2023年04月15日 公開

野生動物が身近☆イギリスの庭を覗いてみよう【英国すくすくレポ】

庭にキツネやリスが来る!?今回の英国すくすくレポでは、イギリスの日常生活で見かける野鳥や野生動物についてご紹介したいと思います。日本では珍しいものや、逆に日英で共通している生き物もいます。どんな動物に出会えるのでしょうか?イラストを使いながらご紹介していきますね!

イギリスの住宅地には庭だけでなく、その住宅地をを森林が取り囲むように残されていたり、緑を絶やさないようにする工夫が多々見られます。都市部にも緑豊かな公園がたくさんありますし、郊外には田園風景が広がっています。そういう背景もあり、日常生活の中でも頻繁に野生動物と出会う機会が多くあります。

今回は、イギリスの日常生活で見かける野鳥や野生動物についてご紹介したいと思います。鳥や動物には、日本では珍しいものや、逆に意外にも日本と共通している生き物も。どんな動物に出会えるのでしょうか?イラストを使いながらご紹介していきますね!

日常の生活圏で見かける一般的な野鳥

生活の合間にふと庭に目をやると、よく何かしら鳥が遊びに来ています。どんな鳥が来るか特徴と合わせてご説明します。

Magpie マグパイ

黒い頭と白いお腹、そして特徴的な青い羽根と長い尾が美しい鳥です。カラスの仲間ということもあり、体は約45㎝と大きめの野鳥です。日本名の「カササギ」で聞き覚えがあるかもしれませんね。イギリスにいるのはユーラシアン・マグパイという種類で、知能が高く、しかし控えめな性格で、鳩のようにどこにでもよくいる鳥です。

Robin ロビン

ヨーロッパコマドリという和名でも知られるロビンは、体調が13cm程度の小鳥で、顔から胸にかけてのオレンジ色がきれいな鳥です。くるっとした愛くるしい目と人懐っこい性格、高音のかわいらしい鳴き声で、イギリス人に愛されている野鳥です。「冬の訪れを知らせる鳥」「クリスマスカードを運ぶ鳥」とも言われており、よくクリスマスカードのデザインにもなっています。

Wagtail ワグテイル

イギリスでよく見かけるワグテイルの種類は、日本ではハクセキレイと呼ばれます。体長が約21㎝程の細めの体の野鳥です。日本の住宅地でもよく見かけられる鳥ですが、筆者自身は日本にいたときはこの鳥の存在に気づいたことはなく、イギリスに来てからこの鳥の魅力を知りました。スタタタターと素早く足を動かして走っていく姿を見ると、思わず笑顔になってしまいます。

Blackbird ブラックバード

ビートルズの歌にもなっているブラックバード。オスは真っ黒の体に黄色い口ばしをもち、メスは茶色っぽい体をしています。まるで歌を歌っているような、とてもユニークな鳴き声が特徴的です。体の大きさはマグパイなどより小さく24cmほどです。

ご紹介した4種類の野鳥の他にも、青と黄色の鮮やかな体が目を引くBlue Tit、日本の雀に似ているけれど、茶色の中になんとなく色がグレーが混ざっているHouse Sparrow、高い木の上で時々見かけるWoodpecker(キツツキ)、田舎道の道路で散歩するpheasant(キジ)など、たくさんの種類の野鳥が身近に住んでおり、観察することができます。

今のところ我が家の庭には、鳥の巣箱や餌は用意していないのですが、それでも、ミミズや虫、生垣の実などを食べに、毎日野鳥が訪れます。今年は庭にバードフィーダーやバードハウスなどを設置するのも素敵だなと想像を膨らませているところです。

イギリスの庭は野鳥フレンドリー♪

野鳥にエサをあげるのはOK?

イギリス人にとって、野鳥は『ガーデニングに欠かせない大切なお友達』という感覚なのかもしれません。お庭にバードフィーダー(鳥のエサが入れてある容器)や水飲み場を設置しているお家は珍しくなく、バードハウス(鳥の巣箱)を設置しているご家庭も多いです。ガーデンセンターだけでなく、スーパーや小さい商店などでも鳥のエサが売ってあり、ヒマワリの種や木の実、穀物のような粒状のものが、ペットフードのように袋に入って売ってあるものもあれば、ボール状に固めてあるものもあります。またカラカラに乾燥したミルワームという虫も大きい容器に入って売ってあります。(虫が苦手な方であれば直視するのは勇気がいる見た目です…。ご興味があるかたが検索してみてください。)

バードハウスやバードフィーダーは市販のものを利用する人もいれば、自作する人もいます。今まで見たバードハウスで印象に残っているのは、余ったティーカップとソーサーで作られたものでした。まさに紅茶好きのイギリス人らしいアイデアですよね。他にも、最近人気なのはカメラ付きのバードフィーダーやバードボックスなどがあります。

鳥のエサに関しては、子どもの工作としても人気のテーマ。幼稚園などでは鳥にエサをあげられる工作をつくって、おうちの庭に設置するために持って帰ってきたりもします。日本では「自然に人間が手を出すのは、生態系に影響を与えるため、あまりよくない。」と言われたりもしますが、イギリスで野鳥にエサを用意するのは、長いイギリスの冬を鳥たちが乗り越えらえるよう助け合うというチャリティー精神のような考えから来ているようです。なので、野鳥にエサや巣箱を提供することはかなり一般的で、良い事という認識です。もちろん捕まえてペットとして飼うというような行為はタブー。あくまでも「お庭に遊びに来たお友達に、そっと陰から料理を提供する」という感覚です。

芝生の上にある毛の塊の謎

鳥といえば、イギリスに来て驚いた「犬を飼っている人の当たり前」があります。公園を散歩していると、芝生の上にふわっと大きい塊になった犬の抜け毛を見つけることがあるのですが、私は犬を飼っていないので、犬については知識が浅く、「季節の変わり目で、公園で遊んでいるうちに毛がたくさん抜けたのかな?」と思っていました。ある日、知り合いのドッグオーナーさんと一緒に散歩しているときに、毛の塊について聞いてみたところ、

「犬の毛をブラッシングした後や、季節の変わり目で犬の抜け毛が多めに出た場合に、芝生の上に毛をわざと残しておくのよ。そうすると、野鳥がそれを見つけて巣作りの材料に使ってくれるの。フワフワだし温かいから、鳥にとっても嬉しい事なんじゃないかしら。」とのこと。「野鳥のための毛の塊だったんだ!」と目から鱗でした。

LOVE or HATE? 英国リス問題

イギリス生息のリスは主に2種類

次は、イギリスで鳥の次によく見かける野生動物「リス」についてです。私が住むイギリス南部に住んでいるのはグレーの体をしたハイイロリス(Eastern gray squirrel)、スコットランドやその他の一部の地域に住んでいるのはキタリス(Red squirrel)です。もともとイギリスに住んでいたのはキタリスでしたが、生存力の強いハイイロリスがやってきて以来、キタリスの生息数は急激に減少してしまいました。

とはいえ、どちらのリスも大変かわいらしく、木の上やフェンスの上を走り回る姿を見かけると、作業の手を止めてしばらく見入ってしまうほど魅力的です。最近はリス用の木製ピクニックテーブル(リスのエサ入れ)が、イギリスでも売られています。リスがこのテーブルの席に座ってエサを食べる姿が、ピクニックをしているようで癒されます。

好き?嫌い?リスに対する複雑な事情

このように、リスを見かけると喜ぶイギリス人がいる一方で、リスを害獣扱いする方もいます。その理由は、せっかく植えた植物を食べたり、庭を掘りおこしたり、鳥のエサを奪って食べたりする、ごみを漁るなどの人間にとって困った行動をするからなのです。

ちなみに、リスといっても日本でペットとして飼われることもあるシマリスは、英語でChipmunkと呼ばれ、リスsquirrelとは別のものとされています。シマリスよりもずっと体が大きいイギリスのリス達。ずんぐりとした体にフワフワとした尻尾をもっています。

鳥用に用意したエサをとられないようにと、バードフィーダーに設置できるリス除けを利用する家庭もあったり、鳥だけが食べられるようにデザインされたバードフィーダーも売ってあるほどです。リスの生活も楽じゃありませんね。

お庭に来るお客様は他にも…

大きめの動物も遊びに来ます

少し前の話ですが、義母が朝、窓から庭の外を眺めていたら、若い鹿が迷い込んできていて芝生の草を食べていたそうです。義母の庭は両側が木製フェンスで区切られているものの、奥の方は広い野原のようなところと繋がっているので、そこからときどき動物がやってくるのだとか。別の日には、キツネが来ていたそうです。我が家の庭は全方向を木製のフェンスで区切っているため、鳥やリス以外の動物は入ってこれませんが、木製フェンスやブロック塀ではないお家の庭(または、どこかに穴が開いているとか)だと、動物が遊びに来てくれるようです。叔父の庭も、「ときどき鹿が走って横切っていくんだよ」と話していました。楽しそうですよね。

野生動物用の小屋を設置すると…

他にも、庭を訪問するお客さんとして、野生のハリネズミがイギリスでは一般的です。ハリネズミが滞在できる小屋(ヘッジホッグハウス/ホテル)を購入したり作ったりして、設置しているお宅もみかけます。
人間が設置した小屋を、実際に野生のハリネズミが使ってくれるのか?という疑問があるかもしれませんね。驚くことに、調査によるとその答えはYES!実に81%の小屋ではハリネズミが休憩場所として、59%は住みかとして、28%は繁殖場所として使ってくれるのだそうですよ!

ハリネズミの小屋にも、いろいろなデザインがあります。

https://www.gardenersworld.com/product-guides/nature/best-hedgehog-houses/

先ほども少し話に出たキツネの話にもどりますが、(下の写真は庭ではありませんが、)これは旅行先で娘達と遭遇したキツネです。このあと、金網の破れている場所をすり抜けて、こちら側に会いに来てくれました。とはいえ、キツネは場合によっては菌を持っているかもしれないので、むやみに触れ合うのは残念ながら危険。少し距離を保ちながら、交流させてもらいました。

このように、野鳥、リス、鹿、キツネ、ハリネズミ、そして野原などでよく見かける兎など、イギリスの生活には身近なところに野生動物との出会いがたくさんあります。自然を感じて育ってほしいと願う家庭にとって、子ども達を育てるにはとても良い環境のように感じます。

かわいいからと言って、むやみに手を出すと危険がある場合もあるので、そっと心の交流や陰ながら動物に協力する形にはなりますが、「地球に住んでいるのは動物も一緒なんだ。」「人間だけでなく、動物も住みやすい環境を大切にしていきたい。」という優しい気持ちが育ちそうですね。

■いしこがわ理恵さんのイギリス漫画レポートの記事はこちら↓↓↓

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この記事のライター

いしこがわ理恵
いしこがわ理恵

在英12年目ハンドメイド好きの2児の母。武蔵野美術大学卒業。現在は教育に携わる仕事の他に、日本にルーツのある子どもたちを対象とした日本語子ども会活動・児童文庫活動も行っています。興味の範囲が幅広いので、常にいろいろな方向にアンテナをはりつつ情報収集が日課です。ハッピー子育てに役立つ情報をみなさまにお届けできれば嬉しいです。Instagram @rie.ishikogawa