数唱ができるようになり「数」が生活の中に徐々に入ってきたら、数の概念についても学ぶタイミングです。数字を言えたとしても、個数や数の大小などは理解できていないこともあります。ゲーム感覚でできる数の概念の学び方について4、5歳児との体験談を交えてご紹介します。
10から先の数を言ってみよう
すらすら言えるようになった頃、その先にも数があることを知って欲しいと思い100までの数字が書かれたポスターをお風呂に貼り、毎日少しずつ数唱の練習をしました。
最初は大人の後に続いて言っていき、その次にポスターの数を一つずつ指差ししながら読んでいきました。1〜10までについてもそれまではただ唱えるだけでしたが、ポスターを見ながら言うことで数字の音と表記を一致できるようになりました。
少し覚えてきたら、「24はどれ?」「32の次は何?」などクイズを出しながら遊びました。この数字クイズで「◯◯の前」「◯◯の次(後ろ)」といった概念も自然と頭に入っていったような気がします。
同じ数を探そう(同数発見)
まずお手本のカードを1枚出し、その下に違う絵が描かれたカードを4枚並べます。お手本カードと同じ数字のカードはどれか当てるゲームです。
パッと見て「わからない!」となってしまうのであれば、最初はそれぞれのカードの数を一緒に数えるところからはじめてみてください。また、小さな数からはじめるとわかりやすいです。
数えてから同じ数はどれかを当てることに慣れてきたら、頭の中で数えて当てる方法に切り替えてみます。
筆者の息子の場合、最初は何度か指差しをしながら声を出して数えていましたが、次第に描かれた絵を目で追って頭の中で数えられるようになり、最後にはパッと見て数がわかるようになりました。
本人に間違えた理由を聞いてみたのですが「見間違えた」というのみ。どうしてだろうと考えてみて気づいたことがあります。
あくまでも私見ですが、息子の日常的経験の中においてまだ「点」という概念が育まれていないために、点が何なのかわからず、数える前に少し混乱してしまうからでは、と考えました。絵柄の方は生活の中や絵本でもよく見かけるもので親しみがあり、数えやすかったのだと感じました。
ここで点についても親しんでおくと、就学してからの算数の授業で重要な「具体と抽象(演繹・帰納法)」への理解に繋がるかもしれません。
他にも同数発見のゲームは考えられます。たとえば、たくさんカードを並べて同じ数同士のグループを作るゲーム、も楽しいと思います。
同数発見では、「きちんとものの数を数えられるかどうか」や「数えた数字を記憶しておけるか」などの力が問われます。小学校受験でも頻出度が高い分野です。
数を順番に並べよう(数系列)
・連続した数のカードを数枚出してバラバラに並べたものを順番に並べる
・ランダムにカードを数枚出し小さい方から順に並べる
などさまざまな出題ができます。
わが家では、ランダムに出したカードを小さい順に並べるクイズを出しました。絵柄カードでの正解率が高くなったあとは、数字を順番に並べるクイズに切り替えました。
書き終えたら、まず1から順番に並べて数列のおさらい。その後、先ほどと同じように4枚のカードをバラバラに置き小さい順に並べるよう出題しました。
ここで気づいたことは、絵柄(個数が目に見えてわかる状態)ではスムーズに並べられたのですが、数字になると手が止まってしまいました。
要するに数字と数がリンクしていないということです。
そこで数字の上に点で表記された「かずカード」を一緒に並べ、数字と個数を視覚的にわかりやすくしてみました。
慣れないうちは1〜5までを繰り返し、だんだんと数を増やしていくと良いでしょう。ここで焦らず数字と数をきちんとリンクさせることが大切です。
あといくつ必要?(数の構成)
今回は、りんご柄の「かずカード」でお買い物ごっこをしながら、「数の構成」を一緒に考えてみました。
・欲しいりんごの数
・カゴに入っているりんごの数
・お店に置いてあるりんごの数
の3に分けてカードを並べます。「欲しいりんごの数」と「カゴに入っているりんごの数」は1枚だけ、お店には、正解を含めた3枚のカードをおきます。
余談ですが、息子の顔と「ほしい」と書いたカードも作ってみたのですが、これが息子に大ウケで、このゲームにも楽しく取り組んでくれたように思います。
さて、ゲームの進め方ですが、まず、「何個りんごが欲しい?」と問いかけます。「欲しいリンゴの数」をしっかり覚えさせます。
次に、「カゴには◯個りんごが入っているけど、あと何個お店で買えばいいかな?」と聞いてみましょう。お店にある3枚のカードから選んだ数と、カゴの中に入っている数を合わせて、欲しいリンゴの数と合っていれば正解です。
最初はゆっくりと数えながら取り組んでいましたが、繰り返すことでだんだんとスピードアップでき正答率も高くなりました。答えるスピードだけ早くなり、数えるのがでたらめになってきたときは、一度落ち着かせ正確に数える、というステップに戻ってやり直します。
今回は足りない数を当てる足し算要素のあるゲームでしたが、「◯個のりんごがお皿にあります。ママが◯個食べてしまいました。残りは何個あるかな?」など引き算の考え方で出題もできます。
子どもにとって馴染みのあるアイテムを用意すると、楽しんで数の構成について学ぶことができますよ。
楽しく遊びながら数の概念を教えよう
数の概念を理解するのはとても難しいです。大人にとっては当たり前のことも、子どもにとってはちんぷんかんぷん。はじめは的外れな答えが出てきたり、数えているのに違う数字を言ったりと困った状況が続くかもしれません。
つまづいたときは、一つ前の段階に戻っておさらい。親の焦りは禁物です。ゆっくりと進めましょう。子どもの理解度をよく観察することが大切です。
そして数の学びが楽しくなるようにゲーム感覚で取り組むと良いですよ。数のドリルを取り入れる場合、迷路や点つなぎなどは子どもが興味を持ちやすいです。
「かずカード」でゲーム中つい白熱してしまったのですが、途中で息子の様子がおかしくなり聞いてみると「頭の中に数字がたくさんあって、ぐちゃぐちゃになってきた」と言っていて反省しました。知育ゲームは子どもがのぼせない程度に楽しみましょう。
おおかた筆者が問題を出していましたが、途中で何度か息子の方が自分からクイズを出してくる場面もありました。
問題を出せるようになったということは、きちんと理解できている証拠!そんな場面に出くわしたらたくさん褒めてあげましょう。
家にあるものや100均で揃うものでも数遊びはできます。おうちでできる知育遊びの一つとして取り組んでみてくださいね。