アジア最貧国のひとつでありながら、村の子どもたちが片言の英語でツーリストに語りかけているネパール。教育水準はまだまだ低いにもかかわらず、なぜ子どもたちの英語力がそんなに高いのでしょうか? ネパールの教育現場からレポートをお届けします。
英語で話しかけてくるフレンドリーな村の子どもたち
「ハロー」「フェアーユーフロム?」
そしてときどき、お決まりの「ギブミー、チョコレート」
村の子どもたちは、くったくのない笑顔で自分が知る限りの英単語を使って、どんどん話しかけてきます。外国人と英語で話すこと自体が彼らにとって、楽しいお遊びなのでしょうね。
小さな村の農家の子どもたちでさえもこんなに英語がしゃべれることに、最初はびっくりしたものです。
ネパールの公立では、小学一年生から英語の授業がある
その理由のひとつとして、お隣の大国インドの影響が考えられます。言語の違う多民族が入り混じっているインドでは、英語は準公用語として広く使われています。当然、学校教育においても英語が積極的に取り入れられています。
その影響を強く受け、ネパールでも英語教育に力を入れる傾向があるのではないでしょうか。
英語ができること=エリートという図式
学ぶ方としても、習った英語が将来の仕事に活かせるのであれば、モチベーションがアップします。親も子どもの将来を考えると、自然に英語教育に力を入れるようになります。
また最近では、海外留学を目指す若者が急増しています。小さいころから英語教育を受け、英語圏の大学を目指し、卒業後はその国で就職する。それが、エリートへの近道という意識が強く、そのためにも幼稚園から英語で教育させる親が増えているのです。
私立では、幼稚園から英語がスタート
4歳児クラスでは主にフォニックス(英語の発音学習)やアルファベット、英単語を学びます。アルファベットの書き写しなどの宿題も出されます。
5歳児、6歳児になると、日常の会話や簡単な英語の文章を学びます。「あなたは何色が好き?」「この動物は何?」というような簡単な文章からはじまり、6歳の終わりには、現在形、過去形、簡単な意思表示の表現はできるようになっています。
毎日の英語の宿題は相当な量で、幼稚園児でも毎日2時間以上かかる宿題が出されるのが当たり前。幼稚園児にとってはかなり負担な量ですが、親も子どもの将来のためと思い、宿題を奨励する傾向にあります。
私立の小学校では、国語以外の授業は英語の教科書で
私立の小学校の授業は、国語(ネパール語)、英語、算数、社会、理科の5教科が基本。国語以外の教科は、英語で書かれた教科書で学びます。
ネイティブの先生がいるわけでもないし、特別に英会話を重視した教育カリキュラムを導入しているわけではありません。ただ、幼稚園から小学校にかけ、毎日の授業を通して英語に接する時間は相当な長さになります。
とはいえ日本同様、読み書き重視の授業内容。それなのになぜ、ネパールの子どもたちは日本の中学生以上に英会話に長けているのでしょう?
コミュニケーション好きな性格と英語力の関係
外国人トレッカーと常に接するヒマラヤの村の子どもたちは、英語を使う機会に恵まれています。少々文法が間違っていても、臆することなく話しかけます。
このようなフレンドリーでおしゃべり好きなネパール人の性格も、語学習得に貢献しているのかもしれません。