幼い我が子の言語について一喜一憂していませんか?「翻訳家ママのバイリンガル教育」第10回では、バイリンガル教育で子どもを褒めすぎたり、注意しすぎたりしてはいけない理由を紹介します。どのようなときに子どもを褒めたり、注意したりすればいいのかも合わせて解説します。
バイリンガル育児で褒めてはいけない理由
「英語は当たり前」を意識づける
母語か第二言語かに関わらず、子どもは話しはじめたとき、とても興奮します。それが、何年か過ぎただけで、話すことが当たり前になります。さらに、親が少しは黙っていてくれないだろうかと感じてしまうこともあるくらい、永遠におしゃべりをするようになるわけです。
日常で使う機会が多い母語であれば、多少うるさいと言われたぐらいで話すのをやめる子どもはいないでしょう。けれども、もし「英語を話せるのはすごいね」と褒められながら育てられ、「第二言語を話す=褒められる」が子どもの中にあったらどうでしょう?褒められなくなったら、やる気を失う可能性が大きいのです。
筆者の息子(11歳)は、フランス語、英語、日本語を話しますが、筆者や夫がそのことで褒めることは幼いころからほぼありませんでした。もちろん、周りの人たちから「すごいね」と息子が言われることはあります。けれども、一番近くにいる親が3か国語を使うのは自然だという姿勢で育てているので、本人もできて当然だと思っています。
バイリンガル育児で褒めてもいい場合
「(親に)褒められるから」とか「(英語が)できることはすごいこと」という意識が、子どもが英語を身につける1番のモチベーションになっては危険です。褒められなくなったときや行き詰ったときに、先に進めなくなる可能性が大きくなってしまいます。それでは、どんな場面であれば褒めてもいいのでしょうか?
すてきな言い回しをしたときや難しい言葉を正しく使ったときは、さりげなく褒めてあげましょう。我が家の場合は、息子が日本語できれいな表現、慣用句、ことわざなどを会話の中で自然に使ったときには、「いい言葉を知っているね」とか「いいこと言うね」と褒めます。
英語+αで何かができたときには褒める
バイリンガル育児で注意してはいけない理由
自然な会話を「テスト」にしない
親は良かれと思って正しい発音や文法を教えてあげようと、子どもの間違いを注意しているのかもしれません。けれども、度が過ぎると子どもは第二言語を口にするのが嫌になってしまいます。
サリー・ウォード氏は、著書の「語りかけ」育児の中で、「幼い子どもの言葉を伸ばすために、大人は子どもに否定的なことを言わない、子どもに(テストのように)言葉を言わせようとしない」という趣旨のことを繰り返しています。これは、母語だけではなく、第二言語を伸ばす際にも当てはまります。親が会話の中に覚えてほしい表現を自然に取り入れて何度も繰り返していれば、子どもは自然に使えるようになっていくので安心してください。
バイリンガル育児で注意をするべき場合
スラングを聞き逃さない
言語は「自然に身につける」を大切に
バイリンガル育児に力を注いでいるパパママは、子どもが上手に話せば褒め、間違えれば注意したくなってしまうでしょう。けれども、そのどちらもが子どもの言語を伸ばすのに悪影響を与えてしまうことがあります。
「第二言語を使うのが当たり前」という意識を育てるのが、バイリンガル育児を長続きさせる秘訣です。いい意味でも、悪い意味でも力まずに、子どもが言葉を使う環境を整えてあげましょう。