1人の教師がほぼ全ての科目を教える日本の小学校と違い、カナダは教科によっては専門の教師が担当します。画一的な教育を行う日本と異なり、公立でも教師の個性や専門性が重視されるカナダ。日本とカナダの小学校の教師の違いや専門の教師から学ぶメリットなどを紹介します。
カナダではピアノが弾けなくても小学校の教師になれる
カナダの大学の小学校の教員養成課程
カナダでは、幼稚園と小学校がひとつの組織です。そのため、大学の初等教育教員養成課程は、幼稚園から小学校6年生までの教育を網羅しています。
カナダの大学の教員養成課程で音楽や体育の教授法は必修ではありません。卒業に必要な単位のうち、芸術系科目(演劇、音楽、図画工作、ダンス)の教授法は3単位(1科目)、体育は選択科目です。日本のように、全ての科目を教える勉強をして教員免許を取得するわけではないのです。しかし、そのため、専門の教師の不足が問題になっている州もあります。
公立小学校の芸術科目は選択制
カナダの芸術系の授業には、日本のような教科書はありません。そのため、教師のアイデアや創造力はとても重要です。息子が3年生のときの音楽の授業では、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』のテーマをソプラノリコーダーで練習していました。かっこいい音楽なので、家でもいきいきとリコーダーを吹いていましたよ。
担当する学年が決まっている
この仕組みは、教える学年が毎年変わるよりも、教師には負担が少ないはずです。また、親にとっても、何年もその学年を教えていることは安心感につながります。
教師同士で得意を伸ばし苦手をカバーする
専門性のある教師が担当してくれたおかげで、その年の図画工作と科学とテクノロジーのクラスは、とても充実していました。
教師の専門分野への情熱が、子どもたちの可能性を広げる
そのことを不公平だと考える人はいるかもしれません。けれども、教師の得意なことを学べるのは、子どもたちにとってポジティブなことです。好きなこと、得意なことを教える教師は、子どもたちが楽しむための工夫をする傾向があります。教師の専門分野への情熱が、子どもたちがその教科に興味を持つきっかけになることも。そう考えると、小学校のうちから専門の教師に学べることは大きなメリットと言えるかもしれませんね。