赤羽末吉(画)
出版社:福音館書店
「日本の昔話」シリーズの対象年齢は4歳から大人。すべての漢字にふりがながつけられています。けれども、文章の量や文字の大きさの点から、幼児に自力で読ませる本としてではなく、読み聞かせてあげる本としておすすめします。
このシリーズは全5巻で、1巻は「はなさかじい」など正月から春にかけての話を、2巻は初夏の話、3巻は夏の話、4巻は秋の話、5巻は冬の話を中心に、合計で301話収録されています。
一冊ずつ揃えてもいいですし、5巻セットも販売されていますので、そちらを購入してもよいですね。
昔話の読み聞かせのコツ~リズムや間を大切に
1語1語の意味を理解することよりも、リズムや間を大切にすることで子どもに昔話のおもしろさを伝えてくださいね。その時はわからなくても、成長すするにつれ、昔話の奥深さや日本語ならではの表現方法などに気付いていくはずです。
昔話について知ることができるサイトとラジオ番組
また、小澤俊夫先生は、「昔話へのご招待」というラジオ番組に出演しています。番組のサイトで過去の放送をポッドキャストで聞くことができます。日本の昔話だけではなく、世界の昔話のおもしろさも知ることができます。