2018年04月19日 公開

外国語活動の早期化に小学校教員の賛成多数!気になる今後の課題とは?

2020年度より外国語活動が早期化され、小学3、4年生からスタートします。これを受け、英会話教室のイーオンが小学校教員を対象に調査をしたところ、約90%が早期化に賛成と回答。その理由と結果から見えてきた課題を、外国語活動の早期化についても解説しながら説明します。

2020年度より外国語活動が早期化され、小学3、4年生からスタートします。これを受け、英会話教室のイーオンが小学校教員を対象に調査をしたところ、約90%が早期化に賛成と回答。その理由と結果から見えてきた課題を、外国語活動の早期化についても解説しながら説明します。

小学校における外国語活動の早期化とは?

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文部科学省が2017年に発表した「次期学習指導要領改定案」では、英語を親しみながら学ぶことがメインだった小学5、6年の外国語活動を、3、4年に前倒しすることになりました。

そして5、6年は英語が教科書を使う正式な教科に格上げされ、「外国語科」に。これに伴い、数値による成績がつくことになります。

小学3、4年の外国語活動は、「聞く」「話す」が中心で、15コマ新設されます。5、6年ではさらに「読む」「書く」が追加され、現在より15コマ増の50コマとなります。コマ数増加による時間確保のため、総合学習の時間を15コマまで外国語活動に振り替えることが認められています。

「次期学習指導要領」の施行は2020年度で、2018年度から2年間は移行期間。全面実施されると、英語の授業時間はさらに増え、小学3、4年が35コマになり、5、6年は70コマとなります。

約90%の小学校教員が早期化に賛成

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英会話教室大手のイーオンは、2018年4月10日に「小学校の英語教育に関する教員意識調査」の結果を発表しました。対象は、現役の小学校教員153名で、イーオンが名古屋・東京・新潟で開催した「小学校教員向け指導力・英語力向上セミナー」の参加者です。

その結果、「外国語学習の早期化」については、87%が賛成と回答。その理由は、大きく次の2種類にわけられました。

ひとつ目は「英語に慣れ親しむ年齢は早いほうがよい」「中学年からはじめた方が興味をもったり、抵抗なくはじめられたりする」など早期化そのものを評価。ふたつ目は「高学年の英語科がスムーズに行える」など、教科化の前段階としての早期化を評価したものです。

また、「小学5年生から英語が教科化されること」については、63%が賛成という結果になりました。「中学英語にスムーズに移行するため」など、小中連携を見据えた上での賛成意見が特に多くみられました。一方で、 「評価をすることで、英語嫌いが増える」と懸念する声も出ています。

教員自身の英語力アップの時間確保に苦労

ニュースリリース|英会話 AEON イーオン (94025)

「自身の英語スキルアップにかけられる時間」については、「1日1時間未満」が65%、「全く取れない」の25%となり、合わせると90%の教員が1日1時間も確保できていない状況でした。また、週あたりでも「週1時間未満」が31%、「全く取れない」が11%となり、合わせると約40%の教員が、週1時間も確保できない状況であることがわかりました。

昨年の結果と比較すると、1日および週あたり、どちらの学習時間も下回る結果に。目前に迫った英語学習の早期化に賛成する意見が多いものの、自身の学習時間を確保することが難しい状況がうかがえます。

外国語活動の課題は「評価の仕方」がトップ

ニュースリリース|英会話 AEON イーオン (93325)

「現在の外国語活動で、先生自身が課題だと感じている点」について、最も多かったのは「評価の仕方」で89%という結果になりました。これまでの「外国語活動」では、教師コメントという形の評価でしたが、教科化に伴う今後の成績のつけ方に、やや不安が感じられる結果となりました。

2位以下は、「クラスルームイングリッシュ」が83%、「授業案の作成」が81%という結果に。評価だけでなく、授業内容にも課題があることがうかがえます。

子どもがグローバル化に対応できるように……

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英語教育の早期化は、さらに加速するグローバル化を見据え、これまでの学校教育では身に付きにくかった「コミュニケーション能力」を育成することが目的です。早期に導入することで、小・中・高の連携がよくなり、英語の能力を効果的に積み上げていくことが期待されています。

しかし、小学校教員の長時間労働や指導力の向上、教材開発など課題も多くなっています。また、全面実施に向けたコマ数確保のために、1日の授業時間数を増やしたり、土曜日や夏休みを活用しようという案も。教員だけでなく、子どもの負担増や保護者の反発も予想されます。

早期化に向けての課題は多く、それぞれの立場で意見があるのは事実。文部科学省と教育現場が連携し検討を重ねながら、子どもの将来のために、よりよいカリキュラムで進むことを願います。

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この記事のライター