幼稚園への通園時間、服装や持ち物など、入園前はなにかと気になることが多いですよね。イギリスの幼稚園は、そういった点では本当にストレスフリー。忙しいパパママ、そして入園をひかえた子どもが、安心して利用できるようなシステムが用意されているんです。
家計に優しい英国政府の補助制度
イギリスの場合、通常、3歳の誕生日を過ぎた後の入園月(1、4、9月)から、幼稚園に通園を開始することができます。
通園の曜日や時間は幼稚園と話し合って決められます。親の仕事の就業パターンや、祖父母などに送り迎えをお願いする家庭であれば、その都合なども考慮できるのです。
さて、曜日と送り迎えの時間帯を決定するのと同時に、考えなければならないのが、週に何時間通園させるかということ。ありがたいことに、週15時間までであれば、政府から補助が出るため、無料で幼稚園(またはナーサリーと呼ばれる保育園のようなもの)に通えます。フルタイムで働いている等の条件を満たせば、週30時間までは無料になることも!
ですから、家計にとっても優しい!子育て家庭にうれしい制度なんです。
持っていく物がほとんどない!?必要最低限で親も楽チン
幼稚園の入園が決まると、次に必要なのは「持ち物の用意」ですね。
こちらも、忙しいパパママにはありがたいことに、ほとんど必要なものがありません。
多くの幼稚園では、
・登園用のバッグ(小さなバックパックを使っているお子さんが多いようです)
・ランチとランチを入れる保冷バッグ
・水筒
・長靴(外遊びに使用)
・家族の写真(入園直後は、幼稚園の先生と子どもとの話題作りになる)
以上です。
ここに、トイレトレーニング中であれば、おむつやパンツなどがプラスされますが、それ以外、登園用のバッグは、ほとんど空っぽで登園します。オンラインでやり取りするため、連絡帳などもありません。
日本の幼稚園の場合、ループ付きタオルやフォーク・スプーンセット、ランチョンマットやコップ、歯ブラシなど細々とした持ち物が多いかと思いますので、それに比べて、イギリスの幼稚園は、必要最小限といった感じの持ち物で、大変助かります。
また、バッグなどが「手作りであること」などの決まりや風潮がありませんので、とても気楽です。
登園の服装は、とっても自由!
持ち物の次は、服装について。
イギリスの幼稚園には、制服がありません。通園が1~2年と短いことが理由なのではと思いますが、とにかくすぐに洋服がサイズアウトしてしまうこの時期。自由な服装で登園OKなのは、助かります。
外遊びも室内遊びも登園時の洋服で行うので、多少汚れても気にならない洋服を着ていくことは必須です。がしかし、基本的にはどんな格好でもOK!わが家の登園用は、サイズアウト一歩手前のものや、お下がりのものをメインで着せていました(泥んこ遊び、砂遊び、水遊びも幼稚園でどんどんさせるので、むしろどんどん汚れておいでという気持ちで送り出せる服をチョイス!)。
好きな服でOKなので、この前、幼稚園で見かけた男の子は、今「マイケル・ジャクソン」にハマっているからと、マイケルジャクソン風の帽子とジャケットで登園していて、可愛いなぁと思いました(笑)。
先生は、スタッフトレーナー&Tシャツがトレードマーク
日本の幼稚園・保育園の先生といえば、エプロンを着けているイメージがありますが、イギリスの先生たちはエプロンを着けていません。その代わりに、園のロゴや名前が入ったスタッフTシャツ&トレーナを着ています。
慣らし保育中や入園当初で先生方の顔をよく覚えていないときでも、同じ服を着ているのでわかりやすく、すぐに相談ができて助かりました。また、実生活でも親である先生方が多く、専門家としての立場に加えて親としての経験からアドバイスをしてくださるのも、大変心強く感じました。
ところで、先生自身が子育て中ということで、自分の子どもの学校への送り迎えが必要な方もいらっしゃいます。そういった先生方は、自分の子どもを学校へ送ってから出勤し、お迎えの時間に間に合うように退勤するシフトで働くという、フレキシブルな就業スタイルをとっています。
日中は幼稚園の先生として働いていても、就業時間を調整し、自分の子どものことも犠牲にしないワークスタイルが可能なイギリスの幼稚園。職場としても魅力的ですね。
イギリスの幼稚園は、すこぶる居心地が良い
イギリスの幼稚園に入る前は、知らない世界なので不安がいっぱいでした。しかし、無料で通えるうえ、先生たちの心強いサポートもあり、通園の持ち物などもシンプル!結果として、親にとってはストレスがない幼稚園時代となりました。
もちろん親にとってだけでなく、子どもの性格や生活パターンに合わせた通園時間を選べること、お気に入りの洋服で気分を盛り上げて登園できること、園にいる時間は先生たちがママパパ代わりのように温かく信頼できることなどから、子どもにとっても幼稚園は居心地が良かったようです。
毎日ママやパパと一緒という家庭中心の生活から一転、幼稚園に入園して社会を感じることは、幼い子どもにとって大きな変化となり、ともすればストレスになることも。ですが、フレキシブルさがあるイギリスの幼稚園には、無理なく子どもたちが適応していけるような工夫や魅力が随所にあると感じました。
取材・文・イラスト:いしこがわ理恵
在英13年目の2時の母、ライター兼イラストレーター。武蔵野美大卒。現在は英国で日本語教育・日本語子ども会活動にも従事。海外生活・育児経験を活かした記事を執筆中。
※いしこがわ理恵さんのイギリス漫画レポートの過去記事はこちら↓↓↓