2019年02月22日 公開

2人目はお金がないからあきらめる?【今すぐできる家計管理術】第13回

そろそろ2人目を考えたいけど、わが家の経済状況でもう一人家族が増えても大丈夫?お金がないからあきらめた方がいい?支出不安からの「2人目の壁」。教育費や生活費などかかる費用をお伝えします。「2年で350万貯めた あきのズボラ家計管理」著者による連載第13回です。

そろそろ2人目を考えたいけど、わが家の経済状況でもう一人家族が増えても大丈夫?お金がないからあきらめた方がいい?支出不安からの「2人目の壁」。教育費や生活費などかかる費用をお伝えします。「2年で350万貯めた あきのズボラ家計管理」著者による連載第13回です。

もう一人子どもが欲しいと思った時に気になるお金のこと

Illustration by いしこがわ理恵 (133291)

via Illustration by いしこがわ理恵
そろそろもう一人子どもが欲しいなと思うけれど、子どもが増えるとお金がかかる。

わが家の経済状況でもう一人子どもが増えたら家計はどうなるの?生活していけるの?

そんな風にお金のことが気になって心配しているパパやママはいないでしょうか。

私はこれまで1,000件以上の家計相談にお答えしてきましたが、なかでも多いのが「もう一人子どもが欲しいのですが、わが家の家計状況で大丈夫でしょうか」というものです。

子どもが一人増えたらいくら負担が増えるの?

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子どもが一人増えたらお金がかかるのはなんとなくわかるけれど、具体的に子どもが一人増えると支出はいったいいくら増えるのか、気になりますよね。

真っ先に思い浮かぶのが「教育費」ではないでしょうか。

教育費の平均は、幼稚園から大学まですべて国公立を選択しても約785万円必要というデータがあります。幼稚園から高校まで私立、大学では私立文系を選択した場合では約2,161万円必要に。国公立か私立か、選択する進路によって1,000万円以上の差が出るということですね。

参考:「子どもの学習費調査」文部科学省平成28年度、「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」(文部科学省)の標準額、「私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額」(文部科学省平成28年度)※端数の切り上げや切り捨てなどの加工を行い計算しています。

さらに、子どもを育てるには「教育費」だけではなく「食費」「水道光熱費」「被服費」「その他」など「生活」に関わる支出も必要になりますよね。

平成17年版国民生活白書(内閣府)によれば、一人の子どもにかかる費用は、教育費を除いた住宅関係費と基本的経費で775万円。

その基本的経費の内訳の中で特に割合が高いのは、食料費(310万円)。続いて光熱・水道費(85万円)、その他の消費支出(80万円)、被服及び履物費(75万円)となります。

※引用、出典:平成17年版国民生活白書(内閣府)

「教育費」「食費などその他生活に関わる支出」を合わせて、子ども一人につき少なくともおおよそ1,560万円、進路によっては3,000万円くらいが必要ということになります。

いくら余裕があれば産んでもいい?

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子ども一人育てるのに何千万円以上もかかると考えると、そんなにお金もないし、うちにはもう一人子どもを迎えるなんてムリではないかと考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

確かに上記のデータを見ると子どもを一人育てるには膨大なお金がかかることがわかります。

しかし、一人につき少なくとも1,500万円以上もの貯蓄がないと子どもが迎えられないということではありません。

当たり前のことですが、出産までにこれだけの費用を貯めなくてはいけないということではなく、子どもが産まれてからの22年間でゆっくりとかかっていく支出だからです。

特に教育費は、高校までの費用は収入に応じて貯金を崩さずに支払える程度の進学先を選択。高額になりやすい大学の費用に焦点をあてて貯蓄をしておくというのが一般的です。

私立大学文科系学部への進学を希望する場合は、おおよそ400万円。そのうち200万円は児童手当を全額貯蓄するだけでまかなうことも可能です。残りは200万円。それを18歳までに貯めるとすると、1年で約11万円(月約9,000円)です。

上記では教育費以外にかかるお金は775万円。1年分は約35万円。貯蓄からではなく、日々の生活費の中から出すとすると、毎月約3万円の負担増が見込まれます。そこに、さらに大学入学までは別途学費がかかるという計算になります。

なんだか計算がややこしくなってきましたので、もう一度まとめてみましょう。

子どもが一人生まれることでかかる費用

生活費として(食費など)の負担増:毎月約3万円。
大学進学費用として貯蓄(18歳までに400万円目標とした場合):児童手当全額+毎月約9千円。

子どもを一人産むことで、だいたい月4万円程度の支出が最低限増えるとみておけばよいということになります。

第二子以降はおさがりなどがあり、第一子ほどお金がかからないことも。「うちは節約家だから」という場合もありますが、それでも月3万円程度は見ておきたいところです。

そこに、進学するにつれて以下の費用がかかります(幼稚園・保育園を除く)

・小学校(公立):+約2.6万円。
・中学校(公立):+約3.9万円。

こちらが、学費や習い事の費用の平均額です。1人あたり月3、4万円にこちらがさらに上乗せされてくるというイメージになります。

こんな家計の人は要注意!

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赤ちゃんを一人迎えるなら、少なくとも当面の間は月3万円の負担増を見越しておくと家計設計としては上出来です。

つまり、今の時点で月3万円の余力がない家計の方は、さらに苦しくなってしまう可能性が高いと言えます。

今の時点で食費さえままならない、家賃さえ払い遅れている、多額の借金があるという家計運営をしている場合は、そこにさらに月3万円の負担が増えるとまさに家計は火の車になってしまいます。

このような危ない家計管理をしている方は、赤ちゃんを迎えるより、まずは正常な家計運営ができるように家計を見直してから、という順番にした方がお金の面では安心できます。

産む?産まない?どちらを選ぶ?

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子どもが一人増えると支出は間違いなく増えます。

子どもが大きくなるにつれ、親の手はかからなくなり育児は楽になるものの、「お金が倍かかるようになり、違う苦労が増えるわよ」と大学生のお子さんをお持ちのママがため息をついていました。

とはいえ、本来子どもを産み育てるということは、とても尊いこと。

なかには授かりたくても授かれない方もいると思えば、お金で苦労しそうだから本当は2人子どもが欲しいけど1人であきらめるなんてもったいないと私は思います。

もちろん、今現在多額の借金があるなど、どうしても金銭的にムリな場合もありますよね。

しかし、そこまで深刻ではなく、少し頑張れば何とかなる範囲なら、チャレンジをする選択肢もあってよいのではないでしょうか。

今まで家計相談をお引き受けした方のなかにも、現状の家計状況では苦しいけれど、2人目を迎えるために副業の準備をはじめたという方もいらっしゃいます。

1人目の時は産休を長めに取得したけれど、2人目の時は産休をやや短くとり、早々に職場復帰をし収入をささえることにしたという方もいます。

「子どもがもう一人欲しいのですが大丈夫でしょうか」というご相談には、あきらかに無理がある家計の方を除いて、私はいつも「産んだ後の苦労」と「産まなかったことの後悔」のどちらの方が自分にとって重いかを考えて選択されてくださいとお答えするようにしています。

軽率に結論を出す必要はありませんが、家計を黒字化する長期的な家計設計を検討しながら総合的に判断されることをオススメします。

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この記事のライター