2021年06月13日 公開

多様化する義務教育!新しくなった小中一貫教育を解説

私立だけではなく、公立にも小中一貫教育の導入する学校が急増しています。この記事では、小中一貫教育導入の背景や、特徴について解説します。

           
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小中一貫教育の導入により、日本の義務教育に大きな変化が訪れています。戦後から長く続いてきた6・3年制の区切りの変更や、学校独自の教科の導入といった新たな取り組みが!この記事では小中一貫教育の内容や成果を、具体的にお伝えしていきます。

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小中一貫教育のこれまで

小中一貫教育は2000年に、広島県呉市の研究開発学校で実験的に導入されたことから始まりました。そして2004年には、東京都品川区の全ての公立小中学校が一貫校に。品川区では、小中一貫教育の導入と同時に、指定校以外も選択できるブロック制が導入されています。
その後も全国に広がり、2021年時点で、国・私・公立合計で1175校もの小中一貫校が存在しています。
【参考】小中一貫教育の全区展開|品川区小中一貫教育の導入校数

小中一貫教育が始まった理由

小中一貫教育が始まったのは、大きく3つの理由があります。その理由を、1つずつ紹介していきます。

中一ギャップを解消するため

卒業・入学と子どもを取り巻く環境の変化からいじめや不登校の件数が一番多くなるのが中一と言われています。このことから『中一ギャップ』とよばれるワードが存在するほど。小中の接続をスムーズにして、子どもの精神的負担を軽減することは、小中一貫教育の目的の一つです。

子どもの成長の変化

6・3年制が始まった戦後の1948年と2010年を比較すると、身長と体重共に子どもの発達が2,3年早くなっています。
つまり当時の中学1年は、現在の小学4〜5年の平均に値することに。子どもの成長スピードの変化からも、6・3年制が疑問視され小中一貫教育が始まるきっかけになりました。
【参考】学校保健統計調査 年次統計

教育効果の向上のため

従来は、小学校と中学校は別のものとして扱われてきました。小学校では、特定の教科は教科担任が受け持つケースがあるものの、基本的に学級担任制です。一方中学校に上がると、教科ごとに先生が異なる教科担任制へと変わります。教職員間でもこの違いから、連携・協力が難しいとされていました。小中一貫教育により、小学校と中学校が別々のものではなく、『9年間の義務教育で子どもたちを育てる』との意識改革が行われました。教職員同士が協力関係を築き、学習と生活の両面で教育効果を上げることが小中一貫教育の目的の一つです。実際に小学校中学年から、教科担任制を取り入れる一貫校も数多くあります。

小中一貫教育の3つの形態と特徴

小中一貫教育を行う学校は、3つの形態がありそれぞれ異なる特徴を持ちます。

義務教育学校

2016年4月の法改正に伴い、新たに『義務教育学校』が全国に開校しました。2016年時点で全国に165校あり、2023年までには525校が開校予定。一人の校長の下に一つの教職員集団が9年間一貫した教育課程を編成し実施するのが特徴。小学校と中学校の教員が同じ職員室を使用するケースが多く、連携しやすいのも義務教育学校のメリットの一つです。
教員は小・中の教員免許を併有していることが望まれますが、当面はどちらかのみでも可能とされています。

併設型小学校・中学校

小・中学校の設置者が同じであり、校長は各学校それぞれに存在します。教員は各学校に対応した免許が必要です。複数の小学校に対して、中学校1校が併設することもあり、組織が大きくなることも。

連携型小学校・中学校

連携型小学校・中学校は、私立中学校と公立小学校のように、別々の組織が連携して一貫した教育を行う学校です。小・中学校が異なる設置者であり、それぞれに別の校長が存在します。教員は併設型と同様、各学校に対応した免許が必要に。なお連携型の場合は、指導内容の入れ替えや移行はできません。

小中一貫教育の施設形態
文部科学省『小中一貫した教育課程の編成・実施に関する手引』より引用

小中一貫校の施設形態の違いと特徴

小中一貫校には、施設形態も3種類あります。全体の約8割が施設一体型として開校されています。それぞれの特徴を見てみましょう。

施設一体型

施設一体型は、小学校と中学校が同一の校舎にあるのが特徴。また、同一校舎ではなくても通路等で繋がっている場合も施設一体型として扱われます。他の施設形態よりも小中の垣根を感じさせず、他学年との交流がスムーズに行われやすいのがメリット。施設一体型では、6・3年制以外を取り入れやすく過半数の一貫校で4・3・2年制を採用しています。小中一貫校の8割以上が施設一体型ですが、校舎を新築するか既存の校舎を改築する必要があります。
【参考】併設型小学校・中学校の施設形態

施設隣接型

施設隣接型は、小学校と中学校の校舎が同じ敷地か隣接する敷地に、別々に設置されているのが特徴。校舎が同一ではないため、小学校と中学校の授業時間が異なる場合も柔軟に対応しやすいです。

施設分離型

小学校と中学校の校舎が隣接していない異なる敷地に別々に設置されているのが特徴。学校間に距離があることも珍しくなく、規模も大きくなりがち。そのため、関係する他校との交流の機会が限られることもあります。複数の学校をまとめて一貫教育を円滑にするため、専任コーディネーターが設けられてるケースも。

小中一貫教育の特徴

小中一貫教育では、教育課程の特例が教育委員会ではなく、設置者及び各学校の判断で決定できるのが大きな特徴の一つです。これによって、特色のある学校づくりが可能になります。

6・3年制以外の区切りを設定できる

従来の日本の義務教育といえば、小学校6年、中学校3年の6・3年制で行わてきました。小中一貫教育が行われている学校では、それ以外に4・3・2年制や、5・4年制など柔軟に独自の年数を導入できます。中でも、4・3・2年制を採用する一貫校が一番多く、前期・中期・後期の区分で分けられています。

独自の教科を設定できる

小中一貫校では、教育目標に向けた学校独自の教科を設定することができます。一例ですが品川区では、道徳、特別活動、総合的な学習の時間を新たに編成し、人間形成を目的とした『市民科』が設定されています。
また、奈良市の『情報化』では、世界遺産が多く残る奈良の町をより良く知ってもらうための情報発信を行うなど、実生活で役立つ教科が設定されています。

指導内容の入れ替えや移行が可能

小中一貫校では、学習指導計画を独自に変更することが認められています。小学校段階の指導内容を中学校へ後送りや、反対に前倒しも可能です。これによって、1年生から英語やICT教育を取り入れている一貫校も多くあります。
また教科を超えた学習も可能です。例えば、算数でグラフの読み方を習得した上で、社会で農業や水産業の特産物を読み解くといった、工夫を凝らした学習がされています。
また学習面以外の面では、部活動を小学校高学年から取り入れる一貫校もあります。

小中一貫教育の成果

2017年には、小中一貫教育が実施されている249市区町村を対象とした調査が行われました。249市区町中246もの市区町村が、小中一貫教育は成果があったと回答しています。具体的にどのような成果があったのでしょうか。
【参考】小中一貫教育の成果と課題

学力が向上

全体の6割以上の市区町村が、全国学力・学習状況調査の結果が向上したと回答しました。小中一貫教育によって、学力はもちろん、学習へのモチベーションが上がったことが分かります。

中学校進学への不安が軽減

9割以上の市区町村が、中学校への進学に不安を覚える児童が減少したと回答しました。環境が大きく変わる進学時に、不安を抱える児童がほとんどいないことが分かります。さらに全体の6割ほどが、不登校が減少したという結果も。小中一貫教育のねらいの一つであった『中一ギャップの解消』の成果が感じられます。

小中一貫教育の問題点

多くの成果が出ている小中一貫教育ですが、その背景に問題点が残るとも言われています。どのような問題点があるのでしょうか。またその解決に向けて、具体的にどのような取り組みがされているのでしょうか。

人間関係が固定してしまいがち

9年間の学校生活をあまり変化のない環境で過ごすことになるため、人間関係が固定してしまいがちという問題があります。
その問題点をうけ、品川区の日野学園では9年生が1年生のお世話に出向く『B&S活動』をはじめ、小中の垣根を超えた異学年交流の機会を多く設けるなどさまざまな工夫を行っている学校もあります。

行事や公共施設の利用が制限されることも

運動会や文化祭などの学校行事を、9学年全体で行う学校もあります。しかし、学年が違うと体力や体格、活動内容が異なるために、人数が多くなるほど危険を伴い、運営が難しくなってしまうことも。そこで学校行事は、1~4年生の前期・5~7年生の中期・8~9年生の後期に日程を分けて行うといった工夫をしている学校もあります。
また施設一体型の場合は特に、運動場や体育館などの公共施設を利用する際は対策が必要です。運動場を低学年と高学年でスペースを分けて使用する、もしくは複数を設置している一貫校もあります。

特例校制度のある小中一貫校も

通学区域が定められている小中一貫校が多いですが、中には特例校制度を採用する一貫校もあります。特例校制度とは、ある一定の条件があれば入学・転校が認められる制度です。通学距離が遠くなることもありますが、より家庭の教育方針や子どもに合わせた学校選びができることもありそうですね。

ついに公立の施設一体型小中校一貫校が開校!

長崎県小値賀町では、離島という立地上の問題もあり、早くも2001年から小中高一貫教育が行われてきました。小値賀町は小中が同じ校舎、高校は別の校舎といった施設分離型ですが、少人数な環境を活かした学力向上のための取り組みがされています。
また2022年には全国初の施設一体型の公立小中高一貫校、東京都立立川国際中等教育学校附属小学校が開校予定で話題になっています。同校では、全教科に探求型学習を取り入れ、1年生から週に4時間もの英語の授業が行われるといった独自の教育内容が魅力的です。この授業数は、通常の義務教育9年間より1000時間以上多く、低学年時から確かな英語力を育むことを目標にしています。
【参考】長崎県小値賀町公式HP東京都立立川国際中等教育学校附属小学校

変わっていく義務教育

品川区の他にも、京都府京都市や佐賀県多久市などのように、全域で小中一貫教育を導入する自治体も出てきました。また小中一貫教育だけではなく、幼保小連携をはかり、スムーズに小学校生活を送るための取り組みを行う市区町村も多いです。
今後もさらに、義務教育学校をはじめ小中一貫校が増え続ける予定だと言われています。私たち親世代のころと比べると、大きく変化している義務教育。義務教育の9年間は、確かな学力を身に着ける期間でもあり、長い生涯に必要な生き抜く力を身に着ける大切な期間。そんな大切な期間を過ごす子どもたちの成長を、これからも見守っていきたいですね。

【参考書籍】『小中一貫教育の新たな展開』(著:高橋興・出版社:ぎょうせい)、『検証教育改革』(著:小川正人・出版社:品川区教育政策研究会)

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WRITER

KUMIKO KUMIKO 兵庫県在住。6歳・3歳のわんぱく兄弟のママです。 大学では英語を専攻していたことから、 ゆるめの英語育児を楽しんでいます。 子どもたちとの体験からの気づきや学びを、ママ目線でシェアしていきます。 旅行と海外ドラマと美味しいものが好き。