2018年07月17日 公開

「幼児教育・保育無償化」の条件は?月額上限や注意点を徹底解説

「幼児教育・保育無償化」が2019年9月から実施されます。認可だけでなく認可外も対象となることが決まりました。ただし、すべてが完全に無料になるわけではありません。無償化の条件や注意点、さらには浮かび上がった問題点も合わせて詳しくご説明します。

「幼児教育・保育無償化」が2019年9月から実施されます。認可だけでなく認可外も対象となることが決まりました。ただし、すべてが完全に無料になるわけではありません。無償化の条件や注意点、さらには浮かび上がった問題点も合わせて詳しくご説明します。

幼児教育・保育の無償化とは?

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Dmitri Ma / Shutterstock.com
政府が2020年4月から本格実施する予定だった「幼児教育・保育の無償化」は、2019年10月に前倒して実施することになりました。財源は、同時期に実施予定の消費税率10%への引き上げによる増収分を使います。

政府は2017年12月、認可保育所や幼稚園、認定こども園の無償化は、「0~2歳児は住民税非課税世帯」、「3~5歳児は全世帯」を対象とすることを発表しました。

認可外に関しても、2018年5月末の政府の検討会で方針が決定。これにより、市区町村に保育が必要と認定を受けた世帯は、ベビーホテルやベビーシッターなど幅広いサービスも無償化の対象となります。

認可外の施設も対象とするのは、認可保育所への入所資格を満たしているのに入所できない子どものためです。さらに、認可保育園に入れず、幼稚園で時間外に子どもを預かる「預かり保育」も対象となります。

全面実施を半年前倒しにするのには、消費増税が家計に悪影響を与えると考え、少しでも反動を抑えたいという狙いや、国民に対して増税への理解度をアップさせたいという見方もあります。

無償化の対象をもっと詳しく!月額の上限もあり

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vinnstock / Shutterstock.com
無償化は、国が認可した施設やサービスかどうかがポイントになります。例えば、3~5歳児を認可保育所や認定こども園に預ける世帯は、保育料の負担はありません。

これに対し、幼稚園または自治体が独自で認証した認可外の保育サービスは、月の上限額が設定されています。認可外の保育サービスは利用料が高額になるケースが多く、政府による財政支援の公平性から上限額が設定されました。

世帯や預ける施設ごとに、詳しい内容をみていきましょう。

0~2歳/住民税が非課税の世帯

【認可保育所】無償
【認可外保育】月4.2万円まで

3~5歳/共働き・シングルで働いている家庭

【保育所・認定こども園】
無償

【幼稚園】
月2.57万円まで

【幼稚園の預かり保育】
月3.7万円まで(幼稚園保育料の無償化の上限額である月2.57万円を含めて)

【認可外保育施設】
月3.7万円まで

【認可外保育施設+ベビーシッターなど複数利用】
月3.7万円まで

【幼稚園・保育所・認定こども園+障害児通園施設】
ともに無償、幼稚園は月2.57万円まで

3~5歳/専業主婦(夫)家庭

【認定こども園】
無償

【幼稚園】
月2.57万円まで

【幼稚園の預かり保育・認可外保育施設】
無償化の対象外

【幼稚園・認定こども園+障害児通園施設】
ともに無償、幼稚園は月2.57万円まで

※「保育所」とは、認可保育施設
※「認可外保育施設 」とは、一般的にいう認可外保育施設、 自治体の認証保育施設など

「共働き家庭・シングルで働いている家庭」で注意したいこと

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Frank Gaertner / Shutterstock.com
「共働き家庭・シングルで働いている家庭」が、保育所(認可・認可外問わず)やベビーシッターなどを利用する際は、「保育の必要性の認定事由に該当する子ども」かどうかがポイントになります。次のいずれかに該当する必要があります。

新制度における「保育の必要性」の事由

1.就労(フルタイムのほか、パートタイム、夜間など基本的にすべての就労に対応)
2.妊娠、出産
3.保護者の疾病、障害
4.同居又は長期入院等している親族の介護・看護
5.災害復旧
6.求職活動(起業準備を含む)
7.就学(職業訓練校等における職業訓練を含む)
8.虐待やDVのおそれがあること
9.育児休業取得時に、既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること
10.その他、上記に類する状態として市町村が認める場合

いずれかに該当することが必要であるものの、「同居の親族その他の者が当該児童を保育することができる場合、その優先度を調整することが可能」という一文があります。

つまり、親がフルタイムで働いていても、祖父母や親戚などと同居していれば、保育の必要性に該当しない可能性も。この判断は、各自治体にゆだねられることになります。

「認可外保育施設」を利用する場合に注意したいこと

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maradon 333 / Shutterstock.com
無償化の対象となる認可外保育施設には、ベビーシッターやベビーホテル、事業所内保育所などほぼすべてが含まれます。ただし、原則として国が定める指導監督の基準を満たすもののみとなっています。

認可保育園への資格があっても入園できず、認可外を利用する世帯もあります。そのため、今後の利用者の公平性から、5年間は経過措置として、基準を満たしていない場合でも、自治体への届け出と立ち入り検査を受けることを条件に認めることになりました。

5年間で監督基準を満たし、認可外施設における質の向上を促進する狙いもあります。

無償化の問題点1「不公平感」

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厚生労働省によれば、3歳児の認可外保育施設の平均額は月4万円のため、無償化の補助を差し引くと、負担額は3千円となります。しかし、これはあくまで平均値に過ぎません。また、待機児童の多い都心では、認可外の保育料が10万円を超えるケースも。

認可では無料となり、また幼稚園でも補助額内におさまるケースが多いことから、認可外保育に通う世帯にとっては一部補助に過ぎず、不公平感が残ります。

政府の有識者会合のヒアリングでは、全員が認可に入れるようにしてほしいという要望が殺到しました。また、世間では、認可や認可外など通わせる先で補助額を決めるのではなく、所得に応じて一律に決められる方が納得できる、という声も上がっているようです。

無償化の問題点2「待機児童」

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厚生労働省によると、平成29年10月1日時点の待機児童数は5万5,433人で、前年よりも7,695人増加しています。幼保無償化よりも、以前として解消されない待機児童問題を優先すべきだという声も。

限りある財源を無償化に取られ、保育所の整備や、保育士確保のための賃金アップなど処遇改善といった、待機児童問題を解消する施策が遅れることを懸念する声が相次いでいます。

また、無償化という新制度がスタートし、潜在的な需要が掘り起こされれば、待機児童問題がさらに深刻になる可能性も考えられます。

幼保無償化の知識を深め、2019年10月を見据えた行動を!

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幼児教育・保育無償化にはさまざまな問題点があり、今度も新たな問題や改正点が出てくる可能性も考えられます。この新制度を活用するために、知識を深めておくことが必要です。

共働きやシングル家庭においては、「保育の必要性の認定事由に該当する子ども」となることがポイントです。現在は専業主婦(主夫)でも、今後就労を望むのであれば、「就職活動」に該当することになります。2019年10月からスタートする無償化を見据え、その恩恵を最大限に受けるための環境づくりを進めましょう。

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この記事のライター