モンテッソーリ教育には5つの教育分野がありますが、その中の1つ「日常生活の練習」 には、「あけ移し」のお仕事があります。このお仕事をすることは、鉛筆やお箸の持ち方・使い方の練習にもつながります。おうちであけ移しをどうやって進めるか、その方法をご紹介します。
あけ移しのお仕事とは?
指先を上手に使えるようになるためには、随意筋(ずいいきん)と呼ばれる、自分の意志によって動かすことのできる筋肉を思い通りに動かす練習が大切です。
子どもの体は体の中心から外に向かって発達をしていきます。大きな動きをたくさんすることで随意筋が鍛えられ、指先を使うような細かな作業ができるようになります。
なので、あけ移しのお仕事も段階を踏んで焦らず順番に進めることが大事です。まずはピッチャーやコップなどを使ったあけ移しからはじめて、スプーン・レードル→トング→お箸へと移行していくとよいでしょう。 スタートの目安は2歳頃です。
準備するもの
・ピッチャー(2つ)
・スプーンまたはレードル
・トング
・深めのお皿(2枚)
・トレー
・ポンポンまたは豆
・お水を使う場合は布巾
など
どの準備物もおうちにあるものや、100円ショップなどで揃えることができるものです。無理なく進められるように、子どもの手におさまるような小さめサイズを使うといいですよ。
STEP1 ピッチャーを使う
用意するピッチャーは2つ。片方にお水を入れます。そして、もう片方のピッチャーに移す、というお仕事です。注いだ時に、音がサラサラなる方が好みであれば豆や米を使ってもいいですよ。
最初に取り掛かる時は、大人がお手本を見せてあげましょう。はじめのうちは、勢いよく移してしまいバシャーッと中身がこぼれてしまうこともあると思います。
まだ力の調整がうまくできないので、こぼしてしまっても怒らず見守ってあげてくださいね。もし水がこぼれたら、布巾を使って拭くお仕事もやってみましょう。 何度かやっているうちに、ちょうどいい力加減がわかるようになり、スムーズにあけ移しができるようになります。
ピッチャーでのあけ移しができるようになると、日常生活でもお茶やジュースを大人が注いでいるのを見てやりたがるようになるかもしれません。そんな時はぜひ、トライさせてあげてくださいね。
STEP2 レードル・スプーンを使う
お皿を2枚用意し、片方にポンポンや豆を入れます。そしてもう片方のお皿にこぼさないように全部移せるかやってみましょう。 上の写真のような、キッチン用のミニスコップもあけ移しのお仕事に使いやすいですよ。
移し終わったら、お皿を入れ替えて繰り返しやってみましょう。子どもが飽きるまでやらせてください。何度も「できた!」を体験することが大切です。
STEP3 トングを使う
STEP2と同じく、お皿を2枚用意し、片方に移すものを入れます。最初はポンポンのように柔らかく掴みやすいものからはじめるとやりやすいですよ。スムーズにあけ移しができるようになったら、豆のような小さくて固く掴みにくいものへと移行していきましょう。
トングを使ったあけ移しでは、3本の指を使うだけでなく指先の力加減のコントロールが必要になります。段々とお箸や鉛筆を持つための指使いに近づきます。
わが家では、卵の空きパックにポンポンの色に合わせた丸シールを貼り、色分けをしてみました。「トングを使って同じ色のおうちにポンポンを移してあげてね」と声をかけると、息子は集中して上手に移してくれました。
丸シールを2枚、3枚と貼って、シールの数だけポンポンを移す、という数の指示を出してみるのもいいですね。
成長に応じた作業と親の見守り方
モンテッソーリ教育は子どもの自立を大切にしています。
・まずお手本を見せてから飽きるまでやらせてあげること
・成長に合わせて、無理のない取り組みをさせてあげること
・挑戦する姿勢を邪魔せず、見守ること
この3つを念頭において、ぜひおうちでモンテッソーリのお仕事を取り入れてみてください。