2023年02月09日 公開
非認知能力キャンプ

非認知能力を自然と育む!親子で笑顔になるファミリーキャンプ

人間力とも称される非認知能力は、社会を生きていく上で大切な能力。この非認知能力を育むのに今回おすすめしたいのがファミリーキャンプ。記事の中では親子キャンプの始め方についても解説します。

今ファミリーキャンプが大人気で、親子でキャンプに挑戦してみたいと思っているパパママもいらっしゃるかもしれません。ファミリーキャンプは家族みんなで楽しめるレジャーとしての良さはもちろんのこと、これからを生きる子どもたちに大切な力を育むことができる最高の遊びと言えます。この記事ではファミリーキャンプのどんなところが子どもの生きる力=非認知能力を育むのかについてご紹介します。

非認知能力とはどんなもの?

非認知能力という言葉を耳にしたことはあるでしょうか? 人間力とも称される非認知能力は、IQや学力テストなどのように数字で測れる能力とは真逆の、社会性やコミュニケーション能力、自制心、GRITなど、社会を生きていく上で大切な能力の総称のことを言います。

非認知能力が注目されたきっかけは、アメリカのノーベル賞受賞経済学者のジェームズ・j・ヘックマン教授が発表した「ペリー就学前プロジェクト」の追跡調査からでした。調査では、幼児期に非認知能力を育んた子どもたちは学習意欲が高く、その後の社会的地位に好影響を与える傾向があることがあることがわかったのです。

日本でも非認知能力は教育業界で注目を集めていて、新しい『学習指導要項』では「生きる力、学びの、その先へ」という言葉で非認知能力の大切さが謳われています。

ではなぜこの非認知能力が重要視されるようになったのでしょうか?
それには、AI(人工知能)の進化や電子コンピューターの登場、宇宙ビジネスの進展など、科学技術の急速な発達で、社会のあり方や今後どのように変化していくかの見通しがとても難しい時代であることが大きく関係しています。

子どもたちが大きくなった頃の世界は今以上に先行きが不透明で予測困難な時代。今よりもさらにAIが発達していて便利な世の中になっている中、子どもたちに求められることは、AIに指示を出していくための目標設定力や応用力、コミュニケーション能力、リーダーシップ力など、人間として精神的に成熟していることなのです。非認知能力をしっかり培っていくことが、これからを生きる子どもたちがどんな時代であっても自分の人生の舵を取っていく鍵になるでしょう。

もちろん認知能力(学力)も大切な力で、非認知能力が高まれば高まるほど認知能力も上がっていくというとても興味深いデータもあります。これは、集中力や目標に向かってがんばる力である非認知能力が、目の前のことに本気に取り組むことを支えていて学力向上につながっているのです。

非認知能力は「遊び」に深く関係していて、今人気のファミリーキャンプには非認知能力を育む要素がたくさんあります。どうしてキャンプをすることが非認知能力を高めることにつながるのか、お伝えしていきます。

非認知能力は自然の中で身に付く!

非認知能力を高めるコツは遊びの中にあります。子どもがいきいきと目を輝かせながら集中して遊んでいる瞬間、目には見えませんが非認知能力が育っているのです。

そして、特に非認知能力と親和性が高いのが「外遊び」。

体を動かして遊ぶこと、植物や生き物に触れることができる自然遊びは子どもの脳にたくさんの刺激があって、非認知能力を育む上でとても大事なことなのです。

石を拾って集める、木の実をとる、クローバーの花飾りを作る、たんぽぽの綿毛を息を吹いて飛ばす、野の花の香りを嗅ぐ、落ち葉を踏む、空を眺める・・・etc。

これらのような自然遊びはからだの諸機能を発達させ、知的好奇心を旺盛にし、思考力、表現力、感受性を養います。

『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン著)では、子どもが自然遊びをすることは科学者がなぜだろうと問いを持って観察する姿と同じで、「科学する心」を育てていると述べています。

自然の中で思いっきり遊ぶことは、科学好奇心を育みつつ、生命(いのち)を大事にする心にもつながっていくのです。

キャンプは子どもの非認知能力を鍛える最高の遊び

キャンプには子どもの非認知能力を高めるポイントが大きく3つあります。

キャンプが非認知能力を高めるポイントは、①自然の中で遊ぶこと、②非日常の世界で過ごすこと、③役割が与えられること、の3点が挙げられます。

自然には大人が何かを用意しなくても子どもにとって遊びの材料がふんだんにあります。日ごとに、季節ごとに違った表情を見せてくれるので、キャンプに行くたびに新しい発見がたくさんあることでしょう。

さらに、キャンプでは普段の生活では得られない体験ができて、家族みんなで特別な時間を分かち合うことができます。家族でキャンプをして遊んだことは、子どもにとって生涯忘れられない思い出になりますし、自分はパパママから愛されているんだと感じることが自己肯定感にもつながります。

そしてキャンプには子どもが自分でやる、何かしらの役割を与えられてお手伝いをするシーンが多々あります。この役割を与えられて全うすることこそが非認知能力を培う上でとても大切なのです。

このように意識しなくてもキャンプに出かけるだけで、子どもは自然の中で夢中で遊びながら非認知能力を育んでいくことができます。

不自由さの中から非認知能力は生まれる

キャンプではいろいろなシチュエーションがあって、その一つひとつの遊びやお手伝いの中で子どもは非認知能力を伸ばしていきます。実際にどのようなことで非認知能力が刺激されるのかをお伝えします。

自然と触れ合って遊ぶ(感性・知的好奇心・想像力)

自然の中で遊ぶことは子どもの諸機関の成長を促したり、感性や想像力を育みます。虫を探したり、珍しい落ち葉を集めたり、木の身を拾ったり、花の香りを嗅いだり、頬にふく風を感じたり、星空を眺めたり、全ての遊びが子どもにとって良い刺激に。自然は遊びの宝庫なので、パパママは頑張ってこれをして遊ばせようとする必要はありません。

火を起こして焚き火を楽しむ(頑張る力・目標達成力・自制心)

一言で火を起こすと言っても色々な作業があります。炭や薪を運んだり、ファイヤースターターで火を付けるところから始めたり、薪をくべたり、うちわで仰いだり、お子さんの年齢によって徐々に任せてあげるといいでしょう。低年齢のお子さんの場合、キャンプ場に落ちている小枝を拾って集めることも、それが火が燃えるのに役立っているとわかると喜んでやるでしょう。焚き火を楽しむことは、頑張る力や目標達成力、自制心などが身に付きます。

料理を一緒に作る(達成感・自己肯定感・協調性)

野外で料理をしてそれを食べるということはキャンプならではの醍醐味。ここでは最初から難しいことをお願いするのではなく、簡単なところからスタートしてみましょう。野菜を洗う、お鍋に水を入れる、食材を分ける、一緒にお米を炊く、パパママから見たら小さなことかもしれませんが、子どもはひしひしと達成感を覚えるのです。また力を合わせて料理を作ることで協調性が生まれたり、家族の一員として料理を作ったという自信から自己肯定感も育まれます。

テントの設営を手伝う(挑戦する力・自分で考えて動く力)

ハードルが高いように思われるテントの設営ですが、数を重ねるごとに子どもは子どもなりに自然と覚えてどう動けばいいのかわかるようになってきます。なので最初から無理矢理にやらせるのではなく、最初は「こういうふうにテントを貼るんだよ」とお話ししておく程度でいいかと思います。もちろん子どもがやってみたいと言ったら一緒にチャレンジしてみましょう。子どもが小さいうちは、車からテントや寝袋を運んだり、テントの中にシートを引いてもらったり、翌日のお片付けを手伝ってもらうくらいがちょうどいいかもしれません。

子どもは本当に周りをよく観察しているもので、数回行けば私はこの役目ができる、やらせて!と自分で動くようになります。テントの設営一つとっても、この経験が自分で考えて動く力や、次はこれをやってみようと挑戦する力を育んでいきます。

天気によって状況判断をする(状況判断力・察知力)

自然は気まぐれで、急に寒くなったり天気予報が変わって小雨が降ってくるなんてことも多々あるでしょう。この不自由さも便利で快適な時代には刺激になるのです。空を見てなんだか雲行きが怪しいねと話したり、雨が降りそうだと思ったら急いで荷物を片付けたりすることは、キャンプだから体験できること。この自分の思い通りにならない、自然に合わせて行動していくことで、状況判断力や察知力を養うことができます。キャンプの準備段階から親子で会議をして家族全員で考えることは新たな刺激や発見につながりおすすめです。

キャンプ場で友達と遊ぶ(コミュニケーション能力)

キャンプ場では初対面の人に会う機会が多く、子ども同士で仲良くなって遊んでいるなんてことはよくあること。最初のうちは戸惑いもあるかもしれませんが、親が介入したり、何度もキャンプに出かけているうちに、子どもも積極的にコミュニケーションが取れるようになってきます。パパママは、出会った方に挨拶をしたり、会話を楽しんだりと、子どもに見本を見せてあげられるといいですね。友達家族で一緒にキャンプに行くのもお勧めですが、家族だけで行ってキャンプ場でその場の出会いを楽しむのもおすすめです。

キャンプ初心者でも大丈夫!親子キャンプの始め方

ファミリーキャンプをやったことがないけれど興味が少しでも湧いたなら、ぜひ、最初からハードルを高くしないということを念頭に置いていただけると嬉しいです。

ベランダでキャンプご飯を食べるべランピング、この時もお湯を外で沸かしてカップラーメンを食べるだけで十分。そして、バーベキューやデイキャンプなど日帰りのものから行ってみたり、初心者歓迎のイベントに参加するのもおすすめです。

テントで寝るのに抵抗があるという場合は、コテージやバンガローで寝泊まりをするのもいいでしょう。パパママが無理して疲れたり機嫌が悪くなってしまうのは一番避けたいところ。初めてのことなので大人でも不安だったりうまくいかないことがあるのは当然のこと。失敗を恐れずにハードルを下げて挑戦してみてください。

親子キャンプで家族時間を楽しみながら非認知能力UP

著者自身、結婚する前からキャンプが好きだったもののファミリーキャンプを始めたときは、長男が4歳、長女が6ヶ月のときでした。正直最初は不安で、キャンプ場が主催する初心者のためのキャンプイベントに参加することに。手ぶらで気軽に参加したものの、当日は大雨で雨を凌ぎながら一生懸命料理をしてご飯を食べたことや、焚き火をして暖まったことを覚えています。大変な日にファミリーキャンプデビューをしてしまったのかなと思いましたが、あのとき子どもと一緒に作って食べたスープのおいしさを今でも覚えていますし、翌朝快晴となって心から嬉しくなって、自然って人間の手でコントロールできないものだなぁとしみじみ感じることができました。

その後、何度もキャンプに行くようになったのは、子どもがとても喜ぶことに加えて、私自身も自然の中で過ごすことで心がリフレッシュすることがとても心地良いからです。

9歳になった息子は火の番を最初から最後までしてくれて頼もしい存在になり、5歳の長女は自分ができる仕事を探して手伝うと怒られるほどに自分の役割を果たそうと頑張ってくれています。

これからファミリーキヤンプをしてみたいと思っている方には繰り返しになりますが、最初はハードルを下げること、また、家族みんなで楽しむ気持ちで臨んでもらえたら嬉しいです。キャンプ前に家族で計画を立てたりするのも楽しい時間。課題に対して家族みんなで考えて話し合えるのもキャンプの楽しさの一つです。

最後に、我が家のキャンプのご飯は全く映えなしです。オールインワンでできる鍋が基本で、そのときの気の向くままに家族みんながストレスなく過ごせることを大事にしています。

参考文献
・非認知能力を育てるあそびのレシピ

・非認知能力を高めるキャンプの本

\ 手軽な親子のふれあい時間を提案中 /

この記事のライター

大曽根 桃子
大曽根 桃子

ちょうどいい働き方を模索し続けている、フリーランスライター&エディターです。子どもの何気ない遊びの中に無限の可能性があると信じていて、非認知能力について勉強中。また、お母さんが笑顔でいることを大切に、積極的に自分のご機嫌を取る日々を送っています。趣味は、テニス、銭湯、サウナ、キャンプ、旅行、美味しいものを食べることなど。10歳男子、6歳女子とふたりの子どもがいます。