小学校受験におけるペーパーテストの領域に「推理・思考」と呼ばれるものがあります。しっかりと対策をしていないと解答できない問題も多く、子どもがつまづきがちな「難問」領域です。この「推理・思考」を塾ではなく家庭学習でどう教えればよいでしょうか?
難問!「推理・思考」とは?
この問題は「観覧車問題」といって(そのままですが……)、苦手にしている子どもが多いことでも有名です。
単に位置が変わるだけではなく、向きや回転が加わり難度が高まります。
解き方のルールを知っているか・知らないか
小学校受験のペーパーテストでは「文字が読めない幼児」を対象にした問題が作られますので、問題は口頭で読み上げられます。
※差が生まれないように基本的には録音された問題が放送されます。
どの問題も通常は「記憶力」や「理解力」が求められます。しかし、これらの推理・思考の問題に関しては、「解き方のルール」を知らないと解答に辿りつけないとママミーヤは感じました。
それは娘のミヤピーを教えていて痛感したことです。
ミヤピー大苦戦!「つりあい」
ミヤピーは七田チャイルドアカデミー(現:EQWEL(イクウェル)チャイルドアカデミー)に通っていたおかげもあり、記憶力と理解力に関してはほとんど問題はありませんでした。そんなミヤピーでも、はじめて推理・思考問題に取り組んだ時には「これは太刀打ちできない……」という状態を経験したのです。
はじめにつまづいたのは「つりあい」の問題です。
つりあいというのはシーソーの原理を応用した問題のこと。軽いものが上にあがり、重いものが下にさがるという原則を知っていれば解けるように感じるかもしれませんが、それだけでは解答できません。
だって意地悪な問題もあったんです。
意地悪な問題
子どもにとっては「ゾウ=重い」「ネズミ=軽い」ですよね。絵本や図鑑などをよく見る子どもほど、その「常識」をしっかり身につけているもの。
でも、シーソーの絵を見るとネズミの方が重くなっています。
つまりこの問題では、絵のイメージにとらわれず、与えられた条件を理解して解かなければいけないのです。
どう教えたか?
目の前の現状を把握する、というのは大人になってからも必要になる能力です。ママミーヤはこれは子どもの教育にとっても良いのではないか?と感じていたので、苦戦するミヤピーにこんな言葉掛けをし続けました。
「普通、ゾウさんって大きくて重いから変な問題だよね」
「でも、この問題ではネズミが重い。ミヤピーの知ってる世界とは違うんだけど、この問題は違う世界のお話なのかもしれないね」
自分の知っている世界だけが全てではない。目の前の現状をよく見ること、固定概念にとらわれてはいけないことを言葉を変えながら何度も何度も伝えました。
「具体物を使った説明」をするときは、1問を徹底的に
幼児教室では具体物を使って教えることを主としているところが多いそうです。例えばつりあいの問題では小さい天びんやシーソーを使って重さの概念を教えたりする、などです。
実際に売られている教材を買って私もミヤピーに教えてみたのですが、教材を使わずとも5、6年生きていれば(笑)、常識的にわかることも多いことに気づきました。
この具体物を使った説明は、適切な教材を手に入れたり、それなりに時間を要するなど、塾なし・ワーママ・保育園といった三重苦(?)のわが家ではハードルが高くなる部分です。
解けない原因は、理屈がわかってないからではなく「解き方」がわからないからです。なので、こういう難問にぶつかったら、1問でいいので「解き方のルール」を徹底的に教えます。このやり方でできるんだ!とわかれば、次からはスイスイと解けるようになるはずです。
できるようになれば細かい理屈も理解できるようになります。
つりあいの問題「解き方ルール」の例
例えば先ほど出した、登場する動物を重い順に並べる問題の場合。
・2つずつ(複数)ある動物
と
・1つだけの動物
を認識するとすぐに答えがわかります。
【つりあいの問題の解き方ルール1】 ひとつだけのものは、一番重いか軽い
1つだけの動物は「ネズミ」と「ウシ」です。ネズミは下にさがっていて、ウシは上にあがっているので、
一番重い→ネズミ
一番軽い→ウシ
とわかります。
同じ動物には同じ印を付けてつなぎあわせて考えると、順番もすぐにわかります。
「ネズミ」より軽い「ゾウ」。「ゾウ」より軽い「ウサギ」。「ウサギ」より軽い「ウシ」と答えが導きだせます。
この解き方ルールをがわかれば、すぐに他のつりあいの問題も回答できるようになるはずです。
応用問題:大人でも結構難しい?!
つりあいの問題にはさまざまな種類があり、中には上のような応用力が求められるものもあります。
子どもが苦手だと感じても仕方ないと思うほど難しいです。正直いって、ママミーヤでも一瞬つまづきそうになるレベルです……。
【つりあいの問題の解き方ルール2】数が多いものが軽い
上の問題の場合、「数が多いものが軽い」というルールを起点に考えます。
つまり、一番軽いのはみかんです。
リンゴとみかんにとって共通して重さ比べができるのはバナナです。
みかん3つとバナナ1つが同じなので、左のシーソーのバナナ1本に付き「○」を3つずつ書きます。
そう、答えは、みかん6個です。
一番重いものと一番軽いものが認識できれば答えるのは容易なのです。これも解き方のルールをしっかり教えて、何度も繰り返し解くことで必ずできるようになります。
苦手分野を理解させるために
教え方のノウハウよりも大切なことがあります。それは子どもがしっかり理解するのは親の忍耐次第であることを認識することです。
塾に行っている、行っていないはそれほど問題ではないかもしれません。結局、家庭学習にどのくらいの力や時間を割けるかで差が大きく現れると思っています。
まだ5~6歳の子どもが親と同じ理解をできるわけがないのです。語彙も少なく、理解させるための言葉選びや教え方が大切です。理解できなければ教え方が悪い。そう思って丁寧に、回り道せずに教えることが大切です。
小学校受験の「推理・思考」では、解き方のルールを知れば子どもでも必ず解答できる問題しか出ません。
それでは次回もお楽しみに!