あいさつは、コミュニケーションの大切な入口です。その場にふさわしいあいさつができることは、良好な人間関係を築くための大きな助けになります。自分からあいさつができる子どもに育てるための、3つのステップを紹介します。
あいさつはなぜ大切?
「先生にごあいさつをして」
「ちゃんと『さようなら』をしようね」
ほとんどの親が、子どもにあいさつをうながした経験があると思います。「うながしてもあいさつをしてくれない」「うながす前に自分からあいさつをして欲しい」という悩みを抱えている親も少なくありません。
そもそも、あいさつはなぜ大切なのでしょうか。
あいさつには、主に2つの意味があります。
1つ目は、自分の存在を相手に知らせることです。「おはようございます」「こんにちは」と声を出すことによって、相手に心を開いていることを示し、警戒心を解く役割があります。
2つめは、相手の存在を認めていると伝えることです。あいさつをするということは、相手に対して「あなたのことを見ています」「良好な関係でありたいと思っています」という気持ちを示す、ごく短いアピールでもあるのです。
あいさつには、人とのつながりを築き、維持するための重要な要素がつまっています。
子どもが自ら進んであいさつができるように、次の3つのステップを意識してみましょう。
STEP1:家の中であいさつの練習をする
「おはよう」や「おやすみ」はもちろん、「いってきます」「いってらっしゃい」「いただきます」「ごちそうさま」など、家の中で使われるあいさつはたくさんあります。
家族だからと甘えてしまい、ついおざなりになってしまいがちですが、「あなたを大切にしている」という気持ちを日々伝えるためにも、しっかりあいさつを交わしたいですね。
筆者の家では「おはようございます」と「おやすみなさい」は、親子でおじぎをしてあいさつをしています。おじぎの練習も兼ねていますが、一日のはじまりと終わりを示す特別なあいさつを礼儀正しく行うことで、その日をていねいに過ごすことができたという実感を得られるからです。
STEP2:うしろからゆっくりサポートする
大事なのは、決して子どもに無理強いをしないことです。「ちゃんとあいさつをしなさい!」と、強引に頭をおさえつけてしまうと、子どもがあいさつに嫌悪感を持つ場合もあります。
特に小さな子どもの場合は、恥ずかしいという気持ちが勝ってしまったり、警戒してしまったりと、「あいさつをしたい気分」になれないことも多いものです。
声が出ない様子のときは、「ママやパパと一緒に言ってみようか」「おじぎだけしてみようか」と、子どもがやりやすい方法に切り替えるのもおすすめです。根気強く、子どもの自主性が育つように見守ってあげたいですね。
また、子どもがあいさつ上手になるためには、親が進んで手本を示すことも大切です。
知り合いに会ったときや、子どもの友だちを見つけたときなどは、親も積極的にあいさつするように心がけてみてくださいね。
STEP3:あいさつの機会を増やす
例えば、お店で会計をするときは「お願いします」や「ありがとう」、バスを降りるときは「ありがとうございました」、人の前をとおらなければならないときは「失礼します」、住んでいるマンションのエレベーターで乗り合わせた人には「こんにちは」「さようなら」など、声をかけ合う場面はたくさんあります。
積極的に自分からあいさつをすることで、相手もあいさつを返してくれたり、雑談がはじまったりといった小さな成功体験が増え、子どものあいさつに対する自主性を育むことができます。
あいさつができたら褒めることを忘れずに!
特にあいさつは「して当然、できて当然」という意識も強いもの。でも子どもにとっては、知らない相手にあいさつをするのはとても勇気がいることですし、思ったとおりの反応が返ってこないと落ち込んでしまうものです。
あいさつができていたら、しっかりと褒めてあげましょう。「あいさつをしたけれど無視されてしまった」と子どもが悲しんでいたら、「それは残念だったね。でもちゃんとあいさつができたあなたは立派ね」とフォローを入れることも忘れないようにしましょう。
あいさつは円滑なコミュニケーションの第一歩!
その場にふさわしいあいさつができることで、周りの人と打ち解けやすくなったり、信頼感を高めたりできます。
子どもの性格や年齢によって、素直に言葉を出せず、あいさつがうまくできない時期もありますが、あまりプレッシャーをかけ過ぎずに、長い目で見守ってあげましょう。
親が積極的にあいさつをする姿をたくさん見せて、子どもが自らあいさつの重要性に気づけるのが一番です。
あいさつを通じて、円滑なコミュニケーションを築ける子どもに育ててあげたいですね。