絵本や物語でよく登場する「うさぎ」ですが、英語ではいくつかの表現があります。なじみ深い単語だと「rabbit」や「bunny」が思い浮かぶでしょう。これ以外にもうさぎを表す英単語は存在し、少しずつ意味が異なります。有名な絵本を例に、具体的な表現をまとめました。
ラビットとバニー、どちらもうさぎ?
子どもの頃にウサギは英語で「rabbit(ラビット)」だと習った記憶があるパパママが多いのではないでしょうか?しかし、子どもと英語の絵本を読んでいると、「rabbit」以外にもうさぎの英単語があることに気が付きます。
たとえば「bunny(バニー)」も、同じくらい馴染み深いのではないでしょうか?日本語ではどちらも「ウサギ」ですが、「rabbit」と「bunny」は和訳したときのイメージが異なります。
さらに外国では「hare(ヘア)」という呼び名も一般的。これらの違いについて知っておくと、子どもに「どうしてウサギなのにrabbitじゃないの?」と質問されても、いちいち辞書を使わなくてもすぐに答えてあげられます。
rabbit(ラビット)
「rabbits」は穴ウサギという種類にあたり、日本人が一般的に飼っている、毛のふわふわとした柔らかな感じのうさぎを意味しています。どちらかというとフォーマルで、大人が使う一般的な言い方です。動物園のふれあいコーナーにいるうさぎも、「rabbit」と言えるでしょう。
【例文】
I have two rabbits.
(2頭のうさぎを飼っています。)
bunny(バニー)
「bunny」という英語表現も、よく耳にする機会があるのではないでしょうか?こちらは厳密には子うさぎを意味しています。「rabbit」も「bunny」も同じ動物に違いはありません。ただし「bunny」のほうは、うさぎよりも「うさちゃん」という愛称のほうが雰囲気としてはピッタリです。ウサギの幼児語にあたります。
【例文】
I want to hug the cute bunny.
(かわいいうさちゃんを抱っこしたい。)
here(ヘア)
「rabbit」や「bunny」のほかに「hare」という表現もあり、ヘアと発音します。「rabbit」が穴ウサギであるのに対し、こちらは「野うさぎ」を意味した単語です。「rabbit」よりも筋肉質であることが特徴で、躍動的で野性味あふれる特徴を持っています。
【例文】
He caught the hare.
(彼が野うさぎを捕まえた。)
ほかにもある!「うさぎ」の英語表現
「うさぎ」を意味する英語表現は、まだまだあることをご存じでしょうか?ピックアップして紹介すると、古い言い方で成長した大人のうさぎを「coney(コニー)」と呼ぶことがあるほか、ウサギのなかでもオスだけを意味する場合は「buck(バック)」、メスは「doe(ドゥ)」と区別することがあります。
また「kitten(キットン)」や「kit(キット)」といえば、子猫を意味するのが一般的。しかし生まれたばかりの赤ちゃんウサギを「kitten」「kit」と言うこともあります。
さらに、うさぎがぴょんぴょんと跳ね回る様子を「boing-boing(ボインボイン)」と表記しますが、これをうさぎの鳴き声のように使用することもしばしば。うさぎの「巣」は、ほかの動物の巣でも使用されている「colony(コロニー)」や「nest(ネスト)」を使用します。
ことわざ「二兎を追う者は一兎をも得ず」は?
「二兎を追う者は一兎をも得ず」は、同時に2つのことをしようとするとどちらも得られないという意味のことわざ。これを英訳すると、以下のようになります。
If you run after two hares you will catch neither.
この場合は「rabbit」ではなく、野ウサギになるので「hare」を使用します。
絵本に登場する有名なウサギたちの表記は?
「ウサギとカメ」の英訳「The Tortoise and the Hare」
「不思議の国のアリス」に登場するウサギ
不思議の国のアリスには動物のキャラクターが出てきます。なかでもメインキャラクターと言える、時計を持って忙しくしている白ウサギは「The White Rabbit」。一方、お茶会のシーンで登場する三月ウサギは「March Hare」の表記です。
3月になるとうさぎは発情期を迎え、いつものように落ち着いた行動ではなく乱暴な動きを見せます。そんな少し狂った様子を意味するために「March Hare」と名付けられたようです。
知的な印象のある「The White Rabbit」と少し狂ってしまった「March Hare」、キャラクターの個性と英語表現がピッタリ合った例だと言えます。
「ピーターラビット」は「Peter Rabbit」
ピーターラビットは勇敢で頭が良く、人間に数々のイタズラを仕掛けます。野うさぎというよりも、人間のような生活描写がされている絵本であるため、「bunny」ではなく「rabbit」を採用したのかもしれません。
ちなみにピーターラビットのいとこは「ベンジャミンバニー」と言い、こちらは「bunny」が採用されています。
「うさぎのおうち」は「Home for a Bunny」
「うさぎのおうち」という絵本をご存じでしょうか?著者マーガレット・ワイズブラウンと、イラストを担当するガース・ウィリアムズの名コンビが描く、世界中で高い人気を誇る絵本です。うさぎが自分のおうちを探す絵本ですが、このウサギには「bunny」が使用されています。
和訳は「うさぎのおうち」になっていますが、「うさちゃんとおうち」というイメージが近いかもしれません。
国によって表現の仕方はさまざま
日本語ではひとつの単語を共通して使用できるものでも、国によっては表現を細かく分けているケースがあります。そのうちのひとつである「うさぎ」の、多様な英語表現をまとめてみました。子どもに教えてあげることで、国によって言葉も文化も異なるということへの理解が深まるでしょう。
また、「ラビット」とカタカナ表記でそのまま発音しても英語ネイティブには通じません。「rabbit」の「r」は舌を口の内側につけずに発音し、「a」は日本語の「ア」と「エ」の中間の音です。
日本人が苦手な英語ネイティブの発音やリスニングは、子どものうちからコミュニケーションの中で何度も聞いたり発音したりしながら学ぶことが大切。
ぜひ子どものうちからネイティブレベルの人と会話する機会をつくってあげましょう。