9歳の少年とりゅうの子の物語「エルマーのぼうけん」。ハラハラする展開に思わず物語へ引き込まれてしまいます。仲間を思う気持ちや知恵を使うことの大切さを教えてくれるこの物語は、小学校中学年までにはぜひ読んでほしい作品。英語版との読み比べもオススメですよ。
1作目「エルマーのぼうけん」
著者:ルース・スタイルス・ガネット(作) 渡辺 茂男(訳) ルース・クリスマン・ガネット(絵)
出版社:福音館書店
この作品の主人公エルマーは、大人になったら飛行機で空を飛ぶという夢を持っていた9歳の少年。雨の日に助けた老猫に頼まれ、エルマーは1人どうぶつ島で野生の動物たちに捕まったりゅうの子どもを助けに行きます。
この物語を読むときに注目してほしいのが、エルマーのリュックの中身。読み聞かせをする場合は、リュックの中のアイテムを、どこでどのように使うのかを気にかけながら読んであげると、子どもは物語の世界により身近に感じてくれるはずです。
2作目「エルマーとりゅう」
著者:ルース・スタイルス・ガネット(作) 渡辺 茂男(訳) ルース・クリスマン・ガネット(絵)
出版社:福音館書店
どうぶつ島からエルマーの家があるかれき町へ向かう途中で立ち寄ることになったカナリヤ島。その島でエルマーは、3年前まで飼っていたカナリヤのフルートと再会します。そして、りゅうと協力して島の問題を解決することに……。
3作品ともに共通していることなのですが、見返しのうらにぼうけんの地図が描かれています。ぜひ、親子でエルマーがいる場所を確認しながら読みすすめてくださいね。
3作目「エルマーと16ぴきのりゅう」
著者:ルース・スタイルス・ガネット(作) 渡辺 茂男(訳) ルース・クリスマン・ガネット(絵)
出版社:福音館書店
1章、1章、ドキドキする展開が続きます。筆者は、3作とも息子が寝る前に数章ずつ読み聞かせをしました。そして毎晩「続きが気になるから、もっと読んでほしいよ」と息子から訴えられることに……。そこで、3作目を読んでいる途中の休日の昼下がりに「今からエルマーを最後まで読んであげようか?」と息子に聞いてみたのです。すると意外なことに「楽しみがなくなるから、夜に少しずつ読んでくれればいい」という答えが返ってきました。
続きが気になるけど、読み終えるのがもったいない!それくらい息子をとりこにした絵本です。
英語版「My father’s Dragon」
著者:Ruth Stiles Gannett(著)、Ruth Chrisman Gannett(イラスト)
出版社: Random House Books for Young Readers
原書のタイトルは「My father’s Dragon」、直訳すると「ぼくのとうさんのりゅう」。タイトルが表しているように、エルマーの子どもがお父さん(エルマー)から聞いた子どものころの大冒険を誰かに話しているような文章です。日本語版では「エルマーのぼうけん」の第1章のはじめのほうだけがエルマーを示す主語が「ぼくのとうさん」となっています。けれども、その後は主語が「エルマー」になるので、子どもではなく、第3者が語っているような雰囲気です。英語と日本語では、同じ物語でも文章の印象が少し違うのも面白いところです。
筆者も息子も日本語版を読んで、エルマーが助けた猫はオスだと思い込んでいました。けれども、英語版で猫がメスだと知ったときは、二人でものすごく驚いてしまいました。日本語版と英語版を読み比べてみると、新たな発見がありますよ。
「エルマーのぼうけん」から順番に読みましょう!
シリーズものの中には、どの作品から読んでも楽しめるものがあります。けれども、「エルマーのぼうけん」シリーズは、ぜひ最初の作品から順番に読んでくださいね。2作目や3作目から読むよりも、最初から順番に読むほうがドキドキ感が倍増します。そして、1作目を読み終わると2作目、3作目と続きを読みたくなってしまうので、はじめから3冊とも揃えておくのがオススメです。