「国際アンデルセン賞」という賞をご存知でしょうか?この賞は、優れた児童文学の作家・画家に授与される名誉ある賞で、日本人も過去に5人が受賞しています。今回は国際アンデルセン賞の詳細と、過去の日本人受賞者をご紹介します。
国際アンデルセン賞って?
賞自体は「作品」に与えられるのではなく、児童文学に対する貢献度や業績に対して与えられるもの。2年に一度、各国の国際児童図書評議会より推薦された候補者から、作家・画家の各一名ずつの受賞者が選ばれます。
日本人は2018年に「角野栄子」さんが受賞。それ以前にも作家、画家あわせて4名が受賞しています。
魔女の宅急便で一躍有名に「角野栄子」さん
著者 :角野栄子(作)、林明子(画)
出版社 :福音館書店
角野さんは、2018年現在83歳。早稲田大学卒業後、移民として2年間をブラジルで過ごしました。日本に帰国後、ブラジルでの体験をまとめた『ルイジンニョ少年、ブラジルをたずねて』で作家デビュー。それ以来、魅力あふれる物語を数多く創作してきました。
なお角野さんは、国際アンデルセン賞以外にも国内外の多くの賞を獲得しています。たとえば『魔女の宅急便』は、第23回野間児童文芸賞、第34回小学館文学賞、IBBYオナーリスト文学賞の3冠を達成。スタジオジブリで映画化され、大ヒットを記録したことでも有名です。
魔女のキキがさまざまな人と出会い、成長していく姿を描いたこの作品。女の子は特に「キキみたいになりたい!」とあこがれるかもしれません。
守り人シリーズでおなじみ「上橋菜穂子」さん
著者 :上橋菜穂子
出版社 :新潮文庫刊
上橋さんが作家デビューしたのは27歳のころ。上橋さんは作品のなかで、善と悪といった単純な構図ではなく、さまざまな価値観が混ざり合ったストーリーを描いています。また、ファンタジーの世界を描いているにもかかわらず、根底のテーマはリアリティのあるものばかり。そういった作風のためか大人からも支持を集めています。
そんな上橋さんの代表作「守り人シリーズ」は、NHKで実写ドラマ化されたことでも有名です。シリーズ一作目『精霊の守り人』には、バルサという用心棒の女性が、新ヨゴ皇国の第二皇子チャグムを守るために奮闘する様子が描かれています。
上橋さんの作品は、小さなお子さまにはまだ難しいかもしれません。気になるパパママは、ぜひ読んでみてください。
童謡の作詞も手掛けた「まどみちお」さん
著者 :まど・みちお(詩)、南塚直子(絵)
出版社 : 小峰書店
24歳のころ「まどみちお」のペンネームで投稿した詩を、詩人・北原白秋に認められたことが活動のきっかけに。以降、童謡の作詞だけではなく子ども向けの詩集や絵画作品も数多く残しています。2014年、104歳でこの世を去りました。
彼の代表作はパパママだけでなく、幼稚園や保育園に通うお子さまにも聞き馴染みがあるはずです。
・ぞうさん
・やぎさんゆうびん
・一ねんせいになったら
・ふしぎなポケット
また、まどさんの詩を集めた詩集もおすすめ。特に1998年初版発行『キリンさん』は、童謡「ぞうさん」同様に、生き物に対する愛がつまっています。まどさんの優しい詩の世界に、親子でひたってみてはいかがでしょうか。
スーホの白い馬で有名な「赤羽末吉」さん
著者 :大塚勇三(再話)、赤羽末吉(画)
出版社 :福音館書店
しかし、絵本作家となったのは赤羽さんが50歳のころ。「かさじぞう」の挿絵を描いたのがデビュー作でした。その後多くの絵本の挿絵を手掛け、1990年に80歳でこの世を去ります。
赤羽さんの作品で最も多くの方が知っているのは、『スーホの白い馬』ではないでしょうか。教科書にも載っていたため、よく覚えているというパパママもいるかもしれません。
少年スーホと白い馬の絆、そして悲しい別れが描かれたお話です。ストーリーに華を添えたのが赤羽さんの力強い絵。モンゴルの広大な大地や疾走する白い馬を迫力たっぷりに描いています。引き込まれるストーリーとともに、赤羽さんの絵の魅力もじっくり味わってみてください。
ふしぎなえでおなじみ「安野光雅」さん
著者 :安野光雅(絵)
出版社 : 福音館書店
代表作のひとつが「ふしぎなえ」。エッシャーの作品のような不思議な世界を堪能できます。細かく描きこまれた絵画にはいろいろなものが隠されており、探し絵としても楽しめそうです。「小人さんは何人いるかな?」などとクイズを出しながら、親子で読み進めてみてはいかがでしょうか。