水や空気から栄養をとり込む植物とは違い、虫を食べて養分にする「食虫植物」。普段の生活ではなかなか見られないため、テレビや本をきっかけにお子さまが興味を持つこともあるでしょう。ここでは食虫植物にはどんな種類があるのか、どんな仕組みなのかを解説していきます。
食虫植物とは
水中や湿地帯、寒冷地から熱帯雨林と世界中に生えていますが、日本にしか自生していない食虫植物もいます。これら食虫植物の補食様式は、大きく4種類に分けることが可能です。
・葉っぱから粘りのある液を出し、獲物を捕らえる「ねばりつけ式」
・落とし穴の罠をつくり、獲物を落とし込む「落とし穴式」
・葉っぱをパタッと閉じて獲物を挟み込む「はさみこみ式」
・水の中で水圧を利用し、獲物を吸い込む「すいこみ式」
どの習性も普通の植物には見られません。こうしたミステリアスな一面から、食虫植物に興味を惹かれる人は多くいます。
トゲトゲの葉で獲物をはさむ「ハエトリグサ」
名前の通りハエやそのほかの昆虫、小動物も獲物にします。自宅でも簡単に育てることができる食中植物のひとつです。
落ちたら最後、二度と出られない「ウツボカズラ」
虫を捕える仕組みは、袋のフタの内側に虫を誘い込む蜜腺があり、虫を誘い込みます。これをなめると虫は酔ったようになり足を滑らせ、袋の中に落ちるのです。袋の内側はツルツルしてのぼることができず、結果、虫は袋の下にたまっている消化液で吸収されていきます。
捕食する生き物は蚊やハエなどの虫のほか、大きな捕食袋のものは、なんとねずみのような哺乳類まで捕獲してしまいます。
筒状の葉におびき寄せる「サラセニア」
真っ直ぐに伸びた筒状の葉っぱには蜜腺があり、これが獲物をおびき寄せてキャッチ。捕らえた獲物が逃げないよう、葉っぱの内側は滑りやすく、毛が下向きに生えています。観葉植物として自宅で育てている方も少なくありません。
甘い香りの粘液を出す「モウセンゴケ」
円形の葉っぱに赤い毛が放射線状に生え、その見た目の美しさでも知られるモウセンゴケ。日当たりのいい室内で育てることもできるお手軽な食虫植物です。
食虫植物を知るのにおすすめの本
著者:渡邉 弘晴(写真)、伊地知 英信(文)
出版社:ポプラ社
インパクトのある表紙だけでも読みたくなる本です。8つの食虫植物の仕組みが解説されているだけでなく、美しい写真も楽しめます。文量は少なく漢字も使われていないため、お子さまがまだ小さくても大丈夫。読み聞かせにも使えます。
著者:土居 寛文
出版社:双葉社
食虫植物の育て方が詳しく解説されています。写真も多く「植物を育てるのははじめて」という方にも分かりやすいでしょう。写真が多くのっているため、図鑑としても楽しめます。