2018年01月29日 公開

食物アレルギーって?野菜や果物は?子どもの食事で気をつけること

近年、食物アレルギーを持つ子どもが増えているとの調査結果もあり、食物アレルギーに対する関心や取り組みへの必要性が高まりつつあります。子どもとの楽しい食事時間を過ごすために、管理栄養士である筆者が、食物アレルギーについて注意するポイントなどを解説します。

近年、食物アレルギーを持つ子どもが増えているとの調査結果もあり、食物アレルギーに対する関心や取り組みへの必要性が高まりつつあります。子どもとの楽しい食事時間を過ごすために、管理栄養士である筆者が、食物アレルギーについて注意するポイントなどを解説します。

食物アレルギーって?

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食物アレルギーとは、からだが食物に含まれるタンパク質などを異物として認識し、自分のからだを守るために過敏な反応を起こすことです。通常、私たちのからだは、健康を保つために、外からの異物(ウイルスなど)に対して攻撃をします。これは免疫機能といい、生きていくために大切な機能です。この免疫機能が過剰に反応してしまい、からだにいろいろな症状が出てしまうのがアレルギーです。

主な症状として、かゆみやじんましん、唇やまぶたの腫れ、嘔吐や下痢、咳や呼吸困難などがあげられます。重篤な場合は、ショック状態になって死に至ることもあります。

なお、食物にもともと含まれる成分に対する反応(ヒスタミンによるかゆみやカフェインによる興奮作用など)は食物アレルギーには含まれません。

食物アレルギーはどうしておきるの?

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何らかの原因で特定の食べ物を異物と認識してしまうために、食物アレルギーは発症しますが、なぜ、食べ物を「異物」と判断してしまうのかという、原因はまだわかっていません。

乳幼児に発症した食物アレルギーの多くは成長にともなって治りやすいとはいわれています。乳幼児に食物アレルギーが多いのは、食物を分解するための消化器官がまだ完全ではないためなのです。

どんな食品に食物アレルギーの心配があるの?

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乳幼児に多いのは、卵、牛乳、小麦

アレルギーの原因となる物質を、アレルゲンといいます。食物アレルギーを起こしやすいアレルゲンは、年齢により異なりますが、乳幼児では卵がもっとも多く続いて牛乳、小麦となります。

果物類、そば、甲殻類などは乳幼児期よりも小学生以降にアレルギーが出現しやすい食品です。ほかにも大豆ピーナッツ(そのほかナッツ類)、ゴマ、肉類、魚類などが挙げられます。アレルギーの主な原因はたんぱく質なので、可能性はさまざまな食品にあるといえます。

生鮮食品は、食材のままなのでわかりやすいのですが、加工品はいろいろなものが入っているので、間違えて食べてしまったりしないよう、日本では、容器包装された加工食品への表示が義務化(または推奨)されています。対象となるアレルギー物質は27品目です。

アレルギー表示

アレルギー表示

2017年12月現在

アレルギー表示義務の7品目

この27品目のなかでも特に症状が重篤な、または症例数が多い7品目(特定原材料)の表示については、内閣府令で表示が義務付けられています。
<表示義務の7品目>
卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生

表示推奨の20品目

症例数が比較的少ないか、あるいは重篤な例が少なく、現段階では科学的知見が必ずしも十分でない 20品目(特定原材料に準ずるもの)は、通知により表示を行うことを推奨しています。
<表示推奨の20品目>
あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

*この食物アレルギーの原因物質は、時代の変化とともに変わっていく可能性があると考えられるので、今後も適宜、特定原材料等の見直しが行われています。(上記は2017年12月現在)

離乳食の開始は遅らせた方がいいの?

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現在は、離乳食の開始を遅らせても食物アレルギーを予防する効果はないといわれています。生後5~6カ月頃を目安に離乳食を開始して、月齢ごとに食べてよい食材と量を食べていくことがいいとされています。

最初は、おかゆからはじめ、にんじんやかぼちゃなどの野菜類や芋類を少しずつ与えてください。はじめて与えるときは、なるべく赤ちゃんの体調のいいタイミングを選び、使う食材はできるだけ新鮮なものにしましょう。心配であれば、食事日誌をつけておくと、何かあったときに、病院で説明しやすくなります。

乳幼児にアレルギー反応が出やすいのは、卵、乳製品、小麦粉ですので、特にこれらは最初はひとくちだけにして様子をみてみるといいでしょう。卵や乳製品はモグモグ期(7~8カ月頃)から少しずつあげることができます。卵は、必ず固ゆで卵の卵黄を少量からはじめましょう。

また、母乳から移行するかどうかは研究途中ですが、母乳には赤ちゃんのために大切な栄養が含まれているので、食物アレルギーを防ぐためにママが除去することは推奨されていません。

卵や果物などは加熱するとアレルゲンが弱まる?

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卵や果物(あるいは野菜)などのアレルゲンは加熱することで弱くなるといわれていますので、はじめて食べさせるときは加熱しましょう。ただし、すべてのアレルゲンが加熱によって弱くなるわけではありません。

果物の場合、重篤な花粉症を子どもが発症している際は注意が必要です。たとえば子どもがはじめての果物を食べた直後は、まわりの大人がよく観察し、唇や舌、口の中が腫れたり、かゆみやイガイガする感じがないか確認をしましょう。通常、果物をアレルギーとしてからだが認識して反応するのは、成人してからといわれています。

アレルギーを正しく理解し、食事やおやつの時間も楽しく!

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子どもには、栄養バランスを考え、いろんなものを食べてもらいたいですが、やはりアレルギーの問題は、親としては非常に気になるところでしょう。アレルギーとはどういうものなのかを正しく理解し、特にはじめて子どもが口にする食品には注意をして、旬や季節を取り入れた食事やおやつを楽しんでくださいね。
【参考文献】
小児食物アレルギーQ&A 監修 海老澤 元宏  日本医事新報社
アレルギー表示に関する情報 -消費者庁

(監修/一般社団法人 母子栄養協会)

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この記事のライター