日本は古くから、暦をもとに季節や自然に関係する行事を多く行ってきました。特に季節の変わり目は、自然に感謝する意味を込めた伝統行事が多く、秋に行う「亥の子」もそのひとつです。亥の子とはどのような行事なのか、由来や内容を知り、親子で季節の移ろいを楽しみましょう。
亥の子は旧暦10月に行われる秋の行事
「亥」という字から、十二支のイノシシを思い浮かべる方も多いはず。まさに亥の子は、十二支による暦の表し方にもとづいており、亥の月の最初に来る亥の日に行われる行事のことです。亥の月とは旧暦で10月、現在の11月にあたります。ちなみに2018年の亥の子は、11月3日です。
亥の子の由来は古代中国の風習
日本では、平安時代に「御亥猪」として宮中行事にも取り入れられました。旧暦の亥の月は、収穫時期であったため、庶民には収穫に感謝するお祭りという意味を含み広がったとされています。さらに自然哲学である五行の思想では、亥は火を制御するもの。このため江戸時代には、炉開きや火鉢を使いはじめる日とされていたようです。
亥の子はどのようなお祭り?
家の前で石を上下して地面につくことには、厄を払う意味があり、子どもたちはお礼としてお菓子やお小遣いがもらえます。また、石ではなく、藁を巻いて作った棒を使う地域もあります。
亥の子は西日本を中心に見られる行事ですが、地域により亥の子歌や細かいルールには違いがあるようです。現在も大分県杵筑市や愛媛県宇和島市、岡山県の一部地域では、誰もが知るお祭りとして伝承されています。
亥の子の行事食である「亥の子餅」って?
昔は大豆や小豆、胡麻など7種類の粉を入れて餅をついていたという説が有力。現在伝承される亥の子餅は、ウリボウに似せたものや紅白、きな粉をかけたものなど地域やお店によって、その姿はさまざまです。通販を行っている和菓子屋さんもあるため、気になる方は注文してみても良いかもしれません。
亥の子を楽しみ無病息災を祈ろう
もちろん亥の子に馴染みのない家庭でも、亥の子餅を食べることで季節の行事を楽しむことはできます。11月初旬といえば少し肌寒くなってくるころ。子どもと亥の子餅を楽しみながら、無病息災を祈りましょう。