もうすぐお子さんが、小学校入学というパパママも多いことでしょう。歌で「1年生になったら~♪ともだち100人できるかな~♪」とありますが、本当に学校でいっぱいお友だちができるといいですね。元校長である筆者が、成長段階別に子どもの友だちについて語ります。
放課後、友だちとは遊ばない?小学生の現状とは……!?
最近の小学校は、子どもたちを放課後遅くまで学校に残しません。昔は「ドラえもん」ののび太のように、宿題を忘れて、担任の先生に放課後残されたなんてこともありましたが、今ではほぼありません。それは、不審者対策のため。子どもの絡む事件が多いですよね。保護者が帰宅時間を気にしているので、毎月の学年だよりには、毎日の下校時間の予定表を掲載しているほど。なので、放課後、友だちと一緒に学校で遊んで帰ることもないのです。
とすれば、小学校で必要とされる友だちとは、どんな友だちでしょうか?「おはよう、さよなら」と言葉を交わすことができて、あとは学校の休み時間や昼休みに一緒に遊び、「仲間に入れて」と頼んだら「いいよ」と言ってくれる、そんな友だちが男女数人ずついれば充分ですね。そんな高いレベルでないことが分かります。
【第1段階】入学直後、近くにいる子どもから仲良くなる
そして幼稚園・保育園入園、小学校入学を経て、親都合による子ども同士の関係は減ります。入学式に偶然隣になり、一緒に写真に写った友だち、出席番号の関係で隣に座った友だちなど、たまたまの関係で友だちは発生します。でもこの最初の関係が、友だち関係に大きく影響します。近くにいる子は、友だちになりやすいのです。
お子さんがもっと友だちを増やしたいようであれば、もう少し遠くの子にも声を掛けるといいですね。先に話しかけるのがコツ。あいさつは、一番無理がないので、「おはよう」と明るく元気良く声を掛けましょう。可能ならば「ドキドキしちゃうね」とか、「疲れたね」とか続けると、会話になります。相手の言葉もしっかり聞きましょう。多少間違えても、ドキドキしても、ここまでできれば大成功。
ちなみに友だちができやすい子どもとは、周りに頼ることが上手な子どもです。分からないことは、周りに聞いて確認する勇気があり、また自分の言いたいことが言え、聞くときにはしっかり相手の話を聞くことができる子どもに、友だちが多いように感じます。
【第2段階】小学校生活、慣れてきたら遊び仲間が見つかる
でも、その友だち関係も相手が「嫌なことを言うから」「意地悪だから」などの原因で、自分から嫌になってしまうこともあれば、相手の子どもにもっと仲良しの子ができて、自然と別々になることもあるでしょう。
ですから、学校に慣れた時期、友だち付き合いのコツは、浅く広く付き合うこと。いろいろな子どもと付き合うことで、うまの合いそうな遊び友だちが見つかります。でも、席の近くにいるお友だちには、必ずあいさつをしましょうね。偶然席が近かったというきっかけは、後に大切になることが多いです。
また、子どもだけではなくママにも大切な友達は必要です。第1回目の学級保護者会は、子どもの席順に座ることが多く、ママ友を作るチャンスでもあります。偶然隣の席で出会い、小1から中学卒業まで仲良かったという例も多いそうですよ。
パパママに聞きます!親友って何ですか?
例えば、ある程度実情を話しても、真剣に自分のことのように聞いてくれ、アドバイスしてくれながら、同情してくれたり、またその話を秘密にしてくれる信頼できる友人の存在です。わが子にもそんな存在ができたら心強いので、人とそんな信頼関係が構築できるようになるといいですね。
でも実際には、幼い段階でそんな良い人間関係が築けるわけでもなく、まずは、好きなものが一緒だった、一緒に遊んで楽しかった、自分を大事にしてくれたなど、自分もこの友だちが好きだなと思えるような人間関係が必要ですね。まずは、それからです。
わが子には、まずは遊び仲間を見つけることを求めてください。パパママもチャンスがあったら、出会いをいっぱい作ってあげてください。そんな中で、気の合う子どもが見つかるはずです。また、ケンカをする子ども同士は、性格が似ている証拠。そんな子どもでも、じっくり付き合ってみると、意外に気が合って仲良くできることも。そんな経験は、パパママもお持ちではないでしょうか。
パパママの経験談は、子どもにとってとても役立つお話です。その話が具体的であればあるほど、子どもたちは理解しやすくなります。パパママの実生活での気配りや工夫で、友人と仲良く関係を維持できているならば、それは生きている参考書になるからです。
【第3段階】少し大きくなって、やっと本音が話せる友だちに出会う
その中で、大分本音で話ができる仲間に出会い、個人的なつきあいも生まれてきます。でも、まだこの段階では、遊びや趣味が一緒の人だけ。この中に「親友」と呼べる、自分に合う「僕の話を聞いてくれる」「相談に乗ってくれる」「助けてくれる」友だちもいるかもしれませんが、もう少し互いに成長しなくてはまだ分かりません。
中学校・高等学校と進むにつれ、同学年という縛りは薄れてきます。同じ趣味を持てば、年齢は違っても、仲良くなれるようになります。この年齢になれば、我慢も辛抱もできるように。でも、同学年・近接学年は、確かに仲間でありますが、学問を修めるライバルでもあり微妙な関係でもあり。まだまだ、すべての悩みを打ち明けられるわけではないようです。
【エピローグ】実例:今の私を支えている友だちの存在
一緒になって一つのイベントの成功に向かって協力する中、自然に出来上がった仲間意識やグループ。私自身、これが一番楽しく感じられ、やりがいを見出しました。それから40年以上、互いに敬意を表し、それぞれの人生を歩みながらも、今も仲の良さは変わっていません。もちろんたまにはケンカもします。しかし、これからも生涯を通して、付き合えそうな友だちになれたかなとも感じています。
これからも仲間のチャレンジに協力したり、助けられたりする関係を続けたいと思います。特に、他業種に就いた友だちからの奥深い意見は、ためになり、そして年代を超えた幅の広い人間関係が、今の私を支えてくれている気がします。そうそう、長続きさせる工夫は、時々連絡をして直接会い、一緒の時間を過ごすことですよ。
お子さんに友だちができるか不安なパパママも多いかと思いますが、大切なのは、共に苦労し、一緒に泣いたり笑ったり喜んだりできる仲間です。自分たちの経験も踏まえ、長い目でお子さんの交友関係の構築を手助けできればいいですね。