2018年04月09日 公開

いつかひとり寝をする子どものために「スーちゃんおやすみなさい」

まだお子さんとは一緒に寝ていますか?そろそろひとり寝トレーニングを、と考えている親子におすすめの絵本がこの「スーちゃんおやすみなさい」です。子どもの睡眠コンサルタントの愛波 文さんからのアドバイスとともに、この絵本を読んだ感想をまとめました。

まだお子さんとは一緒に寝ていますか?そろそろひとり寝トレーニングを、と考えている親子におすすめの絵本がこの「スーちゃんおやすみなさい」です。子どもの睡眠コンサルタントの愛波 文さんからのアドバイスとともに、この絵本を読んだ感想をまとめました。

ひとりでも、もう大丈夫「スーちゃんおやすみなさい」

スーちゃん おやすみなさい | アリーナ・サーナイテ, おびか ゆうこ |本 | 通販 | Amazon (92043)

タイトル:スーちゃんおやすみなさい
著書:アリーナ・サーナイテ(作)、おびか ゆうこ(訳)
出版社:東洋館出版社
夜はこわい、おばけが出るから。絵本「スーちゃんおやすみなさい」に登場する主人公の女の子「スーちゃん」は、寝る前にママにそう言っています。

明け方、まだ暗い時間にふと目が覚めたスーちゃん。隣を見ると、一緒に寝ていたはずのぬいぐるみ「うさくん」がいません。スーちゃんは勇気を振り絞ってベッドから出て、うさくんを探しにいくことにしました。すると……。

こわいこわいと思っていた暗闇で見つけた大好きなうさくんと飼っているねこのミーちゃん。ぬいぐるみもねこもぎゅっと抱きしめて、またベッドに戻り、眠ります。

ちょっと夜が苦手だったスーちゃん。スーちゃんと同じように、夜や暗いところはこわい、ひとりで寝るのはこわいと思っている子どもにぜひ読んであげたい絵本です。

夜がこわい、暗いのがこわい。それは成長の証

「想像力が膨らむ2歳前後から、夜や暗闇がこわい、と感じる子どもは多いもの。早い子なら1歳半くらいから夜を怖がることも。これは一種の成長の証なんですよ」と話すのは、子どもの睡眠コンサルタントの愛波 文さん。
photo by 東洋館出版社 (92255)

現在はニューヨークで6歳と3歳の男の子のママとして子育てをしながら、日本人初の子どもの睡眠コンサルタントとして幅広く活躍する愛波 文さん
via photo by 東洋館出版社
「これまでひとりで寝ていなかった子どもも、ひとり寝の習慣がある子どもも関係なく、2歳前後に急に夜がこわい、ひとりで寝るのは嫌だと言い出すことがあります。ひとり寝をさせたいけど、寝るときになかなかママから離れてくれないと悩んでいる方は多いと思いますが、子どもが成長する上では仕方のないことなんですよね」

確かに、筆者の娘も、暗くしないで、ママがいないと寝られない、とよく言っています。では、子どもが安心してひとりでも寝られるようにするには、どうしたらよいのでしょうか?

ひとりでもこわくない。安心して眠れる環境を作ってあげよう

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Yuganov Konstantin / Shutterstock.com
愛波さんに、子どものひとり寝について、さらに詳しくお話をお聞きしました。

――ひとり寝をスタートさせるのに適しているタイミングはあるのですか?

愛波さん:この時期がおすすめ!というのは特にありません。親がそろそろかなと思ったときが、そのご家庭の最適なタイミングです。

――各家庭の育児方針や環境によってさまざまということでしょうか?

愛波さん:そうですね。いつからスタートしたらよいのかと悩まれている方の声をよく聞きますが、生後6カ月、2歳、5歳……と、本当にさまざまです。強制するものではないので、家庭によって、お子さまによって時期が異なってもいんです。

――夜がこわい、と言い出したときにできる対策はありますか?

愛波さん:この「スーちゃんおやすみなさい」の紹介文でも書いていますが、まずお子さまが何が怖いのかをきちんと聞いてあげることが大切です。そして、たとえば、昼間もカーテンを閉めて部屋を暗くして懐中電灯で遊んだり、夜は真っ暗にはせずに足元に付ける暖色系の豆電球を用意したり、お気に入りのぬいぐるみと一緒に布団に入ってみるなどをぜひ試してみてください。

――夜や暗いところが楽しいと思ってくれると確かにいいかもしれませんね。大好きなぬいぐるみが一緒だと安心感もあります。

愛波さん:そうですね。「楽しい」より夜や暗いところでも「安心」できるようにしてあげることが大切です。そして「スーちゃんおやすみなさい」を一緒に読んでみることも効果的ですよ!夜も暗闇も全然こわくない、大好きなぬいぐるみが一緒なら平気、ということがだんだんわかってくると思います。

――寝かしつけをスムーズに卒業するために必要なことはなんでしょうか?

愛波さん:今まで添い寝で寝かしつけをしていた場合だと、急に止めるのは難しいかもしれません。子どもの睡眠にはいろいろなことが関係していますから。まず睡眠の土台を確立してあげることからはじめてみましょう。焦らず、徐々に進めていってくださいね。

「スーちゃんおやすみなさい」を読んだ子どもの反応は?

photo by author (92055)

via photo by author
筆者の娘はもうすぐ5歳。さらに、その下に1歳半の次女がいます。今は、大人用の布団を2枚敷き、そこに筆者と子どもたちの計3人で寝ています。布団の上でそれぞれが選んだ絵本を読んでから、一緒に布団に入って寝ています。

長女は基本的には私がいないと眠れません。年中になると保育園の合宿があるので、そろそろひとりで寝られるようになるといいなとちょうど思っていました。

一緒に「スーちゃんおやすみなさい」を読んでみて、最初は「ひとりで寝るなんて怖いからやだ」とぶつぶつ。スーちゃんがベッドから出てぬいぐるみを探しにいくシーンでは「こわいからやめた方がいいよ」と、読んでいる自分が怖気づいている様子。でも、お話の最後に、ぬいぐるみを抱えてねこのミーちゃんも一緒にスヤスヤ眠るスーちゃんを見て「気持ちよさそうだね、よかったね」とほっとしていました。

何度か読んだあと、「スーちゃんみたいに私もぬいぐるみと一緒に寝てみようかな」と言った娘。娘からこんな言葉が聞けるなんて!でも、そのあとに「ママももちろん一緒だけどね」だそうです。

それでも、筆者からすると大きな前進だったと感じています。もともと、娘の場合は、絵本を読んですぐにひとりで寝られるようにはならないだろうと思っていました。スーちゃんみたいにぬいぐるみと寝るようになれば、そのうちひとりで寝てくれるかも……。今はそんな予感がしています。

いつかくる「ひとり寝」のタイミングのために

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Olesia Bilkei / Shutterstock.com
「そろそろひとりで寝られるように」と考えて、急にトレーニングをはじめてもうまくいかないかもしれません。そんなときは、本棚にそっと「スーちゃんおやすみなさい」を用意してみてはいかがでしょう。いつもの絵本を読む感覚で、ひとりで寝るのもこわくないよと、さりげなく子どもに教えてあげられるとよさそうですね。

絵本を読んだあと、「今日はひとりで寝てみようかな」といつか言いだす日がきたら……。それがその子にとって、ひとり寝をスタートさせる絶好のタイミングになるはずです。

愛波 文さんプロフィール

長男の夜泣きや子育てに悩んだことから子どもの睡眠科学について学び、アメリカで働きながら米国IMPI公認資格を日本人で初めて取得。
APSCアジア/インド代表。APSC日本コーディネーター。 IMPI日本代表。Sleeping Smart®代表。
現在、ニューヨークで6歳と3歳の男の子のママとして子育てをしながら、科学的根拠に基づいた内容で子どもの睡眠に悩む保育者のコンサルティングや子どもの睡眠教育プログラムをオンラインで提供。
IMPIと提携し、日本語での妊婦と子どもの睡眠コンサルタント資格取得講座(オンライン)を開催し、講師も務めている。
2018年6月13日に子どもの睡眠本を出版。

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この記事のライター

AKARI ITOI
AKARI ITOI

出版社、料理企画会社を経て独立。WEBメディアを中心に企画からライティングまでこなすコンテンツディレクターとして活動中。得意ジャンルはグルメ/クッキング/子育て/幼児教育/受験。東京在住。石川県出身。2児の母。調理師/食育指導士/JHBS講師/パンコーディネーター取得。