2019年02月09日 公開

おもちゃの対象年齢が気になる!発達の目安と安全基準

おもちゃの箱に書いてある対象年齢をちゃんと守ってますか?対象年齢は発達の目安で決められるのか、安全基準で定められているのか、日本と海外ではどう違うのかなど、疑問点をまとめて整理しました。日本や海外の安全基準やマークもご紹介します。玩具選びの参考にしてくださいね。

おもちゃの箱に書いてある対象年齢をちゃんと守ってますか?対象年齢は発達の目安で決められるのか、安全基準で定められているのか、日本と海外ではどう違うのかなど、疑問点をまとめて整理しました。日本や海外の安全基準やマークもご紹介します。玩具選びの参考にしてくださいね。

おもちゃの対象年齢は何基準で決められている?

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MIA Studio / Shutterstock.com
おもちゃや遊び道具に表記されている対象年齢は何を基準にして決められているのでしょうか。日本での対象年齢表記については、まずSTマークについて理解する必要があります。

STマークとは?:日本玩具協会の玩具安全(ST)マーク制度

日本玩具協会は、安全に遊べるおもちゃであることを消費者にわかりやすくする目的で、昭和46年に「おもちゃの安全基準」を策定し、玩具安全マーク制度をスタート。一定の指定基準に合格したおもちゃにはST(Safety Toy、安全玩具の意味)マークが表示されるようになりました。

メーカー側が、商品にSTマークを付け、制度に参加したい場合は、日本玩具協会とSTマーク使用許諾契約を締結します。その後、指定の検査機関で玩具安全基準(ST基準)による検査を経て、合格したおもちゃはSTマークの表示が認められます。

STマークは14歳以下の子どもの遊び用に設計されたおもちゃのみに適用されます。おしゃぶりや歯固め、クリスマス用品やハロウィン用品などは含まれますが、幼児用自転車や三輪車などは含まれません。ちなみに、歩行器やぶらんこ、すべり台、 幼児用三輪車などは、(一財)製品安全協会が定めるSG基準に適合したものには、SGマークが付けられます。

玩具安全基準(ST基準)

ST基準適合検査は、玩具安全基準「ST2016」に基づいて、おもちゃの安全性を調べる検査です。

1:機械的および物理的特性の検査:おもちゃの先端が鋭くないかなど形状の確認、誤飲を避ける大きさで、子どもの喉に届かないか。
2:可燃性の検査:セルロイドなど、素材に使用してはいけない材料が使われていないか、燃えやすい材質ではないか。
3:化学物質の検査:材料に有害物質が使われていないか。

厳しい検査を経たSTマーク付玩具、万が一事故が起こった時は、企業が支払う損害賠償に対する補償制度「STマーク制度」もあります。

参考:STマーク使用許諾契約者向けサイト(日本玩具協会)
http://www.toys.or.jp/st/index.html

STマークと対象年齢

STマークを付ける際には、相応しい年齢を表示することも義務付けられています。しかし、日本玩具協会が対象年齢の判断基準を設けているわけではありません。各メーカーの判断に委ねられていますが、参考にする資料はあり、相談は可能なようです。

ただし、そもそも、発達や理解度の目安を加味した、個々の玩具の対象年齢については、専門家の間でも合意を形成することが難しく、国際的なコンセンサスも明確には形成されていない状況であるそうです。

よって、STマークと共に表示される対象年齢は、理解度や年齢にふさわしい賢さの度合いを示すためものではなく、その年齢の子どもに必要な安全対策が施されているかの情報だとしています。

日本玩具協会は、おもちゃの対象年齢を決める理由を、おもちゃは、子どもの「能力(身体能力・精神能力)」と「遊びのニーズ」が合致していなければならないから、としています。

子どもがおもちゃで遊ぶ際に、能力以上の技量を必要とすると、うまく扱えず、苛立ちを覚えることになりがち。逆に簡単過ぎて面白くないと、飽きてしまいやすく、放り投げてしまうなど、作り手が意図しない遊び方をする傾向があります。どちらにしても、危険な方法でおもちゃを使うことにつながります。

参考:STマーク使用の手引き(日本玩具協会)
http://www.toys.or.jp/st/st_tebiki.html

口に入れる可能性のあるおもちゃは食品衛生法も適用

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Lalita Saetear / Shutterstock.com
6歳未満の幼児が対象の指定おもちゃは、厚生労働省が管理する食品衛生法の対象になります。

指定おもちゃは、歯固めなど口に触れる前提のおもちゃのほか、手に持って遊ぶことで乳幼児が自然に口に入れたり、舐めたりすることが想定されるものが対象で、衛生上の危害の防止を図る観点から、法律で指定されています。

ただし、手が届かない高さに吊るすメリーや、飾るのが目的のぬいぐるみや人形などは対象外になる場合があります。

食品衛生法では、おもちゃの種類や原材料ごとに細かく規格が決められています。また、カラフルな積み木やままごとセット、ボールなどのおもちゃの製造に着色料が使われている場合は、また別途、製造基準があります。この基準は、海外で流通する玩具とはルールが異なるものも多いようです。

参考:食品衛生法の規格基準 
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/dl/5.pdf

3歳前後で大きく違う基準:ポイントは誤飲や誤嚥

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jikgophoto / Shutterstock.com
ヨーロッパやアメリカでも、特に注意されるのは、3歳未満と3歳以上の区別で、乳幼児が誤って口に入れ、飲み込んでしまうか食べてしまう可能性のある小さなパーツを含むかどうかというものです。

「小さいパーツがあるので、3歳以下のお子さまには絶対に与えないでください」という強い表記があるおもちゃも多いです。

幼い子どもはまず何でも口に入れてしまう習性があり、舐めたり飲んだりしてしまう可能性があるものには特に注意が必要です。外から見ると、特に問題無いように見えても、落下した時に外れやすく、電池が飛び出てしまう危険性のあるおもちゃもあります。

小さな部品を喉につまらせることによる窒息、電池の誤飲での消化器官のやけどなど、さまざまな事例があります。

参考:誤飲・誤嚥防止のための、「3才」前後の玩具における適切な対象年齢表示を推進するための指針(ガイドライン)
http://www.toys.or.jp/st/pdf/2018/jta_nenrei_faq_20180919.pdf
参考:お子さまの誤飲を防ぐための安全な「おもちゃ」の選び方
http://www.toys.or.jp/st_jigyou_erabikata.html

輸入おもちゃ:海外の安全基準とマーク

海外の他の国々ではどんな基準が定められているのでしょうか。

ヨーロッパの玩具安全基準

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ヨーロッパ発のおもちゃの安全基準を示すものとして、欧州連合(EU加盟国)の定める安全基準EN71があります。こちらをクリアしたおもちゃは「CEマーク」を表示できます。この表示があることで、EU加盟国間での製品の流通がよりスムーズになっています。誤飲の危険性をはじめとし、さまざまな厳しい基準で検査されています。

対象年齢については”Graphical symbols for age warning labelling"として警告マークの表示を義務付けています。

米国の玩具安全基準や規格

アメリカ合衆国では、ASTM Internationalが策定し、発行している規格があります。世界75カ国で法規制等の基準にされるなど、国際的に広く支持されています。

乳幼児向けの玩具に関する安全基準の規格は「ASTM F963」。”Age Grading Guidelines”として対象年齢に関するガイドラインも設けられています。ぬいぐるみや子ども用のアクセサリー、乳児用品、運動具、ゲーム、幼児教材、子ども用のベッドなども対象で、適合したおもちゃのみが販売可能になります。

輸入おもちゃは…

photo by author (130486)

輸入玩具のパッケージの説明は特によく確認しましょう。
via photo by author
おもちゃの輸入通関手続きには、食品衛生法に基づく検査に適合した旨を示す報告書が必要です。日本で販売される、輸入おもちゃの対象年齢の表記は検査によって、変更される場合もあるようです。

輸入おもちゃ:英語の対象年齢表記の仕方

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2歳以下の場合は年齢よりも月齢で表示します。1.5歳(1歳6カ月)を18 monthsなどと表現します。

3歳以上の場合はFor ages 3 and upや3+という表現をよく目にします。

推奨年齢の場合は”Recommended for ages 6 and up”などと表記されることも多いようです。

3歳以下に与えてはいけない、と警告される場合としては以下のような表現があります。
"WARNING! CHOKING HAZARD Small parts not suitable for children under 3 years (or 36 months)”

一方、"Age limit"で表すものは、ゲームや動画、映画などのコンテンツに対し、倫理的な観点からその対象年齢を適切かどうかを判断するものが多いようです。

発育に合わせたおもちゃとは……

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日本玩具協会は、「子どもの発育段階において与えるに相応しいとされる玩具の年齢別、種類別対応表」を参考資料として発表しています。東京玩具人形協同組合のトイジャーナル編集局が運営する「おもちゃ情報net.」の「子どもの発達に合わせたおもちゃ」の目安一覧表も参考になります。ただし、いずれも、あくまでも目安を示したもの。

一応の基準を表しながらも、一律な成長が望めない幼児から少年期、さらに子どもの性格や能力により違いがあるので、全てを画一的にあてはめるべきものではなく、対象年齢の設定はかなり難しい場合もあることも明確にしています。

特に知育玩具の年齢の目安は判断が難しいところですね。ボードゲームも、対象年齢が細かく分かれているものが多いですが、こちらも他のさまざまな要因を考慮して決められているものの、実際の判断は難しそうです。人形や積み木といった、一般的なおもちゃも、何歳から何歳頃までが対象年齢なのか、親として迷うシーンもありそうです。実際に遊んだときの子どもの反応を重要視した方がいいかもしれません。

遊ぶ時期を示す目安として、「あそべるめやす」として対象年齢を表記しているメーカーもあります。

また、対象年齢といっても、時期によって、さまざまな区切りがあります。特に2歳までは、「ねんね期」(0〜2カ月頃)、首すわり〜寝返り期(3〜5カ月頃)、お座り〜はいはい期(6〜8カ月頃)つかまり立ち〜歩きはじめ・たっち期(9〜11カ月頃)1歳〜1歳5カ月頃、1歳6カ月〜2歳頃などと細かく分けられます。

例えば、生後6カ月頃からは、大人のしていることもよく見て、真似しようとしはじめます。その時々の発達に適したおもちゃがあれば、寝返りやお座り、はいはいからつかまり立ちなど、動きのきっかけを作ることもあります。指先の発達を促すおもちゃも多いですよね。

また、子どもを人間生活工学の視点で見た場合でも、遊びには玩具や遊具が不可欠。子どもの身体や能力に適合する玩具や遊具が、対象年齢に応じた健全な発達を促すのに良いとされています。ただし、発達を促す目的で、過剰に能力以上のことをさせることが危険にも繋がる懸念もあります。

具体的な種類や今の発達に合ったおもちゃを知りたい方は、以下のリンク先がおすすめです。

参考:子どもの発育段階において与えるに相応しいとされる玩具の年齢別、種類別対応表
http://www.toys.or.jp/st/pdf/st_kodomo_hatsuiku_nenrei_toy.pdf
参考:「子どもの発達に合わせたおもちゃ」の目安一覧表
https://www.toynes.jp/choose/

最後に

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jikgophoto / Shutterstock.com

Playground Warning Labels for Age Ranges
こちらは、公園などの遊具での対象年齢表示例です。

結論として、2018年現在、一般的に、おもちゃに表記されている対象年齢は、その年齢の子どもに必要な安全対策が施されているかの情報が主となります。

筆者は、自分の子どもにおもちゃを買って与える場合、親の目が行き届く範囲であれば、対象年齢に捉われすぎる必要は無く、利用は自由でいいのではと思っていました。でも子どもは、常に親の予想外の行動をするもの。特に3歳までは、怪我や事故を防ぐため、十分な配慮が重要です。おもちゃ選びの際、購入の際はよく説明を読み、チェックして気を付けたいと思います。

また、中古のおもちゃや100円ショップのおもちゃ、海外土産、手作りおもちゃの場合は、対象年齢がわからないことも。適切な規格や検査を通っていないことも多いのではないでしょうか。低年齢のお友達が遊びにくる時や、大勢集まる場での利用には、より気をつけた方が良いでしょう。

さらに、家庭用ゲームに対象年齢が表記されている場合もあります。こちらは、コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)の「年齢別レーティング制度」。審査員CERO倫理規定に基づいて、ソフトの内容を審査して、対象年齢を表示するようにしたものです。暴力表現や性的表現、反社会的行為表現などに配慮して制定されているので、よく確認したいですね。

参考:CERO
http://www.cero.gr.jp

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この記事のライター

志田実恵
志田実恵

エディター/ライター。札幌出身。北海道教育大学卒業(美術工芸)。中高の美術教員免許所持。出版社でモバイル雑誌の編集を経て、様々な媒体で執筆活動後、2007年スペイン留学、2008〜2012年メキシコで旅行情報と日本文化を紹介する雑誌で編集長。帰国後は旅行ガイドブック等。2014年6月に娘を出産。現在は東京で子育てしながらメキシコ・バスクの料理本の編集のほか、食、世界の子育てなどをテーマにwebを中心に活動中です。