飛行距離12,000km。日本への直行便としては最長距離にある場所、それがメキシコです。地理的にみて、はるか遠くにあるメキシコですが、映画『リメンバー・ミー』の大ヒットで身近に感じる機会も増えたのではないでしょうか?そんなメキシコを親子でもっと知って楽しむための、絵本3選をご紹介します。
アステカ時代より続く神話を絵本に
著者:北川民次(文、絵)
出版社:福音館書店
それを見た神様は「知恵のある者に、大きな体と力を与えてしまうと恐ろしいことになる」と考え、ウサギの耳だけを長くした、というお話です。
扉には「これはメキシコがまだ、ナオワの国といった時代の、おおむかしの物語です」とありますが、「ナオワ」すなわち、ナワはいわゆるアステカ時代の中心となった民族のことで、このお話が、アステカの民話をベースにしていることがわかります。
メキシコ・ルネサンスを肌で感じた著者の力強い絵にも注目
壁画運動の担い手であったディエゴ・リベラ(日本でも人気のある女性画家、フリーダ・カーロの夫)、ホセ・クレメンテ・オロスコ、そしてダビッド・アルファロ・シケイロスに共感、交流のあった北川民次の絵は、骨太で迫力があります。
メキシコを愛した作者の創作民話
著者:清水たま子(文)、竹田鎭三郎(絵)
出版社:福音館書店
そこで「それぞれの国から1人、娘を差し出して、相手の国の若者に嫁がせるべし」との信託をうけた両国が差し出したのは、ワニとハチドリでした-。
絵本としては、かなりのボリュームがあるこちらの作品は、27年間メキシコで暮らした作者が、村に伝わる民話をベースに創作したものです。
かつてのチョンタレスとウアベスが住んでいた地域、現在のオアハカ州サン・ペドロ・ウアメルーラ市では、市長がワニと結婚式を挙げるという儀式が、お祭りの一貫として今でも執り行われているそうです。
色彩溢れる絵本は、カバーをはずしても秘密が…
現在、半世紀以上にわたりメキシコで活動する氏は、岡本太郎の「明日の神話」現地制作にも携わった画家です。
このボリュームの絵本をまだ読むことのできない年齢でも、その色彩豊かで、メキシコの神話的アイコンにあふれた絵を見るだけでも、刺激になるのではないでしょうか。
実はこの絵本、カバーをはずすと秘密があるのです……。こちらもお見逃しなく。
ユネスコ無形文化遺産・メキシコ料理を知る絵本
著者:銀城 康子(文)、高松 良己 (絵)
出版社:農山漁村文化協会
和食に先駆けること2010年に、ユネスコ無形文化遺産にも選ばれているメキシコ料理は、プレヒスパニックとスペインの食が融合した、実に豊かなもの。そのメキシコ料理を管理栄養士である著者が、子ども向けにわかりやすく説明した絵本です。
メキシコ料理の基本であるチレやとうもろこし、豆食の歴史から「日本と違って、昼をしっかり食べて夜は軽く食べる」といった食生活の違い、さらには代表的かつ手軽に作れる料理のレシピを掲載しています。
読んだあとに、お子さまと一緒に実際に食べて知る楽しみもあるのではないでしょうか。