1歳半の三男は、絵本大好き。本棚の前で一人黙々とページを繰ることも珍しくありません。でも実は、第一子や第二子育児では、絵本をうまく取り入れられず悩んだ頃もありました。当時との違いを振り返りながら、三男が絵本好きになるまでの歩みやポイントを紹介します。
兄たちへの読み聞かせを耳にしていた妊娠中~ねんね期
わが家の末っ子である三男は、絵本好きの親と兄二人(当時は6歳と3歳)、そして対象年齢も素材もさまざまな絵本が並ぶ家に生まれてきました。妊娠中、三男への語りかけはほとんどできませんでしたが、毎晩お布団で読む絵本の読み聞かせをお腹の中で聞いて育ちました(その頃はかいけつゾロリシリーズばかりでした……)。
誕生後も、しばらくは三男のためだけに本を読んだことはありませんが、兄たちが楽しそうに本を選ぶ姿や声、読み聞かせのストーリーを耳にしていたと思います。
絵本との触れ合いがはじまったお座り期
お座りができるようになった半年頃から、三男のために読み聞かせをスタートしました。……と言っても、たま~にです。長く集中していられないので、選んだのは、スキンシップ重視の作品ばかりでした。
カバーを取るのが楽しい日、本をつかんでは離す日、舐めたい日、大人の本がお気に入りの日など、いろいろありましたが、お膝に座るのはとてもうれしそうにしていました。
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絵本の面白さを自分で発見!そのきっかけは……
生後10カ月頃のこと。ベビーカーでの散歩中、異様に車に反応するようになり、そこからブーブーブームがスタート。自宅でも兄たちのプラレールやトミカなど、乗り物おもちゃで遊ぶことが増えました。
そんなある日のこと。三男が自宅の本棚を探検するなかで、絵本にブーブーが載っていることに気が付いたのです!以来、置いてある本のかたっぱしから、乗り物のイラストを探しては、見つけるとうれしそうに報告してくることが続きました。
「わ~見つけたんだね!」「ブーブーだね」とこちらが反応すれば、それで満足したようで、読み聞かせしようとすると拒否(笑)……まだ、読んで欲しいタイミングではなかったようです。
はじめてストーリーもの絵本を読んだのは、ノンタン絵本でした。「どうもこの本には、ブーブーがいっぱい出てきて面白そうだぞ!」と思ったのでしょうか?最後まで集中して耳を傾けていました。
困った!トラブルばかりのつかまり立ちの頃
三男のつたい歩き・つかまり立ちがはじまると、なんでも出してしまう、ちょっとやっかいな時期が到来しました。大人用の本棚や子ども用の本棚も、1日に何度入れ直したことか……。
図書館では、本の仕切りを引っ張り出すのが快感だったようで、小・中学生コーナーにある、程よい分厚い本をたくさん出しては闊歩。彼の後にくっ付いては、本を戻して回る日々でした。兄たちの付き添いで図書館に行っているとはいえ、末っ子から目が離せなくなりました。
手が器用になって……びりびり&かきかきブーム到来
もっと手先が器用になり、「びりびりブーム」が到来したときは、さらに大変でした。自宅の本から図書館で借りた絵本まで何冊も破られ……。特に小説などの薄い紙がお気に入りで、人生初の図書館でお詫び&弁償を経験。しばらく書店や図書館に行くのは、諦めました。
そんな状況でも筆者が悩まなかったのは、次男が同じ月齢の頃に絵本を破いていた経験があったからです。
当時は「この子は物を大事にできないのか?」と悩みましたが、ある方に「それは成長の段階だよ」と教えていただき、目から鱗でした(長男はいい子だから破かなかったのではなく、第一子だったので破けるような素材を近くに置かなかっただけのこと。長男にとっては、ある意味機会損失だったのかもしれません)。
気が付けば、三男ももう絵本を舐めることはありません。ということは、きっと破るブームも気がすめば卒業するのかと、そんな風に考えて黙認し、破かれてもよいものを敢えて用意するようにしていました。
ちなみに、兄たちの文房具が三男の手の届くところにあると、絵本への落書きも、相当数やられました。が、徐々に「クレヨンは書いてもいい紙に書く」が定着しつつある今日この頃です。
絵本の中身もじっくり楽しみはじめたのは1歳半になってから
そして今、三男はというと……非常によく本を手にとっています。図書館でもマナーを覚え、好きな本を取ると静かに座って読む、もしくは大人に「読んで」と持っていくということをするようになりました。
幼児向きの絵本コーナー、乗り物コーナーなど場所も覚えて、貸し出しのお願いまででき、相当、図書館を使いこなすほどに成長(笑)。
そして、ついに彼が出会ってしまったのが『世界の車図鑑2500』(出版社:スタジオタッククリエイティブ)という分厚い図鑑でした。最初は「1歳には早いでしょ」と軽くあしらっていたのですが、何度も何度も持ってくるのです。
「この紙質は破られるに決まっている」という懸念もありましたが、半信半疑で2,376円を投資してみることに。すると、この本は彼の知的好奇心と発達の両面でヒットしたようで、時にビリビリ破いては、時に熟読するを繰り返しています。
マニアックで乗り物の世界をぐーんと広げてくれるこの1冊の登場に、兄たちもや筆者まで楽しませてもらっています。
絵本って結局なんだろう?
現在1歳半の三男は、絵本が大好きです。でも、筆者が絵本好きに育てようと手をかけたかというと、そうでもありません。絵本がたくさんある環境のなかで、三男が自分のタイミングで絵本と存分に触れ合い、舐めたり投げたり破ったりするなかで、ある日「絵」として、「本」としての魅力に気が付いたというところでしょうか。
乳児絵本の面白さが理解できず、悶々としていた6年前の筆者には、全く想像もできなかった世界がありました。
「絵本ってなんだろう?」
息子たちの成長を振り返り、改めてふと考えました。大人にとっては「絵がたくさん描いてある本」。でも、赤ちゃんにとっては「紙が束ねてある四角い分厚いもの」かもしれませんね。すべてが未知の彼らには、きっと絵本がさまざまな刺激の扉を開いてくれるのだと思います。
その子その子でタイミングもあるのでしょうし、その時々の絵本とのかかわりを思う存分楽しませてあげることが、絵本好きへの近道なのかもしれません。