2019年07月23日 公開

国際バカロレア(IB)資格って?そのメリット、日本の認定校は?

世界140以上の国と地域、5,000校以上で実施されている「国際バカロレア(IB)」の教育プログラム。日本の国際競争力を上げるため、文部科学省が「国際バカロレア(IB)認定校200校計画」を打ち出したことにより、今注目を集めています。海外の大学入試だけでなく、日本の難関大学入試でも活用されている「国際バカロレア(IB)資格」の内容、日本での取得方法、メリットなどをご紹介します。

世界140以上の国と地域、5,000校以上で実施されている「国際バカロレア(IB)」の教育プログラム。日本の国際競争力を上げるため、文部科学省が「国際バカロレア(IB)認定校200校計画」を打ち出したことにより、今注目を集めています。海外の大学入試だけでなく、日本の難関大学入試でも活用されている「国際バカロレア(IB)資格」の内容、日本での取得方法、メリットなどをご紹介します。

国際バカロレア(IB)資格とは?

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smolaw / Shutterstock.com
国際バカロレア(IB)は、スイスのジュネーブに本部を置く国際バカロレア機構(International Baccalaureate Organization(IBO))が提供する、教育プログラムです。

多様な文化への理解と尊重の精神を通じて、探究心、知識、思いやりに富んだ若者を育成するとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア(IB)資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置されました。

国際バカロレア(IB)資格は、カリキュラムを2年間履修した後、最終試験で所定の成績を収めると取得できます。

国際バカロレア(IB)授業内容の特徴

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spass / Shutterstock.com
国際バカロレア(IB)は、生徒の年齢に応じて次の4つのプログラムを提供しています。

・3-12歳:PYP (Primary Years Programme)
・11-16歳:MYP (Middle Years Programme)
・16-19歳:DP (Diploma Programme)
・16-19歳:IBCP (Career-related Programme)

いずれのプログラムでも、「探究する人」「知識のある人」「考える人」「コミュニケーションができる人」「信念をもつ人」「心を開く人」「思いやりのある人」「挑戦する人」「バランスのとれた人」「振り返りができる人」という、10の学習者像を目指して学ぶ点に特徴があります。

4つのプログラムのうち、DP(Diploma Programme / ディプロマ・プログラム)は日本の高校教育課程に値するものです。

履修を完了し試験に合格することで、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア(IB)資格)が取得できます。

国際バカロレア(IB)資格への信頼は高く、ハーバード大学やケンブリッジ大学といった有名大学でも入学資格の1つとして認められていますし、スコアによっては大学で受講すべき基礎科目の受講が不要になる場合もあります。

国際バカロレア(IB)資格取得のメリット

国際バカロレア(IB)資格を取得するメリットは、主に2点あります。

世界100か国以上の大学入学資格が得られる

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1つ目は、前述したとおり世界中の大学の入学資格が得られるという点です。

国際バカロレア(IB)資格は、世界100か国以上、20,000校以上の大学で、入学資格として認められています。

また最近は日本国内でも、東京大学や慶応義塾大学などで、国際バカロレア(IB)資格を活用した入試が行われています。

ただし、海外の大学へ進学する場合は国際バカロレア(IB)資格だけでは足りず、TOEFL(非英語圏出身者向けの英語テスト)やSAT(アメリカの大学進学希望者を対象とした標準学力テスト)などのスコアが必要になることもあるため、注意が必要です。

世界に通用する幅広いスキルが学べる

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国際バカロレア(IB)資格を得られるDP (Diploma Programme)では、

1. 言語と文学(母国語)
2. 言語習得(外国語)
3. 個人と社会
4. 理科
5. 数学
6. 芸術

という6つの教科グループから1科目ずつ選択し、2年間で履修します。各科目にはSL(標準レベル)とHL(上級レベル)があります。

さらに「コア」と呼ばれる、

・EE:Extended Essay / 自分が研究した成果をまとめる課題論文
・TOK:Theory of Knowledge / 知の理論(知識の本質について探求する授業)
・CAS:Creativity/Action/Service / 創造性・活動・奉仕(ボランティア活動などの体験学習)

という3つの必修科目を履修する必要があります。

もともと、多様な国から集まった生徒のために開発されたプログラムですから、「異文化への理解力と寛容力を持ち、国際社会の一員として自覚と責任を持つこと」や、「プレゼンテーションなどを通じ思考力や表現力を高めること」に重点が置かれている点に、大きな特徴があります。

国際バカロレア(IB)資格の学習を通じて、単純な語学力だけではなく、世界で活躍するための幅広いスキルが得られるといえるでしょう。

日本における国際バカロレア(IB)認定校

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令和元年5月の時点で、日本における国際バカロレア(IB)認定校は72校あります。

大学入学資格(国際バカロレア(IB)資格)が取得できるDP(Diploma Programme)が実施されている学校は45校あり、その内訳はインターナショナルスクールと、「1条校」と呼ばれる高校です。

日本の高校卒業資格と同時に、国際バカロレア(IB)資格が得られる「一条校」(学校教育法第1条に規定されている学校)は37校あります。

「一条校」の例として、東京学芸大学附属国際中等教育学校の取り組みをみてみましょう。

東京学芸大学附属国際中等教育学校は、日本の国公立学校初の国際バカロレア(IB)認定校として、1年~4年(中学1年~高校1年)の生徒を対象にMYP(Middle Years Programme)を実施してきました。

2016年4月には5年~6年(高校2年~高校3年)の生徒向けに、DP(Diploma Programme)の授業を開始し、2018年度の入試では多くのDP修了生を海外の大学へと進学させています。

東京学芸大学附属国際中等教育学校は「一条校」のため、国際バカロレア(IB)取得を目指す生徒は、一般的な日本の教育課程に加えて、資格取得の勉強をする必要があります。

両方の学習が適切に行われるよう、 教育課程を工夫し、改善に努めているそうです。

参考URL:東京学芸大附属国際中等教育学校

国際バカロレア(IB)の今後の展開について

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文部科学省は、国際バカロレア(IB)教育を導入する学校を200校以上に増やすという目標を掲げ、さまざまな取り組みを行っています。

グローバルに活躍できる人材の育成のためには、国際バカロレア(IB)の教育プログラムが有効だと考えられているからです。

現在では、科目によっては英語ではなく、日本語での履修も可能になり、国公立の高校でもプログラムが取り入れやすくなりました。

今後は、ますます国際バカロレア(IB)資格を取得可能なコースを開設する高校が増えると考えられます。

子どもが、将来は海外の大学へ行きたいという希望を持っているのなら、国際バカロレア(IB)認定校への入学を検討してみるのもよいかもしれませんね。

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