2017年05月30日 公開

七田式教育/「愛情」が伝わると心が豊かに育つ

子どもに愛情を伝える方法はさまざま。その中でも3つのことを行うことで、子ども自身が愛を実感でき、それによって自己肯定感が育まれ、右脳が発達するそうです。特に注目は、子どもの伝える力が育つ「やまびこ話法」と「毎晩の絵本習慣」。「七田式教育」の七田厚先生にお話をお伺いしました。

子どもに愛情を伝える方法はさまざま。その中でも3つのことを行うことで、子ども自身が愛を実感でき、それによって自己肯定感が育まれ、右脳が発達するそうです。特に注目は、子どもの伝える力が育つ「やまびこ話法」と「毎晩の絵本習慣」。「七田式教育」の七田厚先生にお話をお伺いしました。

子どもに「愛」を伝える3つの方法

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――七田式教育では、すべての子どもは「可能性の芽」を持っていて、その「芽」は、何よりお父さん・お母さんからの「愛」によって育つとされています。子どもに愛を伝えるには、どのような方法がいいとお考えですか?

七田厚先生(以下、七田):子どもに愛を伝えるために大切なことは3つあります。

1つ目は、直接的なスキンシップを行うこと。
2つ目は、子どもの話にしっかりと耳を傾けてあげること。
3つ目は、絵本や児童書を読んであげることです。

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1つ目のスキンシップについていえば、手をつないだり、頭をなでたり、抱っこすること。また直接肌のふれあいがなくても優しい言葉をかけてあげたり、優しいまなざしで見つめてあげることで、「自分は大切にされている」という感覚を得ることができます。

親から愛されているということが実感できた子どもは、感覚脳、イメージ脳といわれている右脳が発達します。それによりやる気が出るのです。スキンシップをはかることで愛情が伝わり、心が豊かに育つのです。

子どもの伝える力が伸びる「やまびこ話法」とは

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2つ目の「子どもの話に耳を傾けてあげること」というのは、少しコツがあります。もちろんただ聞くだけでもいいのですが、「やまびこ話法」を取り入れると、子どもは「自分の話を聞いてもらえた」という気持ちが強くなります。

――「やまびこ話法」とはどのようなものですか?

七田:これは、子どもの発言した内容を繰り返し言葉で伝えてあげたうえで、新たな質問を1つ付け加える聞き方です。

たとえば、「お兄ちゃんが妹をたたいた~」と、妹が泣いて訴えに来たとします。そんなときは「ああ、そう。お兄ちゃんがあなたをたたいたの」と言って、いったん受け入れます。それから「どうしてお兄ちゃんはあなたをたたいたの?」と言うと、「私が○○をしていたらお兄ちゃんがたたいた」。「そう。あなたが○○していたらお兄ちゃんがたたいたのね。なぜあなたは○○していたの?」と、子どもが言ったことを繰り返しながら新しい質問を1つ加えて、掘り下げていきます。

こうすることで、子どもは自分の伝えたことを受け止めてもらえたと感じ、聞かれたことに対して、だんだん素直に答えてくれるようになります。また、毎日繰り返すことで、「次はこう聞かれるな」と思って、親が聞くよりも前に「こういう理由でこうした」ということをしたと、自ら説明できるようになるのです。

「やまびこ話法」を使って話をすることで、子どもは、「お母さんは自分のことをよく見て話を引き出してくれた」という感覚を持ち、非常に満ち足りた気持ちになります。

さらに、これを繰り返すことによって、わかりやすくまとめて話すことができるようになるのです。

絵本を読むのもスキンシップの1つ。小学校低学年まで続けよう

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――3つ目の絵本の読み聞かせですが、何歳くらいまで行うのがいいですか?

七田:小学校低学年くらいまでは続けた方がいいと思います。絵本以外にも児童書、図鑑などを読んであげるのもいいですよ。

実は、我が家でも子どもが小さい頃は、毎晩私が寝かしつけの時に絵本を読んでいました。読み聞かせを始めたのが下の子が1歳、上の子が7歳の時でした。息子に「あなたも好きな本を持っておいでよ」と言ったら、ゲームキャラクターの図鑑を持ってきたんです。「これを読むの? なにか別のお話の本を持っておいでよ」と言っていたら、そのうちに持ってこなくなってしまいました。

失敗したなと気づいたのは、その数年あとです。それまで子どもには本をプレゼントしていたのですが、それらの本をあまり読んだ形跡がないのです。それで「この子は本好きに育てることができなかったな」と反省しました。やはりあの時、図鑑でもいいから読んでやればよかったと思い、ストーリーの楽しさがわかる児童書の世界まで連れていくべきだったと……。

もう1つ記憶に残っているのが、夕食の時、息子を叱ったあとのことです。その時、息子はふくれっつらをしていたのですが、寝る時間になって絵本を読んであげることに。1冊目、2冊目と読んでいくうちに、息子の表情はみるみる変わり、3冊目を読み終える頃には幸せそうな顔で眠りについていました。

もしあの時、絵本を読む習慣がなかったらふくれっつらか、もしくは泣きながら眠っていたかもしれません。それが本を3冊読むことで、睡眠の質も朝起きた時の感じも、ガラッと変わります。

1冊読み終えるのに約5分。絵本を3冊読んでも、1日15分です。毎日たった15分の習慣で、子どもは本好きになり、親からの愛情をしっかりと感じることにもつながります。「毎晩、親に絵本を読んでもらった」という思い出は、親に大切にされたという意識にもつながります。それによって、自己肯定感が高まり、人生を切り開いて生きていく力になるのです。

まとめ

寝る前に1日3冊絵本を読み続けると、1年で1,095冊読むことができます。なかには同じ絵本を何回も繰り返し読むこともあるでしょう。子どもは絵本を読んでもらうことを通して、親からの愛を感じたいのかもしれません。毎晩の寝る前の習慣として、子どもが「もういいよ」というまで続けてあげたいですね。

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この記事のライター