2017年10月17日 公開

慶應義塾幼稚舎と筑波大学付属小学校の試験内容「『お受験』はじめました!」vol.5

小学校受験に塾に通わず挑んで合格した保育園児とワーキングマザーのママミーヤが、「お受験」に挑戦するまでに考えたことや実践したことを振り返ります!連載5回目の今回は東京で私立・国立それぞれを代表する慶応義塾幼稚舎・筑波大学付属小学校の具体的な試験内容を紹介します。独特な形式が特徴的な2校、驚く方も多いかもしれませんね。

小学校受験に塾に通わず挑んで合格した保育園児とワーキングマザーのママミーヤが、「お受験」に挑戦するまでに考えたことや実践したことを振り返ります!連載5回目の今回は東京で私立・国立それぞれを代表する慶応義塾幼稚舎・筑波大学付属小学校の具体的な試験内容を紹介します。独特な形式が特徴的な2校、驚く方も多いかもしれませんね。

慶應義塾幼稚舎とは?

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入学すると慶応義塾大学までの道が約束される、日本で最も入学困難な小学校の一つ「慶応義塾幼稚舎」。東京・広尾駅から歩いて10分ほどのところにある天現寺橋交差点付近にあるため、別名「天現寺」とも呼ばれています。

幼稚舎という名前なので幼稚園だと思っている人も多いのですが、小学校です。
その出願数は、毎年、男女合わせて2,000人を超えるといわれています。

幼稚舎は、1年生から6年生までクラス替えも担任の変更もなく、非常に結束が強くなります。そのため、「幼稚舎出身」であるということは慶應義塾の塾生の中でもブランド価値が高いものとされています。

筆記試験はなし!独特の試験内容

慶応義塾幼稚舎の試験では、学力を問う筆記試験はありません。
・絵画・工作
・運動
・行動観察
が試験内容です。

受験者は月齢によって考査の考慮があります。

・絵画・工作では高い想像性が必要!

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例えば絵画の場合。実在するものだけではなく、想像の世界を膨らませ、それを二次元の世界に落とし込めるか、が問われます。そして、その想像の世界の内容が「面白い」かも評価の対象であるようです。

製作中も先生方が教室を回り、子どもたちに声掛けをしながら採点をしているようです。この「お声掛け」の回数が多いほど合格の切符を手にしやすくなるといわれています。

・たくましい身体能力が必要!

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慶應義塾の創始者、福沢諭吉先生の自伝「福翁自伝」には
「まず獣身を成して而して後に人心を養う」
という言葉があります。この言葉は幼稚舎の教育にとってとても大切なもので、言葉通り、運動重視の教育についてこられる子どもを求めています。

運動考査では、毎年サーキット運動と呼ばれるいくつかの運動要素を含めた一連の動きを評価します。実際に幼稚舎を目指している子どものサーキット運動をみたことがありますが、非常にきびきびとした動きとスピードに驚きました。一朝一夕ではなしうることができないと感じました。

・行動観察もあり!

行動観察は私立の女子校と比べれば平易なものです。自由遊びのなかなどから様子を見ているようです。

常識的な行動をとっていれば問題ないですが、しっかりと自分の意見を伝え、周囲に気配りもできるコミュニケーション能力が高い子どもが好まれるようです。

また、試験の前に3つのお約束「喋らない」「前の人を追い抜かさない」「走らない」を言い渡されます。そのルールを破ることは絶対にNGです。

受験生の中には、3代にわたって幼稚舎出身など慶應義塾との強いつながりがあるお子さまも多く、合格への道は非常に厳しいといえます。第一志望にするには勇気が必要な学校ですが、歴史の重みを感じる充実した学びの施設は本当に魅力的です。校内の博物館、図書館も素晴らしく、多くの出願者が押し寄せるのもわかる気がします。

・毎年春すぎ頃から売れる「福翁自伝」「学問のすゝめ」

毎年、願書に福沢諭吉先生の書籍を読んで感じたことを書く欄があります。福沢先生の教えと家庭の教育方針との一致している箇所や特に感じ入ったところなど、どの家庭も推敲を重ねて仕上げてきます。

面接がないので、親の熱意を伝える唯一のツールです。

毎年春過ぎ頃から対象図書である「福翁自伝」と「学問のすゝめ」は書店の受験関連コーナーに平積みになることが多く、幼稚舎を目指す家庭の必携アイテムとなっています。

国立の雄!筑波大学附属小学校の受験

東京・文京区にある「筑波大学附属小学校」は入学後に体育の授業が重視され、学力だけではなく高い身体能力が求められるところは慶應義塾幼稚舎と似通っています。

学力考査だけではなく、運動考査でも鍛え上げられた子どもたちが残ります。

抽選→テスト→抽選!

都内の国立小学校の多くと同様に抽選があります。

筑波大学附属小学校は合格まで抽選→テスト→抽選の3回の考査を通過する必要があります。実力だけでも、運だけでも合格できません。

テストは、月齢ごとに3グループに分けられ、それぞれのグループごとに行います。4~8月生まれ=Aグループ、9~11月生まれ=Bグループ、12月~3月生まれ=Cグループです。

例年Aグループが最も受験者が多く、Cグループが少なめです。テストの内容もグループごとに違い、月齢に合わせた難易度になっています。

考査の流れ

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1次考査:11月に1次考査として抽選が行われます。
男女とも約1,000人が通過します。例年、男女それぞれに約2,000名の応募がありますので、約半数が合格することになります。

2次考査:約1カ月後、1次考査通過者を対象に2次考査が行われます。考査内容はペーパー・運動・行動観察です。また、2年前より保護者が試験中に作文を書くようになりました。筑波の教育に対して理解があるかどうかを問われるようなお題が出されます。

試験の結果、男女各1,000人の受験者の中から各100人に絞り込まれます。

3次考査:2次考査合格発表の翌日に抽選が行われます。男女各100人の中から、それぞれ64名ずつが合格します。

1次考査抽選の方法

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1次抽選はよく商店街のイベントでも使われているような、ガラガラ回す抽選器を使って行われます。00から99までの100個の玉が入れられ、先生が抽選器を回します。

受験番号の下二桁の数と合致すれば合格です。

2次考査は「お話」「図形」と伝統の「クマ歩き」

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ペーパー試験は毎年「お話の記憶」と「図形」が出題されます。

問題数は多いですが、解答時間が非常に短いです。終了時間は各教室の先生に委ねられており、時間前に「やめ」になることもあるそうです。試験中の態度もチェックされています。

運動考査では筑波名物(笑)「クマ歩き」が毎年必ず出題されています。

クマ歩きとは両手両足を使って規定のコースを歩くものですが、筑波で求められているものは「クマ走り」です。筑波を目指している子どもたちのクマ歩きは本物の動物のように早く、コースを正確に進みます。年度によっては、クマ歩きの他に前転などのマット運動を組み合わせることもあるようです。  

2次考査合格発表の翌日、最後の3次試験=抽選が待っています。

3次考査抽選

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1次考査の抽選は学校長が引いてくれる抽選ですが、3次は、まず抽選器を親が回して一人ずつの番号を決めていきます。抽選器の中には合格者数に1を足した数の玉が入っており、最後に副校長が引いた番号の次の番号から64名が合格になります。

例えば最後に出た番号が「20」だったら、「21」から「84」までが入学候補者、すなわち合格となります。

3次考査での非常な結果に、泣き崩れる親御さんもいらっしゃいます。しかし、2次考査まで通過したということは、その子の実力は折り紙付きということ。これまで頑張ってきた努力は、どの小学校に進学してもきっと役立つことでしょう。

試験内容を研究して対策を立てることが合格への一歩

以上、小学校受験ならではの独特な形式が特徴的な2校をご紹介しました。

この2校にとどまらず、考査方法は各校によってかなり異なります。志望校をしっかり定めて、研究を重ねて対策を完璧に仕上げていくことが、合格への道標となります。

気になる小学校がいくつかあるようでしたら、ぜひ子どもと一緒に学校訪問などをして、どの学校に通わせたいか、通いたいかを早めに決めるとよいですね!

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この記事のライター

ママミーヤ
ママミーヤ

フルタイムではたらくママ(時に数日にわたる徹夜あり)。 会社員から脱却し、フリーランスになるが前より忙しくなる誤算に悩む。 0歳から保育園に通う娘が一人。昨年、塾なしで小学校受験に挑戦して無事に入学。 0歳からの幼児教育・お受験の勉強を自宅で行うためのコツ・時間のやりくりなどをお伝えします!