一般的に、「日本に比べて海外では人をよくほめる」といわれます。筆者は5年前からオーストラリアに住んでいますが、こちらでは特に、子育ての中で子どもをほめることがとても多いと感じます。筆者の印象に残ったほめ方やほめるシチュエーションを紹介します。
海外ではどんなふうに子どもをほめる?
一方、海外の人は「ほめ上手」と言われますが、それは本当でしょうか?
筆者は、5年前にオーストラリアに家族で移住しました。こちらで、大人が子どもたちにどんな言葉をかけるのか、を間近で観察してきましたが、特に印象に残ったのが、「子どもをよくほめる」「ほめ言葉の表現が豊富」ということです。
そこで、「オーストラリアでは、子どもをどんなふうにほめるのか」を紹介します。
まずポジティブなことを言う
定番の言葉は、“Great job!(よくやったね!)”。
ほかには、“Awesome!”、“Fantastic!”、“Amazing!”、“Fabulous!”、“Excellent!”(「すごいね!」「すばらしい!」「ステキ!」などの意味を表す)などです。
また、オーストラリアでは”Well done!(よくやった!)”という表現も一般的です。
こうした言葉は、まず子どもの成果を見たときの「最初の反応」として、躊躇なく使われます。
また、“You are amazing!”、“You are special!”、“You are a superstar!”、など、「あなたはすばらしい!」と称賛する表現も惜しみなく用います。
日本語で考えたら、わが子に「あなたはスーパースターだよ!」と言うなんて考えられないかもしれません。……が、英語では割と普通にこのような表現をします。
親子だけでなく、先生が生徒をほめるときにも使われます。
「私は~が好き」と言う
たとえば、子どもが描いた絵を見たときに、「ステキな絵だね!特にこのお花の色が(パパもしくはママは)好きだよ」と言うような感じです。
このように、自分の意見や感想を述べることは、日本では「ほめる」という意味ではとらえられないかもしれません。しかし、こちらでは相手をほめるときに、割とよくセットで使われる表現です。
ただし、出来を評価したり、批評するわけではありません。
自分が主観的に「いいな」と思う部分を、具体的に伝えます。ほめられた子どもは、「自分のやったことをちゃんと見てもらえた」と感じ、満足感が増すようです。
失敗したときにはどういう言葉をかける?
そんなときには、“Good try!” と言うことがあります。tryとは、「やってみようと試みる」という意味です。
たとえば、筆者の息子が水泳の授業で、教わったように泳ごうとしてうまくできなかったとき、先生は”Good try!” と言ったそうです。
誰でも、がんばって取り組んでもうまくいかないときもあります。ですが、まず「やろうと試みた」ことをほめるのですね。このようなときも、Goodというポジティブな言葉を使うのが、印象に残りました。
最後に
筆者が感じるのは、【日本語に比べ、英語ではよりほめる言葉がカジュアルに使われる】ということです。また、子どもに限ったことではなく、大人同士、家族同士でもほめ言葉はよく使われると感じます。
ところで、日本の感覚で「ほめるとき」というのは、たとえば「学年で●位以内だった」とか「賞を取った」とか、あるいは「上手だ」「見た目がよい」など、人と比べて出来がよいときではないでしょうか?
一方、オーストラリアで出合った「ほめ言葉」とは、「その人自身が何かに取り組んだ」という、その行動に対する称賛だといえます。
まず「やってみた」ことそのものがすばらしいことなのだから、それを率直にほめる、という価値観があるような気がします。
成長過程にある子どもは、失敗を恐れず新しいことにチャレンジする経験が大切です。「やってみたことをほめる価値観」は、筆者自身の子育てにも取り入れていきたいな、と考えています。