あまり知られていないかもしれませんが、メキシコはチョコレートの原材料・カカオの原産国。チョコレートだけじゃない、メキシコのカカオを使った食べ物「モーレ」や飲み物もあわせて、その歴史と習慣をご紹介します。
カカオの歴史
ちなみに現在のタバスコ州ではそれを記念し、毎年11月にチョコレートフェスティバルが行われ、現存するカカオ荘園でチョコレート製造の過程を見学することもできます。
カカオドリンク「ポソル」と「テハテ」
現在でも、タバスコ州では「ポソル」、オアハカ州では「テハテ」と呼ばれるプレヒスパニック時代からのやり方で作られたカカオドリンクを飲むことができます。ポソルやテハテは、カカオとトウモロコシの粉を混ぜた冷たい飲み物。甘さは控えめですが、暑い気候にはぴったり。ヒカラと呼ばれる木の実の殻で作った器で飲みます。
皇帝も愛したカカオ
アステカを征服したスペイン人、エルナン・コルテスはのちに、スペインに宛てた手紙の中で「このアステカの飲み物を1杯飲めば、兵士は1日中行軍することができる」とその効果に言及していました。
現在のメキシコでも「チョコラテ」と呼ばれています。いわゆるホット・チョコレートとして老若男女に愛される飲み物で、スーパーでも固形や粉末タイプが売られており、お湯や牛乳で溶かして子どもたちも夜の軽食のお供に飲みます。モリニージョという専用のかき交ぜ棒で混ぜるのが伝統的な作り方。
貨幣としてのカカオ
いつからカカオは甘くなった?
もちろん、今ではメキシコでも甘いチョコレートは一般的。「Turin」という大手メーカーのテキーラ入りチョコレートボンボンは、メジャーな定番お土産でもあります。
カカオを使った郷土料理「モーレ」
メキシコのカカオを使った郷土料理といえば「モーレ」。これはカカオとトウガラシ、その他香辛料を混ぜて作った濃厚ソースのことで、ゆでた鶏肉にからめていただくのが一般的。
残念ながらチョコレート味はしません!先日、某バラエティ番組の「2017年に流行る、日本ほぼ未上陸の各国料理」の第3位に選ばれていた、という友人からのレポートを聞きましたが、日本で流行の際にはぜひお試しください!
著者 :服部 津貴子(監修)、こどもくらぶ(編集)
出版社:WAVE出版
お子さんでもわかりやすいように、メキシコ料理や食材など丁寧にカラフルな写真入りで解説しています。