2022年10月19日 公開

【言葉遣いのしつけ】下品な言葉遣い、乱暴な言葉遣いへの対処法

子どもがふざけて使う下品な言葉遣い、乱暴な言葉遣いに頭を抱えるママパパは多いかと思います。幼児期から増える「悪い言葉遣い」は、子どもの成長の証でもあります。頭ごなしに叱らず、悪い言葉を使ってはいけない理由を伝えた上で指導しましょう。

2歳を過ぎると語彙量も増え、ママパパとの会話もスムーズにできるようになってきます。保育園、幼稚園などに通うようになると、家族以外とのコミュニケーションが増えて「会話力」もグンとアップ。成長が嬉しい反面、悪い言葉遣いやふるまいも増えてくる時期です。
ちょっと前まで赤ちゃんで、たどたどしくしゃべっていた我が子の「下品な言葉遣いや乱暴な言葉遣い」にショックを受けるママパパも多いですよね。

「てめえ、いい加減にしろよ!」
「キショ、死ね。」
「うんこ、ちんちん!」

親に叱られた時、兄弟げんかの最中、友達とのやり取りなどで出てくる下品な言葉遣い、乱暴な言葉遣い。親としてはすぐにやめさせたいですが、これは成長の証でもあります。自我が芽生え、反抗心が生まれた結果であり、行動範囲が広がり社会性が育まれた証拠です。
また下に兄弟が生まれたり、人間関係のトラブルがあったりすることで、不安やストレスから言葉遣いが悪くなることもあります。

「悪い言葉遣い」がSOS信号の場合も

悪いと自覚しながら、下品な言葉遣い、乱暴な言葉遣いをあえて使っている場合は、家庭生活や保育園、幼稚園、学校などで不安やストレスを抱えていることもあります。
ママパパに対して、悪い言葉遣いをする場合は気を引きたい、構ってほしいことが多いです。

子どもに下品、乱暴な言葉遣いで口答えをされると、話も聞かずに叱り飛ばしたくなりますが、ぐっとこらえて歩み寄ってあげましょう。
小学校低学年までのお子さまであれば、抱っこをする、一緒におやつを食べるなどして「話をしやすい機会」を作ると良いですね。

「悪い言葉遣いの要因になるストレスの要因例」・弟や妹、病気の家族がいて話を聞いてもらえない、注目してもらえない。

・友達とうまく意思疎通ができない。

・保育園、幼稚園、学校の先生の教育方針に合わせられない。

・トイレ、給食などに不安がある。

・勉強がわからない。
など

一番大好きなママパパに自分の主張を認めてもらいたいけれど、叶えられないストレスが「悪い言葉遣い」として現れがち。兄弟が多いと大変だと思いますが、その子だけと向き合う時間を少しでも作ってあげましょう。
親から「愛されている、気にかけてもらえている」と実感することで、子どもの情緒は安定します。

下品、乱暴な言葉遣いは放置しない

悪い言葉遣いは決して放置してよいものではありません。
下品、乱暴な言葉遣いは使うことで情緒にも悪影響を及ぼし、対人コミュニケーションのトラブルの基となります。習慣になる前に速やかにやめさせるべきです。

年齢が低いと、たどたどしさと可愛らしさが相まって下品、乱暴な言葉遣いを許してしまいがち。何歳であっても「悪い言葉遣いは良くないこと」だと、毅然とした態度で注意しましょう。その際、親が激昂する、からかうことはNG。

ただ、やみくもに叱ることはかえって、子どもの反発心を煽り、状況を悪化させることも。
改善の第一歩は親が子どもの心に寄り添うことです。下品な言葉遣い、乱暴な言葉遣いをする理由を知り、気持ちを受け止めてあげましょう。

軽い気持ちで、よく使われる「悪い言葉例」

幼稚園、保育園、小学校でからかい、ふざけとして使われる下品な言葉、乱暴な言葉は以下の通り。
罵り系
バカ、アホ、死ね、ゴミ
キモイ、キショ、ブサイク、ウザい
ババア、ジジイ、ガキ
下系・うんこ、ゲロ、おならなどの汚物名称

・ちんちん、おっぱいなどのプライベートゾーン名称

仲の良い友達同士でも使われていて軽口コミュニケーションになっていることも。
お子さまが使っているのを聞いたら、感情的にならずに「傷つく人、不快に感じる人が大多数である悪い言葉」であることを伝えます。

伝え方例「その言葉は人が聞くと悲しい気持ちになる言葉だね。ママパパも言われたら傷つくし、嫌な気持ちになるな。」

「○○ちゃんが言われたらどう感じる?嫌だよね。面白くても言われたら嫌なことは、他の人に言わないようにしようね。」

「○○ちゃんが優しくて良い子なのはママパパが良く知っているよ。でも悪い言葉を使っていると知らない人には、良い子だとは思ってもらえないよ。」

「悪い言葉遣い」いつ頃から始まる?理由は?

我が子の口の悪さは「幼稚園、保育園の友達の影響」と思いがち。
しかし言葉遣いは脳の急成長期である0歳~3歳まで家庭環境が作ります。親や兄弟が使う言葉の影響が、その子の言葉遣いや態度の基となります。
早い子では2歳くらいから「クソ、バカ、黙れ」などの下品、乱暴な言葉遣いをすることも。この場合、子どもと接する時間の長い大人の言葉遣いを、そのまま真似ていると言えます。

1歳半くらいから強くなる自己主張。
我儘、親を試しているように見える態度や言動に、イライラしてしまこともあるかと思います。特に第一次反抗期(イヤイヤ期)にあたる2~3歳は、些細なことにもこだわりや反抗が見られるためママパパは、我が子が急に悪い子になってしまったように感じるかもしれませんね。

下品、乱暴な言葉遣いになる理由としては5つ挙げられます。

1.親の言葉遣いを真似ている
パパママ、兄弟など家族が汚い言葉、乱暴な言葉を日ごろから使っている。これが一番大きな要因。
叱るときほど冷静に乱暴な言葉を勢いで吐かないように、大人が注意しましょう。

2.反抗期
成長に伴い見られる反抗期は3回。

■第一次反抗期 2歳~3歳
■中間反抗期 小学校低学年~中学年
■第二次反抗期 小学校高学年~中学生

3.寂しさ
下に兄弟が生まれた、家族が病気になった、友達とうまくいっていない・・・心に寂しさを感じているときに親の愛情を求めてわざと「暴言」を吐くこともあります。

4.仲間意識を高めるため
集団生活を始めるとお友達の影響も受けます。友達同士で「悪い言葉遣い」をすることで仲間意識を高めることがあります。

5.テレビ、ソーシャルメディア、ゲームの影響
子どもにとって魅力的な人やキャラクターの言動は、真似てみたくなるもの。
暴力的、性的な作品程、子どもの興味を引きます。年齢が上がるほど親が完全に監視して、視聴制限するのは難しいです。

見せないことに躍起になるよりも、見てしまったときにその内容が「道徳的に誤っている、真似して良いものではない」と認識できる判断能力を、親が育ててあげることが大切です。
テレビは視聴時間帯と内容を親が把握しましょう。ソーシャルメディアであれば制限付きモードにします。

3つの反抗期「下品、乱暴な言葉遣い」への対処法

第一次反抗期 2歳~3歳
言葉の意味を理解せずに、ママパパ、兄弟が使っているから、面白いからという理由で使ってしまうことがほとんど。
周囲の大人が下品、乱暴な言葉遣いをしないことが大切です。

子どもは性的な言葉、汚い言葉を自分が言った際の大人の反応をよく見ています。面白がる、厳しく叱るなどして「過剰に反応する」ことは禁物。そのような言葉を発すると、「構ってもらえる」と認識してしまい、発言を繰り返すようになります。

落ち着いてゆっくりと短い言葉

・その言葉は人を傷つける、良くない言葉であること。

・ママパパはその言葉を聞くと嫌な気持ちになる。

ことを教えます。

中間反抗期 小学校低学年~中学年

ギャングエイジとも言われるこの時期。
独立心が高まり、友達との関係を重要視する傾向が強くなります。友達同士の結束を確認するために、下品な言葉遣い、乱暴な言葉遣いを使いがちです。
「不快に思われる言葉」、「悪い言葉」であることは理解しているので、禁止口調で注意すると逆効果。

・「社会的に使うべきではない言葉である」、「友人以外の人からは良く思われない」
という事実のみを端的に伝えます。・ソーシャルメディア等で「悪い言葉遣い」の人の様子を見させるのも一つの手。
客観的に見て格好悪いと気づかせることも有効です。

第二次反抗期 小学校高学年~中学生

体と心の急激な成長に、子ども自身もとまどう思春期。
言葉遣いが荒くなる、口数が少なくなるのは「正常な成長」の過程です。
悩み事があっても親に頼らず、友達に相談することが増えるかもしれません。
大人への反抗心、自分の弱さを隠すために「下品、乱暴な言葉遣い」で防御することもあります。

仲間内の軽口、親へのそっけない態度などは、ある程度は仕方ないかもしれません。ただ悪意のある暴言、人を貶める言葉は思春期であっても注意しましょう。
例え言い争いなっても、毅然とした態度で「社会的に反する言葉は使うべきではない」と伝えることが、その子のためになります。

・親が言われた場合は「傷ついた、悲しい」と素直な気持ちを伝えます。子ども扱いせずに対等な立場で話し合います。

・子どもに対して一歩距離を置き、意見や行動を「一人の大人」として尊重します。

・職業体験、学校見学など「敬語が使える若者」がいる場所に連れて行くのもおすすめ。世代の近い若者の”大人な言動”に触れると意識が変わります。

幼児期にありがちな「呼び捨て」、「お前呼び」

保育園、幼稚園に通い始めて交友関係が広がってくると、乱暴な言葉や大人ぶった言葉遣いを覚えてきますよね。
感受性と好奇心が強いこの時期は、善悪問わず「心動かされたもの」を「ものまね」することが多いです。アニメ、バラエティ番組、ソーシャルメディアなどから得た「悪い言葉遣い」、「悪ぶった口調」を躊躇なく真似てしまいます。クラス、組の一人が悪い言葉を使い始めるとクラス、組中で大流行してしまうことも。

特に「お友達や先生の名前の呼び捨て」、「相手のことをお前と呼ぶ」ことは、悪気なくしてしまいがち。

お友達や先生の名前の呼び捨ての対処法

呼び捨ては仲良しのお友達、先生にしてしまうことが多いです。
多くの保育園、幼稚園の多くでは友達同士の「呼び捨て」はやめるように、子どもたちに伝えています。あだ名を禁止している施設も多いですね。
もちろん指導していただく先生を呼び捨てするのは論外です。

家庭内でもお友達の呼び捨てに気づいたらその都度注意します。仲良しの証で呼び捨てしていると言われたら、「ちゃん、くん、さん」をつけても友情は変わらないことを伝えます。

先生の呼び捨ては今後、社会生活に悪影響があるのですぐにやめさせます。
以下のように「先生のありがたさ」を簡潔に言い、呼び捨ては良くないと自覚させましょう。

先生は・・・
・いろいろなことを教えてくれている・安全に過ごせるように守ってくれている。

・○○ちゃんを大切に思ってくれている。

・みんなのために毎日とても頑張ってくれている。

だから・・・呼び捨てするのは「失礼で、良くないことだよ!」と伝えます

相手のことを「お前」と呼ぶ

こちらもお友達同士で呼び合うことが多いかもしれません。
また喧嘩をしていて興奮した際に「お前さぁ、生意気なんだよ!」などと使ってしまう子もいます。
乱暴で横柄な印象を与えてしまう「お前呼び」。親しい仲であってもやめるべきです。
もし家庭内でママパパは叱る時に「お前呼び」をしているなら、改めた方が良いでしょう。

お前呼びを使っていたら、その場で注意して「○○ちゃん(くん)はお前って言われたら、どんな感じする?」と聞いてみましょう。たいてい「嫌だ。」「悲しい。」のような感想が返ってくるでしょう。
そんな風に感じてしまう呼び方を、仲良しのお友達にするのは良くないと教えます。

そして「お前と呼ばれると大体の人は嫌な気持ちになる。」
「お友達の名前をちゃんと呼んだほうが、かっこいいよ。」
ことを伝えましょう。

子どもと同じ土俵に立たない。親はスルースキルを持とう

子どもの言葉遣いを正そうとするあまり、指導が厳しすぎるのも良くありません。家族間の会話の流れを頻繁に止める、ちょっとした流行り言葉に噛みつくなど行き過ぎた指導は、親子ともにストレスが溜まり、家庭内の雰囲気もギスギスしてしまいます。

社会的にはばかられるような「下品、乱暴な言葉遣い」はその場で注意すべきですが、以下のことがわかっている場合は、時には聞き流すことも良いでしょう。

・子どもが悪いとわかって使っている。

・他人には使っていない。

一番信頼しているママパパに、悪い言葉で話す姿を見せるのは気を許し、甘えている証拠です。良くない言葉を発することでストレス発散している子も多いです。

先にも述べた通りこれは、脳と情緒が順調に成長している証拠。親が子どもと同じ土俵に立ち、抑えつけたり、怒りをぶつけたりすることは健全な成長を妨げます。
子どもの発言に振り回されないように、親がスルースキルを高めておくことも必要です。

専門家が提唱する「口ごたえの重要性」

口汚い言葉で口ごたえされると、どんなにかわいい我が子でもカチンとくるのは当たり前の話です。成長しているのだなぁ、と微笑ましく思えず、けんか腰に叱ってしまうこともありますよね。

東京大学小児科講師 榊原洋一氏は著著『ママ、パパ、こんなときどうするの』の中で、口ごたえの重要性と子どものストレスについて以下のように述べています。

口ごたえをしながらも、子どもは頭では親がなくては生きていけないことをよくわかっているのです。それを大前提としながら、自我を確立するためのエクササイズをしているというわけです。

P.124「反抗期という成長過程の表れ」

口ごたえをして発散してしまえば、そのあとは不安がない状態に置かれ、ストレスのボルテージも低く維持できます。子どもの精神状態も安定しやすいといえるでしょう。

P.125「口ごたえができないとストレスがたまる」

子どもを一人の独立した人間として尊重する意味で、「他人」であるということを忘れてはならないと思います。親と子であっても人間同士の付き合いなのだということです。

P.126「口ごたえができないとストレスがたまる」

引用文献:榊原洋一著,『ママ、パパ、こんなときどうするの』,栄光教育文化研究所,1997

子どもの乱暴な物言い、口答えは親への信頼の証と言えます。感情的にとらえて、怒鳴り返す、嘆き悲しむことは避けましょう。
かと言って、子どもの暴言を黙って我慢して受け入れることはありません。親も傷つき、悲しむことを伝えることも大切です。

ママパパの言葉遣いを見直そう

勤務中は尊敬語、謙譲語、丁寧語しか使っていないママパパも、自宅ではくだけた口調になる方が多いかと思います。リラックスするためにも、家族間では砕けた話し方をするのは良いことです。
しかし、その中に差別用語や下品な言葉、乱暴な言葉遣いが含まれている場合は改善する必要があります。

子どもがお手本にするのは家庭内での親の言動です。外でどんなに礼儀正しい言葉を使っていても、家庭内での言葉遣いが乱れていれば、子どもの言葉遣いも悪くなります。

また子どもを叱る際にも注意が必要です。感情が昂ぶり、乱暴な言葉遣いにならないように、注意して叱りましょう。
悪い言葉遣いに格好良さを感じる幼児~小学生までは、ママパパが言葉遣いに気を付けるだけで下品、乱暴な言葉遣いは減らせるはずです。

\ 手軽な親子のふれあい時間を提案中 /

この記事のライター

AOTANAOAO
AOTANAOAO

2015年よりライターと鞄・アパレル雑貨メーカーのWEBモデルの仕事をしています。Chiik!!では幼稚園入試、英語学童、インターナショナルスクール、親子で作れる知育玩具などの記事を執筆。 教育・健康・レジャー・ファッションなど、「日常生活がより豊かに楽しく送れる」ような情報記事を書いております。