おもちゃの箱に書いてある対象年齢をちゃんと守ってますか?対象年齢は発達の目安で決められるのか、安全基準で定められているのか、日本と海外ではどう違うのかなど、疑問点をまとめて整理しました。日本や海外の安全基準やマークもご紹介します。玩具選びの参考にしてくださいね。
おもちゃの対象年齢は何基準で決められている?
STマークとは?:日本玩具協会の玩具安全(ST)マーク制度
メーカー側が、商品にSTマークを付け、制度に参加したい場合は、日本玩具協会とSTマーク使用許諾契約を締結します。その後、指定の検査機関で玩具安全基準(ST基準)による検査を経て、合格したおもちゃはSTマークの表示が認められます。
STマークは14歳以下の子どもの遊び用に設計されたおもちゃのみに適用されます。おしゃぶりや歯固め、クリスマス用品やハロウィン用品などは含まれますが、幼児用自転車や三輪車などは含まれません。ちなみに、歩行器やぶらんこ、すべり台、 幼児用三輪車などは、(一財)製品安全協会が定めるSG基準に適合したものには、SGマークが付けられます。
玩具安全基準(ST基準)
1:機械的および物理的特性の検査:おもちゃの先端が鋭くないかなど形状の確認、誤飲を避ける大きさで、子どもの喉に届かないか。
2:可燃性の検査:セルロイドなど、素材に使用してはいけない材料が使われていないか、燃えやすい材質ではないか。
3:化学物質の検査:材料に有害物質が使われていないか。
厳しい検査を経たSTマーク付玩具、万が一事故が起こった時は、企業が支払う損害賠償に対する補償制度「STマーク制度」もあります。
http://www.toys.or.jp/st/index.html
STマークと対象年齢
ただし、そもそも、発達や理解度の目安を加味した、個々の玩具の対象年齢については、専門家の間でも合意を形成することが難しく、国際的なコンセンサスも明確には形成されていない状況であるそうです。
よって、STマークと共に表示される対象年齢は、理解度や年齢にふさわしい賢さの度合いを示すためものではなく、その年齢の子どもに必要な安全対策が施されているかの情報だとしています。
子どもがおもちゃで遊ぶ際に、能力以上の技量を必要とすると、うまく扱えず、苛立ちを覚えることになりがち。逆に簡単過ぎて面白くないと、飽きてしまいやすく、放り投げてしまうなど、作り手が意図しない遊び方をする傾向があります。どちらにしても、危険な方法でおもちゃを使うことにつながります。
http://www.toys.or.jp/st/st_tebiki.html
口に入れる可能性のあるおもちゃは食品衛生法も適用
指定おもちゃは、歯固めなど口に触れる前提のおもちゃのほか、手に持って遊ぶことで乳幼児が自然に口に入れたり、舐めたりすることが想定されるものが対象で、衛生上の危害の防止を図る観点から、法律で指定されています。
ただし、手が届かない高さに吊るすメリーや、飾るのが目的のぬいぐるみや人形などは対象外になる場合があります。
食品衛生法では、おもちゃの種類や原材料ごとに細かく規格が決められています。また、カラフルな積み木やままごとセット、ボールなどのおもちゃの製造に着色料が使われている場合は、また別途、製造基準があります。この基準は、海外で流通する玩具とはルールが異なるものも多いようです。
3歳前後で大きく違う基準:ポイントは誤飲や誤嚥
「小さいパーツがあるので、3歳以下のお子さまには絶対に与えないでください」という強い表記があるおもちゃも多いです。
幼い子どもはまず何でも口に入れてしまう習性があり、舐めたり飲んだりしてしまう可能性があるものには特に注意が必要です。外から見ると、特に問題無いように見えても、落下した時に外れやすく、電池が飛び出てしまう危険性のあるおもちゃもあります。
小さな部品を喉につまらせることによる窒息、電池の誤飲での消化器官のやけどなど、さまざまな事例があります。
http://www.toys.or.jp/st/pdf/2018/jta_nenrei_faq_20180919.pdf
http://www.toys.or.jp/st_jigyou_erabikata.html
輸入おもちゃ:海外の安全基準とマーク
ヨーロッパの玩具安全基準
対象年齢については”Graphical symbols for age warning labelling"として警告マークの表示を義務付けています。
米国の玩具安全基準や規格
乳幼児向けの玩具に関する安全基準の規格は「ASTM F963」。”Age Grading Guidelines”として対象年齢に関するガイドラインも設けられています。ぬいぐるみや子ども用のアクセサリー、乳児用品、運動具、ゲーム、幼児教材、子ども用のベッドなども対象で、適合したおもちゃのみが販売可能になります。
輸入おもちゃは…
輸入おもちゃ:英語の対象年齢表記の仕方
3歳以上の場合はFor ages 3 and upや3+という表現をよく目にします。
推奨年齢の場合は”Recommended for ages 6 and up”などと表記されることも多いようです。
3歳以下に与えてはいけない、と警告される場合としては以下のような表現があります。
"WARNING! CHOKING HAZARD Small parts not suitable for children under 3 years (or 36 months)”
一方、"Age limit"で表すものは、ゲームや動画、映画などのコンテンツに対し、倫理的な観点からその対象年齢を適切かどうかを判断するものが多いようです。
発育に合わせたおもちゃとは……
一応の基準を表しながらも、一律な成長が望めない幼児から少年期、さらに子どもの性格や能力により違いがあるので、全てを画一的にあてはめるべきものではなく、対象年齢の設定はかなり難しい場合もあることも明確にしています。
特に知育玩具の年齢の目安は判断が難しいところですね。ボードゲームも、対象年齢が細かく分かれているものが多いですが、こちらも他のさまざまな要因を考慮して決められているものの、実際の判断は難しそうです。人形や積み木といった、一般的なおもちゃも、何歳から何歳頃までが対象年齢なのか、親として迷うシーンもありそうです。実際に遊んだときの子どもの反応を重要視した方がいいかもしれません。
遊ぶ時期を示す目安として、「あそべるめやす」として対象年齢を表記しているメーカーもあります。
また、対象年齢といっても、時期によって、さまざまな区切りがあります。特に2歳までは、「ねんね期」(0〜2カ月頃)、首すわり〜寝返り期(3〜5カ月頃)、お座り〜はいはい期(6〜8カ月頃)つかまり立ち〜歩きはじめ・たっち期(9〜11カ月頃)1歳〜1歳5カ月頃、1歳6カ月〜2歳頃などと細かく分けられます。
例えば、生後6カ月頃からは、大人のしていることもよく見て、真似しようとしはじめます。その時々の発達に適したおもちゃがあれば、寝返りやお座り、はいはいからつかまり立ちなど、動きのきっかけを作ることもあります。指先の発達を促すおもちゃも多いですよね。
また、子どもを人間生活工学の視点で見た場合でも、遊びには玩具や遊具が不可欠。子どもの身体や能力に適合する玩具や遊具が、対象年齢に応じた健全な発達を促すのに良いとされています。ただし、発達を促す目的で、過剰に能力以上のことをさせることが危険にも繋がる懸念もあります。
具体的な種類や今の発達に合ったおもちゃを知りたい方は、以下のリンク先がおすすめです。
http://www.toys.or.jp/st/pdf/st_kodomo_hatsuiku_nenrei_toy.pdf
https://www.toynes.jp/choose/
最後に
筆者は、自分の子どもにおもちゃを買って与える場合、親の目が行き届く範囲であれば、対象年齢に捉われすぎる必要は無く、利用は自由でいいのではと思っていました。でも子どもは、常に親の予想外の行動をするもの。特に3歳までは、怪我や事故を防ぐため、十分な配慮が重要です。おもちゃ選びの際、購入の際はよく説明を読み、チェックして気を付けたいと思います。
また、中古のおもちゃや100円ショップのおもちゃ、海外土産、手作りおもちゃの場合は、対象年齢がわからないことも。適切な規格や検査を通っていないことも多いのではないでしょうか。低年齢のお友達が遊びにくる時や、大勢集まる場での利用には、より気をつけた方が良いでしょう。
さらに、家庭用ゲームに対象年齢が表記されている場合もあります。こちらは、コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)の「年齢別レーティング制度」。審査員CERO倫理規定に基づいて、ソフトの内容を審査して、対象年齢を表示するようにしたものです。暴力表現や性的表現、反社会的行為表現などに配慮して制定されているので、よく確認したいですね。
http://www.cero.gr.jp