2024年10月22日 公開

ママの職場はわが子の学校!小学校でのお仕事はメリットだらけだった!

我が子の通う学校でお仕事をすることになった筆者。イギリスならではの仕事に対する考え方や想像以上に働きやすい環境のイギリス現地小学校でのお仕事について綴ります。

イギリスは夏休み明けの9月から新学期が始まります。新しい担任の先生、学年が始まりまた一年頑張るぞ!と気持ちが引き締まる季節です。それに伴い、何とこの度、筆者もイギリスの小学校で働くことになりました。

子ども達と一緒にママも始めたドキドキの新学期。今回はやってみたら想像以上に関心することが多かったイギリスの小学校でのお仕事について書こうと思います。

わが子の小学校でお仕事をすることになりました

筆者の子どもたちが通う小学校からは、定期的にニュースレターがメールで届きます。ほとんどの内容が、学校行事や注意喚起、先生の異動についてなどです。6月にもニュースレターがいつものように届きました。よく見てみると、最後のほうに求人情報が。

「学校が始まる前の朝食クラブと、放課後のクラブのアシスタント募集中。時給〇〇、仕事内容は子どもたちが遊んでいるときの見張り、食事のお世話など。 自身の子どもは無料でクラブに参加できます」

簡単にまとめるとこのような内容のメールが送られてきました。さっと目を通したときは正直興味がなかったのですが、メールを読んだ主人に、やってみたら?と言われて、よく考えてみることに。でも正直子どもと遊んだりするのはあまり得意ではない筆者。私には向いてないかも。。と思っていたら、たまたまその日に会った仲良しのママ友に、メール見た?あなたがやってるの想像できるわよ!と言われてすぐその気になり、仕事に応募したのでした。

そして、次の週には面接を受け(まさかの校長先生も面接に!)、その日の夕方に採用の連絡と具体的な曜日と時間、仕事を始めるにあたって提出が必要な書類についての説明がありました。

初めは全く興味のなかった学校でのお仕事がとんとんと一気に決まってしまったのです。今振り返っても、あのスピード感はやっぱりなにか縁があったのかなぁ、と思います(笑)

学校でのお仕事はママにとってメリット盛りだくさん

9月の新学期に合わせてお仕事が始まったのですが、いざ始めてみると思った以上にこの仕事がママにとって合理的でメリットに溢れているのが分かりました。

というのも、イギリスでフルタイムで働く親御さんを悩ませるのが子どもの送迎問題。イギリスでは10歳以下の子どもは必ず大人が付き添って学校の登下校をしなければなりません。朝は8:30に一緒に登校し、午後は3:15に子どもを迎えに行かなければならないのです。これはどのご家庭にとっても本当に大変。特に9時から5時までフルタイムの仕事をしている親御さんの多くが頭を悩ませています。そんな親御さんのために今筆者がアシスタントとして働く朝食クラブと放課後クラブを学校側が運営しています。朝は7時45分から子ども達を預かり朝食を食べさせ、時間になったら教室まで連れていきます。午後は3時15分に学校が終わってから保護者が迎えに来るまで預かります。

働きながら子供たちを育てるというのはとても大変なことです。仕事と子育ての両立、時間のマネージメント、収入と経費のバランスなど考えなくてはいけないことがたくさん。どのご家庭も悩みながら、工夫しながら頑張っています。

筆者も、送迎時間に合う仕事を見つける大変さはよく知っていましたし、実際にとても苦労しました。それが学校でのお仕事はそんな悩みや苦労を一気に解決したのです。

子どもがお休みの日はママもお休み

イギリスの学校には、毎学期の中間にやってくるハーフタームという1週間のお休み、2週間のクリスマスホリデーとイースターホリデー、夏休みは6週間と年間を通してたくさんのお休みがあります。そのため働く親御さんはそのたびに子どもを預けられるところ(チャイルドケア)を見つけるのに必死です。もちろんお金もかかります。

ところが、学校でのお仕事は学校が休みの日は私もお休みです。週末や長い夏休み、ハーフタームも子どもと一緒に休めるのでチャイルドケアにお金を払う必要もなく、子ども達と一緒に休みを満喫することができます。私が出勤している間は子どもたちもクラブに参加して、私の仕事が終わると一緒に帰るという流れです。

’働く間子どもをどこかに預けなくてはならない=お金がかかる’という問題に悩むことなく働くことができています。

きちんとお金をいただいてのお仕事

特に経験や資格がなくても働くことができたこのポジション。自身の子どもも無料でクラブに参加する代わりに、ボランティアとしてお願いするということもできたと思います。ですが、しっかりと時給をいただいています。イギリスの今の最低賃金は一時間£11.44。資格などを特に要さないお仕事(主に小売業やパートでのお仕事)はこの最低賃金で雇われることが多いです。

筆者が働いているアシスタントのお仕事も特に資格を必要とはしませんが、最低賃金よりちょっとだけ高めに時給が設定されています。ボランティアとして学校のために無償で働くというのも素晴らしいことですが、しっかりとお金をいただくことで雇用関係となりお互いに対等な関係でいられますし、雇われる身としてはモチベーションも上がります。
また、日本で見るような親切心というのはイギリスにはあまりなく(笑)、お金をもらえないなら働かない、自分の仕事以外のことはしないというイギリスの文化も少し垣間見えます。

学校スタッフ、校内をより知ることでママの安心感アップ

お仕事を始めるまでは、学校のスタッフといっても子どもたちの担任の先生や受付にいつもいる事務の人ぐらいしかあまり知らなかったのですが、仕事を始めてからたくさんのスタッフと関わる機会が増えました。仕事を一緒にするのはもちろん、連絡を取り合ったり廊下ですれ違ったり、子どもたちからの話だけでは分からない学校スタッフと直接かかわることができて、どんな先生たちと子どもが毎日過ごしているのかがわかり安心感につながっています。

また、あまり学校のことを話さない我が子たちなのですが、仕事中に子どもの同級生からいろんな話を聞いたり、実際に自分の子どもが友達と遊んでいる様子を遠目に見ながら、ちゃんと人間関係を作れているな、お友達と仲良く遊べているな、と確認できるのもうれしいポイントです。

ここがすごい!イギリスの新人研修

仕事自体は難しいものではなく、子ども達が危ないことをしていたり、喧嘩やケガをしていたらお世話をするのが主な仕事内容です。子どもを持つ母親なら普段自分の子どもにやっているようなことなのですが、仕事を始める前にはきちんとした研修がありました。時間数が少なく、全校生徒と関わることがない仕事とはいえ、校内で子どもに接する以上知っておかなければならない知識や、対処法を学校で働く全スタッフが参加する研修会に私も参加しました。

DBSの提出は必須

子どもに関わる仕事に就く際に必須となるのが、DBS。最近は日本でも採用されることになったようです。これは、イギリスの司法省が管轄となり犯罪証明の管理と発行をするシステです。つまり、過去に犯罪を犯した経歴がないことを証明してくれる証明書となります。子どもに関わる以上、子どもの身の安全は一番に考えなければならないため、事件や犯罪を防ぐためにも、このDBSの提出は必須となっています。ちなみに筆者は、まだイギリスに住んで10年経っていないため、日本での犯罪証明書も提出するように言われ、提出しました。自国を離れてイギリスに住んでいる人も多いイギリス。イギリスでの犯罪歴がなくても自国での経歴があったら問題ですよね。多国籍な国ならでは、国籍や在英歴などによっての対応が徹底されています。

食品衛生に関するテスト

朝食クラブでも放課後のクラブでも、子どもたちに食べ物を提供しています。そのため、食品を扱うためのテストを受けました。これはオンラインの受講になったのですが、食品衛生と一言にいっても細かく分かれており、食品と安全、細菌の危険性、化学製品やアレルギーの危険性、食品の保存について、食品の扱い方、個人の衛生管理、掃除や感染を防ぐ知識など、結構具体的な内容のコースを受け、最後にテストで一定のスコアを取得して合格となります。

調理といっても、火を使うようなことはせず、サンドイッチのような簡単な調理をするだけでもこのようにしっかりとした知識の取得が必須というのはすごいですよね。日本では個人の衛生概念がある程度高く、ここまでしなくても良さそうですが、ここはイギリス。宗教も育った文化も全く違う人たちが一緒に仕事をするので、統一した知識の教育は必須となります。

子どもの安全に関する知識の共有

そしてもう一つ。子どもの安全に関する知識についての研修もあります。これは、子どもの虐待や性犯罪、学校での問題行動などちょっぴり重めの科目です。残念ながら、なかには様々な家庭環境やバックグランドをもつ子どもたちがいて、いつか自分がそういった子供たちと関わった時のために知っておかなければならない内容です。

目を背けたくなるような悲しい事件が実際に起きている世の中で、もし自分が知っている生徒が同じ目に合っていて、自分に助けを求めてきたらどうしよう。そんな時に役に立つ知識や対処法を学ぶことができました。また、実際に仕事を始めてみると、どう対応していいのか悩むことがあるのですが、やっぱり先生方は教育のプロ。聞けば適切な対処を教えてくれます。

週に数時間だけ働く私でもこういった研修を必須として参加させる学校側の、子どもに対して真剣に向き合う姿勢が素晴らしいなと感じましたし、私も一員としてサポートできるように頑張ろうと思えました。

小学校でのお仕事は想像以上に’win win’だった!

初めは自分が学校でこの仕事をするなんて考えもしなかったのですが、働いてみたらなんて幸せな仕事だろう!と感じています。子どもを預かってほしい親御さんと、お金をいただきながら預かることができる私。働いてくれる人が欲しい学校と、その素晴らしい教育方針に賛同して力になりたい私。ポジティブな相互関係で成り立っているこのお仕事につけて本当に良かったなぁと思っています。

私が働くポジションだけでなく、見渡せば給食の配膳のお仕事や、クラスのアシスタントをしているスタッフも私のように自分の子どもが学校にいながら仕事をするママがいっぱいです。そしてみんな楽しそうにお仕事をしています。我が子が通う学校の力になれる事、チャイルドケアの心配をせずに働き、収入を得ることができることがママ達にとってどんなに素晴らしいかがよく分かりました。

ママと子ども、そして学校が一つになって教育の場を作る、盛り上げる、そんなシステムが筆者が働く学校にはありました。フレキシブルな職場が増えてきたとはいえまだまだ共働き家庭の負担は大きいですよね。それぞれが必要な助けを得られる、可能な範囲で力になれる場がある、そんな環境がより広まってみんなが一丸となって子育てをできたら理想的だなぁと思います。まだ始めたばかりのお仕事ですが、子ども達の成長と私自身がどれだけ学べるかとっても楽しみです!

◾️イギリス現地での学校生活の様子を知るにはChiik!のこちらの連載記事もおすすめです!

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この記事のライター

BLUNDEN
BLUNDEN

国際結婚を機にイギリスに移住。二人の子ども達とイギリス人のダディと毎日子育てに仕事に奮闘しています!美味しいものを食べるのが生き甲斐。主にイギリスの関する情報を交えた記事を執筆しています。