2023年10月31日 公開

思春期の子育てで感じた気づき【英国すくすくレポ】

身体的にも精神的にも大きな変化を迎える思春期の子育て。親離れの時期や反抗期でもあることから、なかなか一筋縄ではいかない親子関係に難しさを感じる時です。【英国すくすくレポ】筆者の娘達もこの年齢にさしかかり、向き合い方に試行錯誤中!子育ての中での気づきを赤裸々にレポートします。

このChiik!で連載を始めたばかりの頃は幼稚園と小学校低学年だった2人の娘達も、今ではイギリスの小学校5年生とイギリスの中学校の1年生(セカンダリースクールの7年生)になりました。

子ども達への声かけや、関わり方も少しずつ変化し、特にセカンダリースクールに進学した長女の子育てに関しては、関わり方や精神面でも大きな変化を痛感する日々です。

今回の英国すくすくレポでは、思春期にさしかかって感じる子育ての気づきについてレポートしていきます。

思春期って何歳から?

さて突然ですが、思春期とは実際には何歳から何歳頃までの年齢を指すかご存じですか?実は、この思春期に当たる年齢の定義は、近年変化しているのです。

以前は「思春期」は13歳くらいから18歳くらいまでとされていました。しかし、近年では子どもの成長や発育年齢の変化に伴い、8歳頃からと言われるようになりました。思春期は、身体的な変化だけではなく、心の発達にも大きな影響を与える時期です。親離れや反抗期の時期であり、大人でも幼い子どもでもない不安定な時期でもあります。

思春期は「感情や欲求」をコントロールする脳がまだ未発達なため、衝動性や攻撃性が強くなりがちな年齢とも言われています。また、中学生頃は学校の友人関係や関わっているグループの仲間を強く意識する年齢であり、仲間とうまくやっていけるかということや、仲間との共通点を重視する傾向にあります。

現在11歳の長女は、小学校の頃に比べると本当に聞き分けが良くなり、落ち着いて行動できる面も増えてきて、心の自立が見られる場面が多くなりました。そういったことに成長を感じる反面、何か注意されたりしたときには、むきになって怒ったり、今までよりも言い方が強くなったなぁと感じることも…。

また、友達関係や学校関係のことに関しても、以前に比べて家庭内で話さなくなり、「学校は楽しいのかな?」「友達とうまくいっているのかな?」とこちらのほうが気になってしまうことも増えました。年々成長し、過程を踏んでいるのだと喜ぶ気持ちと、小学生の頃とは違う雰囲気に戸惑うことが半々といった日々です。

思春期の子育ては修行!?

Mood Swing(ムードスイング)という英語があります。イギリスでは、日常会話の中でも使われるような一般的な言葉ですが、意味は「感情の大きな揺れ・感情の起伏」になります。思春期の子育て中の保護者の方と話していると「Mood Swing」の話によくなります。「子どもが以前より喜怒哀楽が激しくなった」「あまり教えてくれない、無口になった」「不安を感じているようだけど、よくわからない」と子どもの変化には気づくものの、幼い頃のように単純な悩みではなかったりして、親の方も簡単に解決できず、親子そろって感情が揺れているという悩みもよく聞きます。

我が家の例ですが、長女が進学した学校に親友は通わないため(娘の親友はホームスクーリングを選択)、新学期からしばらくは学校生活が不安で、そのうちに学校のイヤな部分ばかりが目につくようになっていました。学校に行きたくないと言い出し、意地悪な子から目をつけられたりと、決して好調とは言えないスタートを切った中学校生活でした。

そんなある日、娘がとても落ち込んでいました。「どうしたの?」と聞いても「言いたくない」と一点張り。しかし、自分の部屋に行くわけでもなく、リビングにいる長女。本人の中でも感情にどう対処していいのかわからなかったのかもしれません。そこで私は「一つだけ質問してもいい?」と聞きました。娘が「いいよ。」と答えたので、「学校で何かあった?」と聞くと「〇〇って子にnerdって言われたの。」私は、「その子は、他の子にもよく嫌なこと言う子なの?」とさらに聞いてしまい、「質問一つだけって言ったじゃん!」と娘を怒らせてしまいました。

しまった…!心配する気持ちが先になって、約束を破ってしまった…と反省しました。娘は話したい気分じゃないけど、そばにいてほしいという想いだったのかもしれません。幼い頃なら、質問を一つどころか、こちらが聞かなくても、こんなことがあった、あんなことがあったと「あーだこーだ」たくさん情報を聞かせてくれていたのに、ある意味これも成長なんだと猛反省。自分の気分次第で、周りを振り回してもいいということは決してありませんし、気持ちのコントロールも学んでいってほしいとは思います。しかし、この思春期の頃は、いろいろな感情を経験しながら、経験値を上げてレベルアップしている途中だということを忘れず、上手に見守れる親に自分自身も成長しなくてはと改めて感じたできごとでした。

子どもの感情の揺れが激しいと、ついこちらまで感情を揺さぶられがちになりますが、心を凪にしてただ受け入れる修行が必要なのかもしれません…!

ちなみに、長女が進学してから約1か月半がたちました。新しい友達もでき、学校にも少しずつ慣れて、自信を取り戻してきたようす。「最近、学校どう?」と聞くと「ま、OKかな」と簡潔な答えしかしてくれませんが、娘の表情は明るく、状況が好転したのが感じられます。首を突っ込みすぎず、子どもを信じて、見守り受け入れていこうと思います。

まわりの成長の速さと、我が子への想い

イギリスの子どもの成長に関して、特に外見的な面では、日本の子ども達よりも早い傾向にあります。14歳くらいでも19歳くらいに見えるというのはよくある話。個人にもよりますが、10代からバッチリメイクと流行ファッションをしている学生さんも少なくなく、はたから見ている分には特に問題はないのですが、自分の子どもがそうなったらと想像すると、内容によってはちょっと微妙な(心配な)気持ちになることもあります。

SNSやアプリ、動画などのメディア関係に関しても、「他のおうちの子は年齢制限に達してなくても使っているし、スマホの時間だって無制限で使っていいのに、どうして私の家ではダメなのか」と娘が不満を漏らすこともしばしば。他の子みたいに自由にしたいという気持ちは分かりますし、自分が今もし子どもの年齢なら、きっと同じように不服を訴えるとは思うのですが…。しかし、だからと言って、なんでもOKを出すわけにはいかないのが、親の辛いところ。

思春期は「親の管理から離れ、自分自身で意思決定をしたい」と強く感じ始める時期です。だからといって、さまざまなことに関して適切な判断が判断ができるかと言えば、そうとも限りません。まだ、そこは発展途上であり、学んでいる時期です。

子どもの将来を考えればこそ、今は何が許可できて、何をまだやらせるべきではないのかという判断は、とても重要だと感じています。そして、親の独りよがりではなく、きちんと情報収集し、親自身も常に適切な判断ができるようにしておくことが大切なのではないでしょうか。

未来を担う子ども達

子どもと大人の中間、心身ともに変化の間にいる思春期の子ども達は、これからそう遠くない未来に、この世界を担う大切な存在です。この時期にどんな人と出会うか、どんな情報に触れるか、教育や習い事の選択なども、その一つ一つが子ども達を形成していくピースになっていきます。

親の私たちにできることは、安心できる環境を作ること、子どもを受け入れ、必要な時には素直に話し合える関係を目指していくことではないでしょうか。そうして、子どもの自立を助け、将来さまざまなことに挑戦する勇気や知恵、自己肯定感、信頼できる仲間を少しずつ形成することで、幸せな人生を歩むことができるように、親の役割を果たしていけたらと思います。

■いしこがわ理恵さんのイギリス漫画レポートの記事はこちら↓↓↓

\ 手軽な親子のふれあい時間を提案中 /

この記事のライター

いしこがわ理恵
いしこがわ理恵

在英12年目ハンドメイド好きの2児の母。武蔵野美術大学卒業。現在は教育に携わる仕事の他に、日本にルーツのある子どもたちを対象とした日本語子ども会活動・児童文庫活動も行っています。興味の範囲が幅広いので、常にいろいろな方向にアンテナをはりつつ情報収集が日課です。ハッピー子育てに役立つ情報をみなさまにお届けできれば嬉しいです。Instagram @rie.ishikogawa