アゲハチョウの幼虫飼育は、実はとっても簡単。変化が多くて楽しい時間です。何より、子どもの理科への興味が増します。約1カ月の間に、卵から幼虫、サナギ、成虫と変化するなかで、生命の神秘に立ち会う瞬間も山ほど!お子さまと一緒にできる、飼育の手順をご紹介します。
アゲハチョウの幼虫飼育で学べること
わが家のアゲハチョウ幼虫との暮らしは、近所の柚子の葉っぱについた青虫を見つけたところからスタートしました。子どもたちと夢中になった日々を振り返ると、多くの学びや気付きがありました。
・生き物を飼うには、エサの確保が超重要!
(葉っぱが不足し、近所を散歩しては柑橘類の葉っぱを探し回る日々)
・たくさん食べたら大きくなる→食べたらウンチが出る。これが生きるということ!
・毎日のように変化があり、虫カゴを日々確認する習慣ができた
・幼虫の色の変化、蛹化(サナギになる工程)、羽化のどれにも感動!
・食草、変態、擬態、といった、理科の概念を体感できた
・今はどの段階かな?と図鑑で調べる習慣ができたり、家族の会話が増えるなど、他にも副産物あり
特に、柑橘類を探すため、自宅の周りの樹木に詳しくなったことは意外な収穫でした。これまでも生き物の飼育にチャレンジしたこともありますが、これほど多方面的に思考が広がったのははじめてです!
アゲハチョウ幼虫の飼育に必要な準備とは?
ここでは、一般的にアゲハチョウと呼ばれている、ナミアゲハの幼虫飼育についてご説明します。まずは、アゲハチョウの幼虫を迎える準備をしましょう。
【準備】
・アゲハチョウの部屋の準備
ふたのできる大きめの容器を用意しましょう。わが家では、虫カゴを飼育ケースとして代用しました。
・エサの準備
アゲハチョウは柑橘系の葉っぱを食べます(チョウの種類によって食べるものが違うので要注意)。葉っぱがしなびてしまわないよう、濡れたティッシュとアルミホイルでくるんだり、水を入れた容器に葉っぱを挿したり対応しました(幼虫が水に溺れないような工夫が必要)。
【毎日のお世話】
・エサの葉っぱを切らさないこと
・毎日大量にする黒いウンチを捨てること
特に虫がわくこともなく、特別な道具も必要ないため、どのご家庭でも気軽に取り組めるのがアゲハチョウ幼虫のよいところだと思います。
アゲハチョウの卵や幼虫はいつ、どこで見つけられる?
アゲハチョウが産卵する回数は1年に3〜4回。季節型で、発生する時期によって違う姿になります。アゲハチョウの代表的な種・ナミアゲハは、春型、夏型、秋型とあります。秋(10月上旬頃)に卵を産むものは、春先に春型のチョウになります。また、春先に産んで6月に成虫、あるいは6月に産んで8月、8月に産んで9月末という型があり、それぞれサイズが違います。
卵は、幼虫のエサとなる柑橘類の葉っぱに産み付けられています。写真のような虫食いの葉っぱを見つけたら、近くに卵や幼虫がいる可能性大!目をこらして探してみてくださいね。飼育のためには、幼虫だけでなく、葉っぱも持ち帰ることをお忘れなく!
わが家には、柑橘類の樹木がないため、ご近所さんに葉っぱを分けてもらったり、子育て支援センターのミカンの木の葉をいただいたりと、なんとか工面するのが大変でした。
同じような形でも、においを嗅いで、これは違うな、これはそうかな?と、葉っぱを求めてのお散歩をする日々……。身の回りの樹木をよく知る良いきっかけになりました。柚子などトゲがありますので、十分ご注意ください。
アゲハチョウの幼虫の変化とは?
1カ月くらいの間に、幼虫は、
卵
↓
幼虫(1齢幼虫~5齢幼虫まで。色は黒→白いまだら模様のある黒→黄緑色)
↓
サナギ
↓
成虫
と変化します。
黒と白のまだら模様は、見ると気持ちが悪いのですが、これは鳥のフンと見せかけることで、捕食されないようにする擬態の一種です。何度も脱皮を繰り返し、脱いだ皮は食べていました。青虫の目に見える部分も実は文様だったり、足も何本あるの?と気になったり、筆者の息子たちも食いついていました。
緑色になった幼虫は、本当によく食べます。そして大量のフンをします。この時期は葉っぱを多めに&掃除もこまめにしてくださいね。「生きる=食べる」ということが子どもたちにも、強烈に伝わっているようでした。
面白い実験をしてみよう~!
サナギから羽化を経て成虫に!
もりもり食べていた青虫が、急にあまり食べなくなるときがきます。いよいよサナギになる時期がやってきます。
歩き回って気に入った場所を見つけると、糸を出してくの字に身体を固定します。そして、1日ほど経つと少しずつ皮を脱いでサナギになるのです。
アゲハチョウが羽化したら…観察タイム!
サナギになって1〜2週間ほど(越冬する場合は春先まで)経つと、いよいよ羽化のタイミングです。サナギの中が少し透けて見えて、外から見ると乾いてカサカサな感じになったら、いよいよそのときが!
羽化自体はあっという間に終わってしまうため、見逃しがちですが、大丈夫!出てきてから飛び立つまでに半日ほど、体を乾かしていきます。
ここからが、観察タイムです!普段なら飛んでいてよく見えない細部が見放題。ぐるっと丸まっているストローのような口、キレイな模様の4枚の羽(前ばねと後ろばねで模様が違います!)、脚のつきかたや触覚の様子など、じっくり見てみてくださいね。
残念ながら、チョウは飼育には適さない昆虫です。虫かごに入れておくと壁にぶつかって羽がどんどん痛み、弱ってしまいます。無事成虫になるのを見届けたら、外に置いて、チョウのタイミングで逃がしましょう。
アゲハチョウの観察を通じて、ワクワクドキドキ理科の先取りをしよう
中学受験でも、サナギになるならないの「変態」や、アゲハはミカン科、モンシロチョウはキャベツが食草(エサ)という内容は重要事項となるそうです。もちろん知識で覚えるのもよいですが、実際に飼ってみると感動があり、発展学習もでき、素晴らしいなと思います。
昆虫の面白さがぎゅっとつまったアゲハチョウの一生。その一部を観察する機会はとても貴重なものとなりました。手軽にでき、卵を見つけるチャンスは1年間に3、4回ありますので、ぜひお子さまとトライしてみてください。