2024年07月08日 公開

家庭菜園で広がる視野☆子育て×ガーデニング【英国すくすくレポ】

イギリスはもともとガーデニングが盛んな国。今回の英国すくすくレポでは、イギリスの『家庭菜園』事情をご紹介します。日本でも『家庭菜園』を始める人が少しずつ増えています。子育てをするママ目線の体験談を踏まえながらレポートするので、是非お子さまと一緒におうちの庭やベランダで野菜や果物を育てる参考にしてみてくださいね。

近年日本でも始める人が少しずつ多くなっている『家庭菜園』ですが、皆さんのご家庭ではいかがでしょうか?

イギリスはもともとガーデニングが盛んな国なので、庭仕事を趣味としている方が多くいるように感じます。ガーデニング用品や植物を扱うガーデンセンターが各地にあり、春先になるとスーパーマーケットでもガーデニング関連商品コーナーが作られますし、ガーデニング関係を扱うオンラインショップも数多くあります。思い立ったときに気軽にガーデニングを始められる環境が整っているのがイギリスです。

今回の英国すくすくレポでは、イギリスのガーデニングの中でも特に『家庭菜園』事情に注目して、子育てをするママ目線の体験談を踏まえながらレポートします。

【子育て×家庭菜園のメリット】

子育て中に家庭菜園をするメリットは、いろいろあると思います。その中でも、特に実感していることが、食物が育つことの神秘を身近に感じることではないでしょうか。

野菜を育てるにあたって、水やりや日光・温度のことを考えなければいけないですし、害虫対策も学ばなければなりません。せっかく育ってきたのに、一晩でナメクジに食べられてしまうというアクシデントもあり得ます。また、種の種類によって発芽までの日数に大きく差があったり、種を植えたとしても必ず芽が出るわけではない厳しい現実も目の当たりにします。そういった難しさを経験しながら食べ物を自分たちの手で育てることで、せっかく育ってくれたのだから、大切に好き嫌いせずに食べたいと思うようになるかもしれません。

娘たちは自分たちが育てている野菜もお店に並んでいる野菜も、長い時間をかけて、しっかり育ってくれたからこそ食卓に並べることができること実感しているようです。また、昨年の作物から集めた種を今年また植えたことで、生命が循環することも面白いと感じたようです。

長女も次女も偏食傾向があり、新しい食べ物に挑戦するのがあまり好きではないのですが、次女は家庭菜園からとれた新鮮なハーブを喜んで食べるようになりました。長女もイギリスのスーパーでは買えない日本の野菜を育てることで、食文化に少し興味を持ち始めてくれました。

vegepod – amazon.co.jp

筆者宅では一昨年に引っ越してから、念願だったミニ家庭菜園を始めました。引越し前の家でも植物を育ててはいましたが、花がメインのガーデニングでした。ですから、引っ越してからは、まず畑スペースを作ることを考えました。とはいえ、畑スペースを作るために芝生のスペースを削るのは、子どもが走り回って遊ぶうちは避けたかったため、いろいろとリサーチした結果、上の写真のvegepodという大きな野菜栽培コンテナを買いました。

vegepodに決めた理由は、菜園の上にカバーがついているだけではなく、地面から離れているので、害虫や動物の被害を防ぎやすくなります。そして一番の決め手は、野菜を植えているコンテナの下部分に水をためることができ、土が水を吸い上げてくれるシステムでした。夏に日本へ里帰りすることが多い我が家は、夏の間の水やりができないことが心配でした。ですが、このコンテナのシステムのおかげで、日本へ行って帰ってきた後も(その間は数週間水をあげられませんでしたが)、なんとか枯れることなく野菜が実っていたので、良い選択だったと思っています。

【ミニ菜園からレポート】

去年はスーパーで買ったミニトマトでサンドイッチを作る際にまな板の上に落ちた種を植えてみたというズボラなスタートでしたが、ちゃんと芽が出て立派なミニトマトが次から次へと実り、生命力の強さに驚きました。同じ方法(野菜の捨てる部分から再生栽培&種取り)で、今年はパプリカやネギも育てています。

去年は小松菜に挑戦したのですが、小さい芽が出たときと成長した後のサイズのギャップを考えずに種をたくさん蒔いてしまったため、『小松菜ジャングル』と呼びたくなるほど生い茂って、「たくさん蒔けば良いってものじゃないのね…」と失敗からの学びもあったり、植物ごとに発見があって面白いです。子どもからも「お母さん、これはさすがに植えすぎたね…。」とツッコミが入るほどでした。意外と一家庭で食べる野菜の量って、そんなに多く育てる必要はないんですよね。そう考えれば、畑というほどのスペースが取れない我が家のような場合でも、花壇程度のスペースや上記のコンテナタイプのもの、植木鉢で始められる家庭菜園からスタートするのも良いかもしれません。

ところで近年では、イギリスでもカボチャや紫蘇など日本食に欠かせない植物の種もオンラインで購入できるところが増えてきました。(店頭には、まだまだ並びませんが…)ですから、日本の食文化を少しでも子どもたちに伝えたい&イギリス生活の息抜きに日本の味を味わいたいという目的で、今年はそういった野菜にも初挑戦中です。紫蘇はイギリスの土地でも育ちやすいそうなので、期待大!日本でお馴染みの野菜は高めの気温が必要なものも多いようなので、夏でも急に寒くなってしまうことがあるイギリスで上手に育つか不安ですが、カボチャも植えてみました。

日本にお住いの家庭菜園実践者の皆さんで、イギリスの野菜に挑戦していらっしゃるという方もいるかもしれませんね。日本ではあまり見かけないルバーブやパースニップスなどは、日本人の味覚にも会いやすい野菜なので、機会があればぜひ栽培してみてください。

【ガーデニング大国イギリス】

先述した通り、イギリスはガーデニング大国です。春には毎年「チェルシーフラワーショー」という英国王室の方々も足を運ばれるほど有名な、世界最高峰の園芸コンテストが開催されます。
また、雑誌コーナーに立ち寄れば、たくさんのガーデニング雑誌を目にしますし、園芸専門店やガーデンセンター、ナーサリー(植物を専門で売っている店)が各地にたくさんあります。他にも、アロットメントと呼ばれる区画割りを借りることができる農園も点在していて、本格的な家庭菜園をしてらっしゃる方もいます。

そんなイギリスですから、ガーデニングが趣味という現地の方々も大変多く、挨拶がてらの日常会話でガーデニングの話をすることも多いです。また、比較的治安の良いエリアであれば、後ろの庭だけでなく、前庭(玄関の前)もきれいに整備されたお庭がほとんどです。住宅地の治安が、家の前庭の状態でわかると言っても過言ではありません。住宅地付近をぐるっと散歩するだけで、各ご家庭のお庭のデザインや、そこに植えられている植物に魅了されます。

筆者のお隣さんもガーデニング好きなようで、顔を合わせるとガーデニングの話で盛り上がります。最近、お互いに「今年は家庭菜園に力を入れようと思っている!」という話をしたところ、先日庭仕事をしていたら、お隣さんからフェンス越しにお声がかかりました。
「ねぇねぇ、レタスの苗がグリーンハウスで育ってきたんだけど、いるかしら?」と。「Yes, Please!(ぜひお願いします)」と喜んでお言葉に甘えさせていただきました。ちょうどその前夜に、レタスの種を購入するかどうか迷っていたところだったので、パーフェクトタイミングだったのです。
お隣さんはフェンスから手を伸ばして、レタスの苗(と、おまけにパプリカの苗も)くださいました。それで「お礼に」と、トマトの苗とディルの苗を差し上げて、苗の物々交換をしました。

このように、2つの家庭菜園好きな家庭が結びつくだけでも、苗の種類がお互いに増えていき、庭の可能性がどんどん広がっていくという嬉しい経験をしたのでした。
食料品などの物価の高騰が問題となっている近年ですが、このように地域社会で物々交換のように助け合いができたら素敵ですよね!

【地域の学校の取り組み】

娘が通う小学校もガーデニングが盛んです。学校の花壇と畑の管理をする職員の方が数名いらして、水やりや植物のお世話をしています。ですが、それだけでなく、子どもたちも植物に関われるように、例えば放課後のガーデニングクラブが季節ごとにメンバーを募集していたり、学習支援が必要なお子さん方の学校生活の一環としてガーデニングの時間が設けられていたり、全校生徒が食べる果物の皮や残りなどをコンポスト(堆肥)にする活動をするグループを毎年募って、学校の花や野菜・植物などを上手に管理しているようです。

その頑張りの成果もあり、学校はいつも花や植物に溢れ、たとえ秋~冬の花が咲きにくい時期であっても、庭が荒れていることは決してありません。生徒たちも、どこに何が植わっているのかがわかるサインがあるので、花壇や畑スペースを大事に扱っているのがうかがえます。

この学校の取り組みとして、もう一つ素敵だなと思うことは、育てた植物を上手に活用して学校のイベントなどに役立てていることです。
小学校にはマーケットデーという小さめのバザーのような日が学期ごとに開催されたり、スクールフェアという大規模な夏・冬祭り的なイベントも開かれるのですが、そういったイベントの際に、学校で育てた食材も活用して、ストロベリーアイスやルバーブ&ジンジャーアイス、ローズマリー入りのスコーンなどさまざまな食べ物を作って販売します。
他にも、学校に咲いた花を使った押し花の小物や植物の種から育てた苗なども売られています。学校で育てた食材や植物を使って料理や作品を作るのは校長先生をはじめ、この学校の先生方や生徒たちです。

ただ植物を育てるだけでなく、それを使ってさらに次の作品へとつなげ、その売り上げは学校のPTAの管理する学校の予算となる(たとえば他のイベントを開催したり、遊具を新しくしたりすることに使われる)って、とても理にかなっていると思いませんか?

家庭菜園といっても、「自給自足を目指す!」というような大きな目標を掲げる必要は無くて、子どもと一緒に一つの植物の種を植えて収穫し、共に味わってみるというようなシンプルな工程を一つずつ経験していくだけでも、子どもの学びには大きな影響を与えると思います。また、子どもだけでなく、大人の私たちにとってもたくさんの発見があって意外と面白いものです。

地球環境の変化や世界経済、物価の動きが注目されている今、食べ物はどのようにできているのか、どのように育てるのか、自分たちがこれからの地球で生きるために、何か少しずつでも挑戦できることはないかと一歩踏み出してみることは、その後の大きな安心にも繋がる経験となります。

ぜひ皆さんも、お子さまと一緒におうちの庭やベランダで野菜や果物を育ててみませんか?


■いしこがわ理恵さんのイギリス漫画レポートの記事はこちら↓↓↓

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この記事のライター

いしこがわ理恵
いしこがわ理恵

在英12年目ハンドメイド好きの2児の母。武蔵野美術大学卒業。現在は教育に携わる仕事の他に、日本にルーツのある子どもたちを対象とした日本語子ども会活動・児童文庫活動も行っています。興味の範囲が幅広いので、常にいろいろな方向にアンテナをはりつつ情報収集が日課です。ハッピー子育てに役立つ情報をみなさまにお届けできれば嬉しいです。Instagram @rie.ishikogawa