2023年08月15日 公開

袋がいっぱい!?小学校のお弁当事情【英国すくすくレポ】

学校生活の中で楽しみな時間といえば「お昼の時間!」と答える小学生は、意外と多いのではないでしょうか?今回の英国すくすくレポでは、「寄り弁確定の弁当袋」「そもそも弁当箱を使わない」「フルーツの量がスゴイ」など、驚きのイギリスお弁当事情をイラスト付きで紹介します。

イギリスの小学校は、だいたい午前8時45分から午後3時15分くらいまで。一日のうち約6時間半を学校で過ごすことになります。その学校生活で、子どもたちが楽しみにしている時間の一つにランチタイムがあります。これはきっと日本の小学生も同じですよね。日本の小学校では基本的に小学校1年生から6年生まで学校給食を食べると思いますが、イギリスの小学校では必ずしもそうではありません。学校給食はYear R(小学校準備学級のようなもの)と、Year 1(1年生)からYear 2 (2年生)までの3年間が無料なので、この間はほとんどの子どもたちが学校給食を食べるのですが、Year 3(3年生)に進級すると、お弁当を持参する子どもがクラスの半数以上になります。

今回の英国すくすくレポでは、日本とのカルチャーギャップを感じる『イギリスのお弁当事情』についてレポートしていきます!

ランチバッグでよく見かけるのは…

日本でランチバッグやお弁当袋というと、あくまでお弁当箱とお箸を一緒に入れるバッグという使い方が多いかと思います。形もどちらかというとトートバッグ型だったり、巾着型だったり、底面に広さがあるものではないでしょうか。お弁当箱を入れて袋の持ち手を持つと、お弁当を真っすぐ運べるデザインが日本では一般的ですよね。

ところが、イギリスのランチバッグはというと、よく小学校で見かけるデザインは上のイラスト右のような、幅が細めのボックス型のランチボックスが多いです。持ち運ぶときは、幅の狭い方に着いた持ち手をバッグのように持ちます。これに日本式のお弁当を入れてしまうと、さあ大変!寄り弁確定です。(苦笑)なので、この形はイギリス式のランチに向いているデザインだと痛感しました。イギリスの子どもたちのお弁当は、日本でよく見るようなお弁当よりも、サンドイッチの包み(そもそもお弁当箱を使わない)、果物、スナック菓子など、そのままランチバッグにポンポンと入れて使うことが多いので、この形のランチバッグでもあまり問題はなさそうです。

最近では、日本っぽい弁当『Bento』の人気が高まってきていることから、店頭でも数年前よりもっと、日本で使うような弁当箱やランチバッグを見かけることが増えてきました。とはいえ、似たような弁当箱を使っても、実際のランチの中身はやはり文化の違いがハッキリあらわれるのが興味深いところ。ランチに求めるものがそもそも違うんだなぁと感じます。では、お弁当箱を使っている家庭では、どのようなランチを持ってきているのか、次の章で解説します。

イギリスの小学生『お弁当箱』の中身は?

お弁当の中身で一番多いのは『サンドイッチ』です。ハム、レタス、チーズ、トマトなど、中に挟んであるものはそれぞれですが、そこまで手の込んだものはあまりありません。ほかにもトルティーヤ(メキシコなどで食べられる薄焼きのパンのようなもの)に具材を巻いたものや、年齢が上がるとパスタサラダを持ってくる子どもも、たまにいます。

お弁当箱はあらかじめセクション分けされているデザインが多く、バランやおかずカップなどを使っているお弁当はあまり見かけません。一番広いところにサンドイッチなどの炭水化物メインの食べ物を入れたら、小さいセクションには果物や野菜を入れる家庭が多いです。

ここでも文化の違いを感じたのですが、日本では野菜を入れるとしてもアスパラの肉巻きとか、スイートコーンと○○の炒め物など、食材を一度料理して、お弁当のおかずとして詰めますね。しかし、イギリスのお弁当は果物や野菜などの食材は『切ったまま』入れるのがほとんど。スイートコーンなどはさすがに茹でてありますが、それでもほぼ茹で野菜など調理された食材をお弁当で見かけることはありません。逆に、お弁当に入っている果物の量に驚かされることがあります。日本のお弁当ではデザート的な位置づけの果物が、イギリスのお弁当ではメインの食材だったりするので、フルーツ2種類が丸のまま入っているというのも珍しくありません。

意見が分かれる!『現代のランチ』の中身

物価上昇が問題視されているイギリスでは、昨年~今年で給食費が2回ほど値上がりしました。(Year 3 から給食は有料)また、スーパーでの食材の値段も上がっています。物価も家賃も上がることに伴って、家計が圧迫される家庭が増えている近年、ますます共働き世帯が増えていることもあり、朝のお弁当作りに時間をかけていられないという理由もあるのか(理由は家庭それぞれ違うかと思いますが)、ときどき議論されるのが『子どものランチボックスの中身問題』です。

親の手作りのものはほとんど何も入っておらず、すべてがスーパーで買ってきた小分け・小袋包装の食べ物だけのランチに、心配の声をもらす方もいらっしゃいます。日本のお弁当だと『お弁当用の冷凍食品』というお助け食材がありますが、イギリスではほとんどそういった商品を見かけません。

その代わり手に入りやすいのは、チーズとクラッカーがセットで入った商品のような、お弁当に入れるのに適したサイズの小袋包装の食材など。もちろん、子どもの健康を気にした『フルーツのみ使用』『添加物不使用』『オーガニック』など、一つ一つの商品にこだわりが見られるものも多少あるのですが、それでも、一つ一つの塩分・砂糖の量、子どもの味覚の発達などを考慮すると、ほぼすべてが市販の商品で構成されたランチを毎日食べることに心配の声が上がるのは、無理がないことなのかもしれません。

お弁当に求めるもの

イギリスで子育てをしていて、筆者が子どもに作っているお弁当は『日本では見せられたものじゃない』くらい手抜きレベルということを自覚しており、どんなお弁当を用意すればいいの?と迷ってしまうこともしばしば。また、毎日スナック菓子を持たせないというルールを家庭で作っていることで、「みんなは毎日クリスプス(ポテトチップス)とチョコレートバーを食べているのに、なんで私の家はだめなの?」と子どもにせがまれることもあります。

お弁当に関して、これが正解!というものが無いからこそ難しい問題なのですが、だからこそ、負担になりすぎない範囲で栄養バランスを考え、適度に手抜きも取り入れながら、子どもの健康を一番に考えたお弁当を持たせてあげる事が、今自分にできることなのではないかと思っています。

きっと、世界中のお弁当を作っているママパパなら、多かれ少なかれ同じように悩むことがあるでしょう。文化が違っても『子どもが健康的に美味しく食べてくれるように』と願って、お弁当を用意しているはず。オンラインの普及で、さまざまなレシピや情報にアクセスしやすくなって現代なので、上手に活用しながら、子育てとお弁当作りを楽しんでいきたいものですね。

■いしこがわ理恵さんのイギリス漫画レポートの記事はこちら↓↓↓

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この記事のライター

いしこがわ理恵
いしこがわ理恵

在英12年目ハンドメイド好きの2児の母。武蔵野美術大学卒業。現在は教育に携わる仕事の他に、日本にルーツのある子どもたちを対象とした日本語子ども会活動・児童文庫活動も行っています。興味の範囲が幅広いので、常にいろいろな方向にアンテナをはりつつ情報収集が日課です。ハッピー子育てに役立つ情報をみなさまにお届けできれば嬉しいです。Instagram @rie.ishikogawa