2024年12月03日 公開

留学はマイナー?イギリスの国際交流事情【英国すくすくレポ】

今回のすくすくレポはイギリス人にとっての海外、とくに留学や国際交流についてご紹介します。いつかお子さんを留学させたい・親子留学したいと考えてらっしゃる方はぜひ参考にしてみて下さいね。

皆さんは海外留学について、どんなイメージがありますか?今、これを読んでらっしゃる読者の皆さんの中には、いつかお子さんを留学させたい・親子留学したいと考えてらっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんね。筆者は中学時代、ある先生との出会いをきっかけに、「将来は海外に留学したい!」と夢を抱くようになりました。当時は今よりももっと留学のハードルが高かったのもあり、結局日本から一歩外へ出たのは、大人になってからでしたが…。しかし近年でインターネットの普及や海外旅行・留学をする人の数も随分増えて、海外が近く感じられるようになってきたのではないでしょうか。

さて、今回はイギリス人にとっての海外、とくに留学や国際交流について焦点を当ててお話をしてみたいと思います。

イギリスも日本と同じように島国であり、どこの国に行くにも海を渡らなければなりません。とはいえ、イギリスはヨーロッパ圏、外国へのアクセスもしやすく、多くの国で英語が通じることから、「きっと学生たちの留学も盛んにおこなわれているのでは」と予想するかもしれません。少なくとも、私はそう羨ましく思っていました。

イギリスなら、留学が多く行われているに違いない??

しかし、イギリス人に話を聞いてみると、意外とそうではないことに気づきました。留学が、実は意外とマイナーなことだったのです。

確かにイギリスからほかの国、特にヨーロッパ圏へ出かけていくのは、距離的にも大したことではありません。イギリスのどこに住んでいるかにもよりますが、英仏海峡トンネルを利用すれば、フランスやフランス経由で他のヨーロッパの国へ、すぐに出かけることもできます。飛行機でも短時間で欧州のさまざまな国へ旅行することが可能です。

ですがそれは旅行の話であり、周りの学生や子育て世代のイギリス人に聞くと「海外留学をする人は、そう多くはないかも」という意見を多く聞きました。予想外な答えに、子どもの頃から留学に憧れていた筆者は驚きを隠せませんでした。

ところが、話を聞くうちに、「海外留学をする人はそこまで多くない」理由に、「なるほど…!」と納得しました。

イギリス人学生の留学事情

そもそも、海外に留学する理由はなんでしょうか。
各ご家庭でいろいろな見解や目的があるかとは思いますが、多くの場合は、

・語学力の向上を目指す
・より質の高い教育を受ける
・異文化を通して、国際感覚を育む
・就職や将来のキャリアに活かせる
・行動力・人間力を伸ばす
・人脈を広げる

などの理由があるかと思います。

現地のイギリス人に、「こんなにメリットが多い留学なのに、どうして海外の大学に留学する人がそこまで多くないと思う?」と聞いたところ帰ってきた答えは、

・イギリス国内で質の高い教育が受けられる(海外から留学生が集まるほどの教育)
・英語はそもそも学びに出る必要がない(母国語だから)
・異文化は生活の中に転がっている(移民も多く、学校の中や日常で異文化に触れることが可能)
・イギリス人は海外旅行に行く人も多いので、国際感覚や行動力を広げることができる。
(確かに、いろいろな国へフットワーク軽く出かけていく人が多い)

等の見解でした。「あー、たしかに!」と思わず同意せずにはいられない答えでした。

つまり、「留学する」と身構える必要がなく、国内でしっかりと教育を受け、スキルを伸ばしつつ、異文化体験をしに気軽に海外へ出かけていくスタイルだということ。何とも羨ましい感覚ですよね!逆に言えば、その状態に少しでも並ぶには、日本からイギリスや海外への留学はある意味で必須なのかもしれません。そう思うと、長期でなくても短期でも可能な限り親子留学したり、旅行に出かけて国際感覚を育むことは、とても良い事なのではないかと思った会話でした。

とはいえ、イギリスで留学をする人が極端に少ないというわけではありません。上記のような理由(英語を学ぶ・異文化に触れる等)はすでにクリアしているため、それを目的として留学する人はそう多くありませんが、特定の国でしかできないスキル習得のために留学する人はいます。料理を学ぶため、音楽を学ぶため、他言語を学ぶために個人的に留学する人、カレッジや大学の留学制度を利用する人、ギャップイヤーを使って長期間の海外の旅に出る若者は増えているようです。

ちなみに日本も、近年若者のみならずイギリス人が留学先・旅行先として目指す人気の国の上位にランクインしています。日本の人気は年々上昇していて、日本人としては誇らしさと喜びを感じます。日本語を学びたい・日本文化を知りたいという人の数も本当に多くなっています!

お互いの家で異文化体験っていいね!

イギリスで国際交流のかたちとしてよく聞くのが、海外へのホームステイです。1週間~2週間程度で、海外のホストファミリーの家へホームステイするのですが、おもしろいシステムを採用しています。子どもはホストファミリーの家へホームステイした後、今度はそこの子どもと一緒に自分の家へ帰ってきて、自分の家へホームステイさせるというシステムだということです。

相手の国と自分の国の両方でホームステイ先の子と過ごすので、その間に子ども達の間に友情が生まれます。また、お互いの国や文化、家族や生活を紹介したり助け合うことで、異文化交流を行うこともできます。

親の気持ちとしても、自分の子どもが海外のホストファミリー宅へホームステイするだけだと「どんな家庭なんだろう?安全だろうか?同世代の子どもがいると聞いたけれど、うまくやっていけるだろうか?」と心配になりますが、相手のお子さんも自分のお家へ来てホームステイすることで、家同士の関わりが深くなり安心感が増えるので、良いシステムだと感じました。

チャンスがあるなら、日本人に留学はメリット高め!

今回の英国すくすくレポでは、イギリス人の留学が思ったよりもメジャーではないことと、その理由をお話しました。イギリス人はすでにスタートラインが一歩先だと感じた方もいらっしゃるかもしれません。逆に言えば、世界で通用する人材になるためには、スタートラインのそこに立ったうえで、さらにそこからの向上が必要だということ。だからこそ、子どもの脳がスポンジのように柔軟に学べるうちから英語を少しずつ習得し、異文化に触れておくことはとても大切です。

いきなり長期留学を目指す必要はなく、まずは地域で参加できる異文化交流のイベントに参加したり、おうちで海外のアニメを見ることなど、できることから少しずつ始めていくのも良いと思います。

上記でもお伝えしたように、今日本は文化や言語の面でも人気がある国です。逆に言えば、外国の方が学びたい言語が「日本語である」ということ。そう考えると、私たちは日本語が母国語である点でアドバンテージがあります。そこにプラスで英語や外国語が話せたり、国際感覚を持ち合わせたとしたら、それこそ未来は明るいと思いませんか。

可能性あふれる子どもたちにとっても、子育てをしている親世代の私たちにとっても、海外にちょっと目を向けて生活することの楽しさを味わって過ごしていきたいですね!

■いしこがわ理恵さんのイギリス漫画レポートの記事はこちら↓↓↓

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この記事のライター

いしこがわ理恵
いしこがわ理恵

在英16年目の2児の母。現在は日本語教育に携わる仕事とライター・イラストレーターとして活動中。興味の範囲が幅広いので、常にいろいろな方向にアンテナをはりつつ情報収集が日課です。ハッピー子育てに役立つ情報をみなさまにお届けできれば嬉しいです。Instagram 無料プリント @uk_warakado プライベート @rie_emily2023